ラビリス2
スキルポイントがとんでもないチートスキルだって龍弥は確信していたがリリー曰く
「スキルポイントはですねー、レベルが上がればそれなりに強いんですけどレベルが1上がるごとに1ポイントしか得られないのでそこまで強力なスキルじゃないんですよ……」
「そっか、強力すぎるスキルだったら他の神々からも文句来るよな」
「そういうことです。他にスキルに関して質問はありますか?」
「このさ、『……』ってのはなに? どういうスキルなの?」
「え? ほんとだ、こんなの見たことないですね……ちょっと私には分かりかねますね。龍弥さんがラビリス行った後も調べてみるので後で連絡しますね。多分剣神関係だと思うんですが……」
神の加護によるステータスアップやスキル付与にはこういう風に個性が分かれている。
剣神:剣スキルや関連するステータスが異常発展、剣装備時に全ステータス上昇
魔神:MP限界突破、魔法系のステータスが限界突破、スキルポイントを持つ
獣神:知力、魔法系以外のステータス上昇率異常、敏捷力が限界突破、武器を持たない時全ステータスアップ
賢神:知力が限界突破、幸運、MP上昇率異常、弓スキルが異常発展、風魔法に関して異常な威力や防御を持つ
王神:奴隷や自国民の心を掌握し操れる、奴隷が魔物を倒すとその5%が自分の経験値に入る、光属性に関して異常な威力や防御を持つ
龍神:古代魔法や竜魔法を使うことができる、基礎ステータスが龍族レベルから始まる
破神:筋力と体力が限界突破し、呪いの武具を身につけられる、状態異常も無効、成長限界突破スキルを持つ
―うん、あれだな、俺1人だけ強いって思ってたけど使者のやつら皆んな化け物だわ。
これ、魔神ってスキルポイントっていうチートスキルあるけど勝てるのか…?
「ちなみになんですけどね、魔神の使者って前回は最下位だったんですよね……」
そう言ってリリーが泣きそうな顔になっていた。龍弥は決意した。相手がどんなチート野郎共でも絶対に勝つと。
「なぁ、リリー。お前の前に居るのは地球っていう異世界の『剣神』だぞ。君を俺の嫁さんにするって決めたんだ。簡単に負けるつもりなんて一切ない!! だから俺を信じて、勝つことだけを願ってはくれないか?」
「ふふっ、魔神が剣神に勝利を願うってちょっと変な気もしますが、そうですね! あなたの勝利だけを願いますね!」
―そう言って笑うリリーはやっぱり俺の女神様だった。
「それでですね、私の使者は圧倒的な最下位だったので、他の神々が勝負にならないのはつまらないって言って、ハンデくれたんですよ!」
「へぇー、そりゃあれだな、超ラッキーだな。どんなハンデもらったんだ?」
「まずは、異世界から使者を連れてこれるっていうものですね」
「あぁ、それが俺ってことだな?」
「そうなんです!もう勝ったも同然なんです! 龍弥さんは剣神なんですもん」
そう言っていたずらっ子みたいに笑うリリーにいじられて、龍弥は笑顔になった。
―決していじられて嬉しいドMではない。
「それとですね、転生先を貴族に指定することができる権利ですね! これも中々すごいですよ! 最初から貢献ポイントいっぱいです! と言ってもこの分の貢献ポイントは累計に回さないで交換ポイントだけの使用になるんですけどね」
「いや、それでもかなり破格だろ。貴族の貢献ポイントってかなり高いし……でも流石に大公家ってわけにはいかないんだろ?」
「そうですね、良くて子爵家ぐらいだと思います。でもどの子爵家にするかは選べるので、できるだけ好条件のところ選びますね!また、正式な子爵ではなく、子爵家の子として誕生するので、龍弥さんが正式に貴族になったらその都度ポイントも貰えます」
貴族の貢献ポイントはかなり破格だ。
階級によって貢献ポイントが変わり、自分のなった階級から下の階級の貢献ポイントも貰える。
騎士 2500
準男爵 5000
男爵 10000
子爵 20000
伯爵 35000
辺境伯 50000
侯爵 10万
王子 50万
公爵(大公) 75万
国王 1千万
となっている。比べるものがないと、どれくらいの異常さか分からないので例を出すと
魔物を倒した場合
魔物のランクによって変動
Hランク 1
Gランク 5
Fランク 10
Eランク 15
Dランク 25
Cランク 45
Bランク 70
Aランク 100
Sランク 250
SSランク 600
SSSランク 1500
となる。SSSランクの魔物なんてそう簡単にお目にかかれないし、冒険者として魔物を狩って貢献ポイントを稼ぐより貴族になって、別の手段でポイントを稼いだ方が手っ取り早いという考えもできる。
また冒険者ランクが上がると、これでも貢献ポイントは貰える。
Gランク 10
Fランク 50
Eランク 100
Dランク 200
Cランク 750
Bランク 2000
Aランク 1万
Sランク 50万
SSランク 100万
SSSランク 500万
確かにSランク以上の冒険者になればかなりの額の貢献ポイントは手に入るが実はランク上げはかなり苦労する。
・自分と同じランクの魔物を100体討伐する
