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ビルデン王国のデート

小説のお勉強をしてて投稿が遅くなりました…


 

 俺たちは2週間ほど馬車に揺られ、ついにビルデン王国の首都にたどり着いた。


 バリアンから馬車の製造方法を教えて欲しいとしつこく迫られたので、その説明をしていたり、新しい魔道具を製造したり、アリスに和食を教えたり……馬車の中での生活は意外と充実したものになった。


 1つ分かったことは、バリアンにしろ、アリスにしろ新しいものへの探究心や好奇心がラビリスの人々はものすごいということだ。


 俺は地球の知識を持っているので、みんなに知識を教えるたびに感謝されるのは何となく気まずいのだが……


「さて、そろそろ首都に入るのだが、皆さまは国賓待遇ではあるが、他国の領主であり、戦争をした間柄であるために、明日の謁見までの間王宮に滞在となると……」


「分かっているさ。色々と問題あるんだろ?」


「申し訳ない……もちろん貴族御用達の宿を用意するし、このカードを預けておくので、自由に使ってくれて構わない」


「カード? それはどのような効果があるのですか?」


「これは王族や国賓の方々が使えるカードでしてな、飲食をする際にカードを見せれば料金は払わないで済むというもの……」


「それは素晴らしいわね! いくら使ってもいいんでしょ!?」


 零華の食いつき方がすっごいな。こいつ食事に関しては俺やアリスがドン引くくらい食いつくからなぁ。

 それにしても謁見か……そういう言い方をするってことは、どう考えても俺たちと国王を対等とは思ってないんだろうな……

 まぁそれが普通なんだろうけど、こっちはイリスが居るんだが、謁見って形にしていいのだろうか?


「バリアン様少しよろしいですか?」


「もちろんですとも。イリス殿どこかご不満がありましたかな?」


「えぇ、少しだけ。先ほど謁見とおっしゃっいましたわね?」


 お、珍しいなイリスが不満を言うなんて。しかも自分は姫だから謁見って形にすると、バンベスのことを陥れるってことだろ? 俺と同じ思考とは……


「クリシュ様は将来王族になる方ですので、いえもはや今既に王族みたいなものなので、謁見という形はやめていただきたいのですわ」


「え?」


「私はイリス=バンベス。バンベス王国の第一王女ですわ。そして、クリシュ様は私の婚約者なのです!」


 おいおい、何を言ってるんだ? いや、何も間違ったことは言ってないんだが、普段の眠そうな目を限界まで見開いて演説することかね……このタイミングで。

 バリアンって結構義理堅い感じだから、今までの態度的に切腹とかしかねないんじゃ……日本じゃないんだし、切腹はないだろうけどさ。


「っ!? それは……今までの数々のご無礼大変申し訳ございませんでした!」


「別に構いはしないわ。それよりカード早くちょうだい!」


「なんでお前が許してるのか知らないが、別に気にしてないから大丈夫だ。でもバンベスとしては謁見って形を取られるのは少しな……」


「はい。謁見ではなく別の形を取らせていただきたく思います。案内の者や護衛の者を付けますので、皆さまは明日までごゆっくりとお過ごし下さい……」


 落ち込んじゃってるなバリアン総帥。まぁ王族に馬車のことしつこく聞きまくってしまったしな……


「護衛はいらないし、案内は宿まででいいわ! それよりカードちょうだい!」


「それはそうなんだが、お前はいい加減カードから離れろ!」


 食い意地張りすぎて本当に恥ずかしいだろうが……




「こちらが、皆さまに滞在していただく宿になります。この国でも1.2を争う高級宿でありますので、ごゆっくりとしてくださいませ」


 案内の人(名前は忘れた)はそう言い残し、護衛の人と一言二言会話をしてから去っていった。俺たちが自分の目で街を見たいって言ったからあの人の仕事を無くしてしまったが、もしかしたら先の戦争で大事な人の命を俺が奪ってしまったかもしれないから、できる限り近くにいない方が良いと判断した。


