ビルデン王国へ
体調を崩していて投稿が遅れてしまいました……申し訳ありません。
今回の投稿は少し短めです。
魔の森争奪戦から2週間が経った。
領民にフリーデンがビルデン王国と戦争し、勝利したことは伝えてあり、俺たちの知らないところでちょっとしたお祭りがあったそうだ。
兵士も参加しており、少しは息抜きができたことだろう。
フリーデンには娯楽が少ないので、お祭りごとや娯楽のための店を増やしていかないといけない。そう認識させられた。
スーリはフリーデンの諜報部隊の隊長として既に活動してもらっており、彼には『念話』を習得してもらった。
『念話』があるおかけで他国や他領地よりも早く情報が手に入るのはかなりの利点とも言える。
現在スーリはビルデン王国の首都に潜入している。俺たちが訪問した際に何か企んでいるのかどうか探ってもらうためだ。
俺たちを恨んでる奴は多いだろうし、何も手を打たないという手段は考えられないからな。
「ご主人様、ビルデン王国のバリアンと名乗る者がご主人様をお迎えにあがったと申しています」
「バリアン? 誰だそれ」
「クリシュ様、バリアンはビルデン王国の総帥です」
アリスに言われて分かった。人の名前を覚えるのって苦手なんだよな。特に興味がない奴の名前は覚えられない。
「クリシュ様、できる限り人の名前は覚えてくださらないと。領主として恥ずかしいですわよ?」
「ぜ、善処するよ」
これから先、偉い人と話す機会も多いだろうからちゃんと覚えなきゃな。
「じゃあ行こうか、みんな準備はいいかい?」
「はい、しかしパーティメンバー全員で行ってしまって、フリーデンは大丈夫でしょうか?」
「ミオがいるから大丈夫だ」
「全力を尽くしますが……私に務まるでしょうか?」
「何言ってるんだ、ミオはみんなからの信頼も厚いし、よく考えて行動できるだろ? 領主として見るなら俺よりも向いてると思う」
「私もそう思うわ。私やクリシュは戦闘の方が向いてるからミオが領主やっちゃえば?」
「ご冗談はそれくらいにして下さい。ミオさんも困ってるじゃないですか。それでは、よろしくお願いしますね」
「は、はい! いってらっしゃいませ」
「…別に冗談を言ってるわけじゃないんだけどな」
ミオにはフリーデンに備えてある技術は全て伝えてあるし、頭がいいから俺よりも上手く機能させられるだろう。
何かあった時には……まぁそれはいい。とにかく今はこれからをどうするか考えよう。
「まさかバリアン本人が来るとは思わなかったわね。もしかして、国賓扱いでもされるのかしら?」
「それはないだろ。俺たちが何人殺したと思ってるんだ?」
「だからこそよ。私たちの機嫌を損ねたら大変なことになるって分かってるから、国賓扱いの可能性があるってこと」
「そうですわね……ビルデン王国でしたらその可能性もありますわ」
「ビルデン王国なら? バンベスは違うってことか?」
「お父様は同胞を殺した者に友好的な態度を取るとは思えませんもの。ですがビルデン王国の国王は自分のことしか考えていないと聞いておりますわ。ですから、我が身かわいさに私たちを国賓として歓迎する可能性があるのですわ」
「国賓扱いなら交渉もいい方向に進むのではないか?」
それもそうかもしれないな。実は俺たちはトイレをフリーデン以外に売り出すつもりはないのだが、国王にだけ売りつけてやろうかと思っていたのだ。ある考えのもとで……。
「あの馬車のようですね」
「げっ! 普通の馬車じゃない! 私あれには絶対乗らないからね!」
「クリシュ殿、私もあの馬車は嫌だぞ」
「皆さまなぜ馬車を嫌うのですか? 見たところ普通の馬車ではありませんか?」
「普通の馬車だからよ! イリスは知らないから仕方ないでしょうけど、あの馬車乗っちゃったらもう二度と普通の馬車は乗れないわ」
「私は普通の馬車に乗ったことすらないので分かりませんが、私とクリシュ様の最高傑作は王族が乗る馬車と比べても遜色ないと自負しています」
アリスが胸を張って言うが、あの馬車はぶっちゃけ王族の馬車より上じゃないかな。
「ねぇお願いクリシュ……馬車出して! ビルデン王国まで何日もかかるのよ? 私たちのお尻が柔らかくなくなっちゃっていいの? 揉み心地最悪になっちゃうわよ?」
「それは困りますわ! 私のお尻はクリシュ様のものなのに……」
「私は立っておきます……」
「なっ!? 私の尻は私のものだぞ!?」
「いやちょっと待て、急に変なこと言うな。当分揉む予定なんて……」
「当分!? 当分って言ったわよイリス! アリス!」
「やっと決心してくれましたのですね!」
「私なら今すぐにでも……」
「だぁぁぁ! 今はそんなことどうでもいいだろ! バリアンを待たせてるから早くいくぞ!」
「「どうでもよくないです!!」」
「そうだそうだー、馬車出せーー」
「これ私は空気になってないか……?」
「零華め……馬車出して欲しいがために言いやがったな」
「なんのことか分からないわねー」
その後俺はアリスとイリスに色々と詰め寄られ、解放されたのは1時間後となった。
「仲がよろしく結構でございますな」
「待たせて申し訳ないな」
「いくらでも待ちますとも。ささ、皆さまこちらにお乗りください」
「その馬車には乗らないわ。私たちには私たちの馬車があるから」
ちっ、やっぱり諦めてなかったか。
他のやつに見られたくなかったんだがな。
「別にいいじゃない。あんたのストレージにしまっておくんだし、取られる心配なんかしなくていいでしょ?」
「もしもこれと同じのを作れとか言われたら面倒だなって……」
「普通に断っていいですわ。クリシュ様は職人ではないんですもの」
「そうよそうよ。早く出して! もちろん馬も!」
「何のことか分かりませぬが、向かう途中で色々とお話があるのだが……」
「そっちはそっちの馬車に乗って行けばいいわ。私たちは付いていくし、野営の時にでも話してちょうだい」
「むぅ、承知した」
承知しちゃうのかよ! ……まぁいいか。
向こうはトイレについて俺たちと交渉したいだろうし、馬車のことまでは口を出してこないだろう。
この日の夜。俺は自分の認識が甘かったことを後悔することになった。
「クリシュ殿!! その馬と馬車は一体何なのか教えてもらえないだろうか!!」
「だから、企業秘密だって……」
「企業秘密とは何のことか分からないが、私は感動したのだ!! 教えてもらうまではこの頭は上げらぬ!」
そう、この総帥殿は俺たちの馬車に感動しまくりで、小一時間も土下座を続けているのだ。
「あれは俺とアリスしか作れないんだ。君たちに教えたところで……」
「絶対に再現して見せる! 頼む!」
「でも……」
「頼むううううう!!」
結局教える羽目になりましたとさ。