・自分より上のランクの魔物を10体討伐する
・自分と同じランクの依頼を50こなす
・自分より上のランクの依頼を5こなす
このようにしてランクは上がるのだ。
しかし熟練の冒険者でもBランク以上になることはほとんどない。
その理由として、Bランクの魔物から強さが圧倒的に変わるのだ。
Bランクの魔物は魔物の住む森や谷などの奥深くにまで行かないと出会えないし、そもそも冒険者は自分と同ランクの魔物でもかなり頑張らないと戦えない。
だから、ランク上げはかなり困難を極める。
その分Aランクの冒険者は英雄視されるし、爵位を得ることもあるのだ。
Bランクの冒険者は騎士としての爵位を持つ権利が与えられ、Aランクはなんと男爵の爵位を貰える。
龍弥は使者として強くならないといけないので、Aランク程度で止まってはいけないが。
このように、貴族になると貢献ポイントの恩恵が素晴らしいのだ。
他にも貢献ポイントを稼ぐ方法はいくつもある。
・月ごとに得た金額の1%
・自分を英雄視する人の数を増やす
・自分の奴隷が倒した魔物の半分のポイント (一緒に倒した場合は普通に入る。経験値はダメージ量によって入る)
・偉業を成し遂げた場合、偉業の度合いによってポイント
・依頼を遂げるごとに1ポイント
他にもあるが大体このような感じだ。特に月ごとに得た金額の1%といつのは正直破格である。
貴族になれば税収があるのだ。
それも国王なんて一体いくら稼ぐのか想像もつかない。
他の使者が国王になることを目指すのは考えないでも分かるし、国王になる場合どう考えても王神が有利すぎる。
ーー王神は殺すことを前提にした方が良いかもしれない。
あと貢献ポイントを使って交換できるアイテムやスキルだが
武具
聖剣
聖斧
聖弓
聖槌
聖杖 などの聖武具
魔剣
魔斧
魔弓
魔槌
魔杖 などの魔武具
神剣
神斧
神弓
神槌
神杖 などの神武具
その他様々なチートアイテムが並ぶ
エリクサーや経験値増加薬など
スキル
属性魔法スキル 火 水 土 光 闇 風
無属性魔法スキル 空間魔法スキル
鑑定スキル
採取スキル
剣スキル
弓スキル
斧スキル
槌スキル などの基本スキル
ユニークスキル
メニュースキル
ダンジョンマスタースキル
鍛治限界突破スキル
超幸運スキル
ステータス上昇スキル など
「長々と説明しましたがラビリスと使者の役目に関してはこんな感じですねー」
「大体分かったよ。それで、俺が誕生した瞬間にスタートなのか?」
「そうですね、そこは申し訳ないのですが……他の人は基本的に龍弥さんより先に生まれた人の方が多いですが、そこまで差異はでないはずです。でても2年でしょう。私にも他の使者が誰なのかは分からないので何とも言えないですが……」
「ふむ、じゃあ最初の問題は子爵としてのポイントを何に使うかだな。手っ取り早くレベルを上げるためにも経験値増加薬とかでもいいな」
「あ、オススメというか、魔神の使者としては確実に持っておかないといけないぐらいのスキルがあるのでそれを取ってもらいたいのですが……」
「よし、それを取るよ。どのスキル?」
「随分と即決なさるのですね……『メニュースキル』です。これがないのとあるのでは全く違うので」
「リリーのオススメを取らないわけないだろ? どういうスキルなんだ?」
『メニュースキル』
・自分の範囲1キロの地図を表示(魔物や人の存在も確認できる)
・1度地図を作るといつでもそこを確認できる
・ストレージ機能(重量無制限、時間停止)
・ステータス確認(自分だけでなく他人のステータスも見ることができる。)
・スキル一覧表示(スキルポイントの割り振りもできる)
・パーティー設定
・ヘルプ機能(神との通信機能)
「これものすごいチートな気がするんだけどお高いんでしょう? 」
「流石に買えないものを提案しませんよ……貢献ポイントに慣れてもらうために最初だけは100分の1のポイントで交換できるようになってるので是非これを選んでもらいたいんですよ!! 多分他の使者は生き残る為に武器を選んだり、戦闘に役立つスキルを選ぶと思うので……龍弥さんは子爵家の長男から始まるので安全ですし、かなり役立つスキルだと思いますよ!! 」
「まぁこんなスキルがあればどう考えても有利だよな。よしこれにしとくよ。これがあればリリーと連絡取れるんだろ?」
「はい!お願いしますね! 私との連絡なんですけど、1年に1回程度私から連絡をするという手段の方が良いかもしれません。他の神に傍受される可能性がないとも限らないので……」
「そっか、残念だけどそうするよ。他に何か気を付けなきゃいけないことあるかな?」
「いえ、特には大丈夫だと思いますよ……。そろそろ時間ですね。龍弥さん異世界で天寿を全うしたのに申し訳ありませんでした。でもお願いです。こんなこと言うのも何か間違ってるのかもしれませんが、私のためにこの戦争勝ってください!!」
そう言ってリリーは優しく微笑んだ
「任せておけ。俺は戦争代理人。勝って君を必ず手に入れて見せるさ!!」
(君の笑顔をもっと見たいからな…)
そうして龍弥は青白い光に包まれて部屋から消えた。