 あと問題なのは部屋割りだ。変なところに気を利かせてくれる総帥殿は2部屋を取ったらしく、どうやっても俺と誰かは同じ部屋にならねばならない。


 俺としては生まれた頃から一緒にいるアリスが同じ部屋だと良いのだが……


「婚約者である私が同じ部屋なのは当たり前のことですわ!」


「いえ、クリシュ様のお世話をしなければならないので私が」


「あんたたちはダメよ! 1番胸が無くて安心なわた……今のなしで。とくかく私!」


「競争か? 負けてたまるか! 私だ!」


「「「「とにかく私!!」」」」


「あのさ、宿の人に頼んでもう一部屋用意してもらえば……」


「何を言っているのですか……?」


「私がクリシュ様のお世話をするのはご迷惑なのですか……?」


「……ヘタレ」


「それでも良いが……?」


 どうしろってんだこの状況!!

 リリー助けて……


(ふふ、ヘタレですね)


 脳内で何か聞こえた気がしたが、俺は目の前で繰り広げられてるジャンケン大会を、ぼーっと見てることしかできない自分の無力さを実感していた。



「わーっ!綺麗なお部屋ですね!」


 ジャンケン大会の覇者であるアリスと共に部屋に入り周りを少し見回すと、豪華絢爛というよりは品位のある部屋という印象だった。


「掃除も完璧に行き届いています。ここの宿の従業員の方は掃除スキルⅩなんじゃないですかね!」


 掃除スキルなんて聞いたことないが、雑魚魔物の掃討に便利そうなスキルだな。あったら取ってみよう。……絶対意味が違うとは分かってるけどな!


「ほら! クリシュ様! ベッドもフカフカですよー! 私たちの馬車の椅子くらい!」


 それは中々のフカフカさだな。あの椅子にはこだわらせてもらったから、相当高級な素材を使ってそうだ。


 というか、さっきからアリスのテンションがものすごく高いんだが……いつもは淡々としてる感じなのにどうしたんだ?


 ーーそういえば俺ってアリスと前にキスしたんだ……


「私の1番はクリシュ様と共に『居る』ことなんです!」


 そう言っていたアリスの顔は今でも覚えている。泣いていたのに美しかった。泣かせてしまったのは俺なんだけどな……

 あのキス以来、変に意識してしまうってことはなかったけど、何となくアリスと2人でいる時間が減ってしまった気がする。

 共に居たいって言ってくれたのにな。


(零華、観光だけど俺はアリスと2人でするよ)


(ん。分かったわ。ちなみに1年前のことは覚えてるかしら?)


(……それをさっき思い出したんだよ)


(ふぅん、ならギリギリ合格にしてあげるわ。こっちはこっちで楽しんで来るから)


(恩にきるよ)


(……クリシュ、私はアリスの親友よね?)


(そうだな、親友だと思うぞ)


(だったらさ、私からのお願い聞いて? 私には親友の願いを叶えてあげられないわ。だからあんたが私の代わりに親友の願いを叶えてあげて)


(……わかった)


(もし親友をまた泣かせたら、肉片になるまで殴るからね)


(……ありがとな零華)


(は? お礼を言われる筋合いなんてないわよ。あんたがこれからアリスと一緒に居てくれるなら私からは文句ないわ。今まで忘れてたことに関しては一発だけ殴らせてもらうけどね!!)


 そう言い残して零華は念話を切った。


 本当に優しくて素直じゃないやつだ。でも零華の気遣いは大切にしなくちゃいけないな。今まで一緒に居る時間が少なかった分、これから一緒に居る時間は大切にしたい。


「アリス、そろそろ外に行こうか」


「はい……分かりました」


「アリスはどこに行きたい?」


「みんなが行きたいところで結構です」


「みんなじゃないぞ? 俺とアリス2人で観光しよう」


「え? ええええ!? ど、どどどういうことですか!?」


「お、落ち着けって! たまには2人で観光でもしたいなって思ったんだよ」


「クリシュ様……ありがとうございます。では私はビルデン王国の名産の料理が食べてみたいです」


「よし分かった。じゃあ行こうか」


 俺はアリスの手を取り歩き出した。


「ク、クリシュ様……?」


「たまには、さ?」


「……はい」


 珍しいアリスの照れ顔が間近で俺は満足だ。そういえばカードは零華が持ってっちゃったんだっけか……まぁいいか。アリスと2人でデートできるなら。



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