表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/54

魔の森争奪戦

 

「一応、聞いておくが、ビルデン王国って魔の森を挟んで向こう側にある国で合ってるよな?」


「左様でございます。私たちメイドは少し前までビルデン王国の貴族に仕えておりましたので、間違いございません。バンベス王国とよく戦争をするビルデン王国が、フリーデンに戦線布告してきました」


「なぁイリス、戦線布告って国に対してするものじゃないの? ただの街に向けてやる?」


「そんなわけありませんわ。普通は国に対してするものですわ。このままではフリーデン対ビルデン王国の戦争になりますわね」


「ふーん、それってさ、俺たちが負けたらこの領地はビルデン王国のものになるんだよな?」


「なりますわね」


「俺たちが勝ったらどうなるんだ?」


「戦争する前に条件を出せば、基本的にそれ通りになりますわね、賠償金や領地など、無理がない範囲で保障されますわ」


「つまり、俺たちが勝てばこの森は全部、俺の領土ってことになるわけだな?」


「向こうはフリーデンも欲しがるはずですわ。でしたら、フリーデンの価値分の賠償金はもぎ取れますわね」


「フリーデンの価値分? それって……」


「……正直バンベスの王都より価値がありますわ。全ての家にトイレやお風呂が付いていて、公共事業が盛んなため職に困る人や、スラムは存在せず、公衆トイレがあるため、空気は綺麗。魔の森が近くにあるのに城壁が厚く、高さもあるので、外に出なければ何の問題もない。時折高ランクの素材が一気に出回る……」


「最後のは嫌味だろ……これからはちょくちょく売却するよ」


「あら? 嫌味なんて言いませんわ。価値で言えば向こうの国家予算を超えるのでは?」


「それもぎ取れるのか?」


「ふふっ、貴族や商人から徴収するしかありませんわね。戦争が楽しみですわね」


「一応、『国』対『街』っていうおかしな構図だって分かってるよな?」


「もちろん分かってますわ。私はお父様にこのことを報告してきますので、シーナさんをお借り致しますわ」


「あぁ、頼むよ。アリス! 居るか?」


「はい、こちらに」


「!!?? 」


「ミオさん、まだ慣れてないのですか?」


「む、無理ですイリス様! アリス様は気配が一切ないんです!」


「ミオさんは気配察知のレベルは高いはずですのに……人知を超えてますわねアリスさんは……」


「はい……」


 おいおい、アリスが俺の横に急に現れるなんて普通のことだろ? 俺は動揺なんて一切してないぞ? 鍵を閉めてる部屋の中で『アリs...』って小声で言っても俺の斜め後ろから返事があるからな。スって言い切ってないとか、どうやって入ったとか、聞こえてるのか? とか疑問は多いが10年以上これだからな。何も感じないぜ。


「クリシュ様は壊れてしまっているのですわね」


「はい……感覚がおかしいです」


「おい! 聞こえてるからな! まぁいい、アリス、フリーデンの価値を試算してみてくれ。人ではなくて街自体の価値で頼む」


「かしこまりました。でもクリシュ様、向こうは街というつもりはないかもしれないです。土地だと言われれば賠償金はそこまでもらえない可能性があります」


「たしかにそうだな……」


「ご主人様、ビルデン王国からは戦線布告の書状を届けに来た、使いの者が現在客間に来ておりますが、いかがされますか?」


「クリシュ様、戦線布告されたのであれば、それを受けるか受けないかはその国次第ですわ。ただし、受けなければ、勝手に侵略されるだけですけれど。受ければ向こうからいつ進行が来るのか、勝利条件はどうするのか、賠償はどうするのかを話し合うことができますわ。」


「そうなんだ、とりあえず客間に行くよ。アリスは付いて来てくれ。イリスは零華を連れてシーナと王都に行って、国王に受けるつもりだと伝えてきてくれ。一応国王の意見も聞いておきたいしな。で、それを零華に念話で伝えるように言っておいてくれ」


「「「承知しました(わ)」」」


「よし、じゃあ行きますか」



 ーー



「これはこれはフリーデンの領主殿ですかな? 私はビルデン王国からやって参りました、ゲスネイと申します。よろしくお願いします」


「あぁよろしく、んじゃ早速話を聞こうか。確認だが、俺に戦線布告をするのか? 国が1つの街に向けて戦線布告するなんて、少々非常識じゃないか?」


「ふふっ、非常識とは言ってくれるじゃないですか。あなた達が、私たちの領地を勝手に踏み荒らしてるのを黙認してる上に、わざわざ戦線布告してあげてるのですよ? 甘んじて滅びを受け入れて下さい」


「へぇ、お前らの領地だったのか、それは知らなかった。俺たちは一応、お前らの国との境界線に壁を作って、そっちに行かないように注意を促していたんだがな」


「私たちの国との境界線に壁を作っただと? 嘘をつくのもいい加減にしてくださいよ。境界線は森の中心部分にあるんですよ? どうやって壁を作ったというんです?」


「普通に土魔法で作ったが?」


「そんなことできるわけないでしょう? SSSランクじゃあるまいし」


 ゲスネイは連れてきていた護衛とともに、ゲラゲラと笑っているが、こいつもしかして知らないのか?


「大体ね、あなた名乗りもせずに私と話しているのが、ちょっと気に入らなかったんですよ。私はビルデン王国の男爵位を持っているんですよ? 辺境を治めてる領主程度よりもよっぽど爵位は上なんです」


「そうだったのか、俺は辺境伯だからあんたより爵位は上だと思ってたよ」


「……はぁ? 辺境伯だと? なぜ辺境伯がこんなところを治めてるんだ?」


 おい、口調が変わったぞ。さっきまでは見下すような態度だったのに、今じゃ獲物を狙う獣のような目をしてる。


「辺境を治めるんだから、辺境伯でもいいだろ?」


「辺境伯は名前だけで、辺境なんか治めるわけあるか! もっと王都に近いところを治めるに決まっている!」


(クリシュ、聞こえる? 王様はそのまま国も滅ぼしちゃっていいよーだってさ)


(そこまでやらないぞ、別に俺は国が欲しいわけじゃないからな)


(とりあえず私たちもそっちに行くわ)


(了解、お疲れ様)


「何を黙っているのだ! 嘘がバレて困っているのか? はっ、無様だな。どうせ騎士爵程度なのだろう? もういい、さっさと戦線布告を受け入れろ!」


「……ふぅ、分かった。戦線布告を受け入れよう。勝利条件とあんたらが考える賠償を教えてくれ」


「ふっ、受け入れたな。このゲスネイがしかと聞き入れたぞ。勝利条件は『敵の降伏宣言』『敵の全滅』のみだ! ふっ、貴様らの場合は我が軍の全滅でよいぞ。賠償として魔の森とこの街をもらおうか」


 マジでキャラ変わりすぎだろ。さっきまでのやり手な交渉人キャラどこいったんだよ。


「『街』でいいんだな? 俺たちは賠償として魔の森とこの街の価値分の賠償金を要求するがいいな?」


「あぁ、街というのは土地のことだ。土地の価値分の賠償金を払おう」


 うわぁ、予想通りの返しされたわぁ。

 でもこれの返答は用意してあるんだよ。


「そうなるとあんたらが勝っても、街は手に入らないがいいのか?」


「ふっ、貴様はバカなのか? 土地を手に入れるということはそこにある街も手に入るのと同じことだろう?」


「ならないぞ? この街は俺が土魔法で作った街だからな。地面ごと街は移動できるんだ。だから、あんた達が土地を要求するなら俺たちは街ごと移動して、あんたらに土地をくれてやるよ」


 くっふふふ、その顔!! その顔が見たかったんだよ!!

 丸々と太った顔が、りんごに見えるくらい赤くなりながらも驚いて口が塞がらないって、結構な技術だな!!


「そんなバカなことがあるのか……? しかし、これはどうすれば……?」


「まぁこの土地の価値は多分低いから、俺たちが勝っても、あんたらはあんまり賠償金出さずに済んでよかったな」


「だまれ! う、くそ、そうだ、我々にはあの人がいるんだ! 負ける要因なんぞ存在しない! 我々はこの街を要求する! 価値分を言え! それぐらい調べてあるんだろうな?」


 あの人って誰のことだ?


「ご主人様、恐らくSSランクの冒険者のことだと思われます。ビルデン王国には1人SSランクが所属しておりますので……」


「だから強気なのか」


 小声でミオに教えてもらってるうちに、アリスが街の価値を金額にして伝えたようだ。


「そんな……嘘だ! たしかに規模は大きいがそこまでの価値があるわけがない!」


「いえ、公衆トイレや、家に1つずつ風呂やトイレがついており、魔石に魔力を流し込めば半永久的に使える設備になっています。さらにその魔石にはSランク以上の物を使っているので、これぐらいになります」


「くっ、賠償金に関しては王金価500枚が限界だ!」


 え、王金貨ってなに?


「ご主人様、王金貨は国家間でやり取りされる金貨でございます。1億リンの価値があります。つまり500億リンですね」


 うわーお、王様50回分の貢献ポイントが手に入るじゃん。


「いえ、それでは少なすぎます。1000枚は貰います」


「それは流石に無理だ。500枚は譲れん」


「では700枚でいいです」


「600だ」


「680です」


「そこは650だろう」


「では650でいいです」


 おぉ、アリスが王様15回分も増やしてくれたよ。


「ふっ、貴様らに勝ち目などないからな! 先程この領地の軍を見たが、あの数では我々の軍と天と地ほどの差がある! 悔しかったらSSSランクでも連れてくるんだな!」


「なぁミオ、こいつマジで知らないの?」


「恐らく、SSSランクの存在は知っていても、ここの領主がそうだということは知らないのでしょう」


「何の話をしている!」


「いや、勝ち目がないからさ〜、SSSランクでも連れてこようかなって話してたんだよ」


「……くっふっふ、連れて来られるなら連れてくればいいさ。クリシュ、アリス、零華と言ったか? そんな人物が存在するならな!」


 おいアリス、殺気出しすぎだ! こいつのレベルじゃそれだけでも死ぬぞ!


「どういう意味ですか?」


「こ、言葉通りの意味だ! 我々はそんなまがい物のSSSランクは信じていないのだ! なぜなら我々には本物のSSSランクが味方してくれているのだからな!」


 ……どういうことだ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