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謁見?と婚約者

 

「ハッハッハ、まさか最初からこんなにフレンドリーに接して貰えるとはね! 私は嬉しいよ! なんてったって初代国王様の再来とも言えるSSSランクの3人と友人関係になれたのだからね!」


 そう言って俺の目の前で笑いながらオークキングのステーキを上品に食べてるのは、この国の王、レイナルド=バンベスだ。

 15歳の時に前王が退位し、およそ30年間この国を治めている。若い頃から修行を積み、Aランクの実力を持つ男だ。


「いやぁ、私も若い頃から修行して何とか英雄と呼ばれるぐらい、強くなりたいと思っていたのだがね、Sランクの壁が高くてねぇ、結局諦めてしまった」


「国王様がAランクって相当すごいと思うんだけどな、それより初代国王様ってSSSランクだったのか?」


 俺や零華は既に国王に対してだけは敬語を使うのをやめている。国王の希望なので横に立っている宰相だとか、総帥だとかは止める気もないようだ。

 国王は謁見なんかより食事をしながらの方が良い!! とのことだったので、国王、第二王子、第一王女、第二王女、俺、零華、アリスは席に着き、食事をしながら談笑している。第一王子の姿は見えなかった。


「ん? 知らないのかい? この国の初代国王はね、マルコ様っていうんだ。その奥方だったのがルカ様といって2人ともSSSランクだったのさ!」


 おいおいおい、まじで? この国って2人が作った国なの? っていうか2人が結婚してたの!? 初耳すぎる。


 恐らく、零華も知らなかったんだろう。口をあんぐり開けて瞬きすら忘れて呆然としていた。


「し・か・も! マルコ様ってね、魔法よりもけ……」


「ち、父上!! その話は王族以外にしてはならないという掟があるのをお忘れですか!!」


 第二王子のロクキス=バンベス君が大声でレイナルドを叱っていた。

 子供に大声で叱られる父……いや、そもそも国王が叱られてていいのだろうか? まぁロクキス君が怒るのも無理ないか。

 魔神リリーを崇める国で剣神の使者が王様です! なんて王族以外が知ったらとんでもないことなる。最悪、一族全員打ち首なんてこともありえる。

 宰相や総帥が怪訝な顔で王様たちを見ているのがいい証拠だ。


「そ、そうだった。助かったぞロクキス。クリシュ、アリス、零華、この話の続きは後で教えてやろう。どうせお前たちも王族になるのだしな」


「「「は?」」」


 この「は?」はこの場にいる全ての人の声が重なっていたようだ。

 俺たちが王族? どういうこっちゃ。


「何を驚いているのだ? 私たちは友人同士だが、それは個人的なものだろう? いつでも会える立場にいてもらわないと困る。公爵には流石にさせられないからな。クリシュはイリスの婿として。アリスと零華はロクキスか、カルクの嫁として我が王族の仲間入りをしてもらおう」


「「「お断りします」」」


「なぜだ!? うちの子供は不満かね!?」


 いや、急に結婚とか馬鹿なのか? イリスは第一王女でカルクは第一王子だ。

 もし俺たちが結婚すれば貢献ポイントはすごいことになるが、結婚は大切にしたいと思っているからな俺は。急には決められない。


「いや、不満も何も、イリス様やカルク様、ロクキス様の意見もちゃんと聞いてあるのか? みんな『今知りました!』って顔してるぞ?」


「我が子供達だぞ? 英雄と結婚することなんて栄光にこそ思えど、不満なぞあるはずがないわ!! なぁ? そうだろ?」


(わたくし)は不満はありません」


 おぉっと、イリス様!! そこは反対しようよ!何で目輝かせてるの!?


  イリス様の容姿だが、アリスや零華と比べても全く見劣りしないレベルで可愛い。桃色の髪がカールしていて、どこかフワフワしているように見える。さらに、優しそうな、眠たそうな目をしていて、胸はそこそこある。なぜ胸の話をしたかって? だって着てるドレスの胸元が……いや、これ以上見るとアリスの目が怖いのでやめておこう。


 眠そうな目をパァーっと開いて俺の方を見つめては逸らす。見つめては逸らすを繰り返すイリス姫は、顔を赤くし、どこか熱っぽい。全然悪い気がしないっていうか、むしろ嬉しいが何でまた……?


「イリスはそう言うと思ったぞ! お前は英雄に私と同じくらい憧れを持っていたからな!」


 やっぱりそういうことか!! 俺目的ってよりも英雄目的か! 俺はそういう目的なら断るぞ!


「い、いえ! そういうわけでは……その、く、クリシュ様は……髪が……」


「髪? なに髪って?」


「あぁ、なるほどそういうことか」


「どういうこと? 全然分かんないんだけど」


「ほら、イリスの髪をよく見てくれ」


 フワフワなカールの髪だ。何か問題があるのだろうか?


「綺麗な桃色ですね、フワフワで撫でたくなってしまいます。……あ、これは流石にやばい? 姫様にこんなこと言うのは犯罪とかになっちゃう?」


「そうね、ギルティよ」


「うわぁぁ、ごめんなさい姫様! そんなつもりは! 髪について語るのが不慣れでして! 申し訳ない!」


「い、いえ! 喜びを感じても、不満など感じ得ません!!…… 父上、やっぱり私にはクリシュ様しか……」


「そうだな、偏見も持っておらぬしな」


「偏見? って、だから! お互いをあまり知らない仲で結婚とか! 俺はまだ14なんだって!」


「なんと!! クリシュはまだ14なのか! 成人もしておらぬとはな……イリスもまだ14だから結婚はできぬし、婚約という形になるか……」


「だーかーらー!! 俺にはリリ……」


 言いかけて、零華に殴られました。

 うん、今回のは殴られて当然だわ。色んな意味でデリカシーに欠けすぎている。


「ま、まさか、クリシュ様には既に婚約者がおられるのですか?」


 イリス姫が泣きそうな目で俺を見つめてる。ほんと、なんでこんなに懐かれてるんだろ……

 俺は腫れる頬を抑えながら、一旦零華に目線を送る。


(いるって言わない方がいいわよ)


(やっぱりそう思う?)


(婚約者になったところでデメリットは少ないわ。何年か待ってもらえばいいし、婚約ってことだから、クリシュが婿養子になるんじゃなくて、爵位を貰いつつ、嫁に来させるって感じになるはずよ)


(アリス怒るよね?)


(ヘタレ発動してるんじゃないわよ! これはしょうがないことよ。アリスも分かってるとは思うわ。嫉妬ぐらいはするかもだけど)


(はぁ、先が思いやられるな。第一印象は悪くな……いや、俺にとってはかなり魅力的だな)


(なに、胸の話? ぶっ殺すわよ?)


(ち、違うわ!! 何かね、雰囲気が故郷の知り合いに似てて、安心感があるんだ)


 幼馴染の女の子に似てるんだよな。

 あの子もカールの髪がフワフワで、近くに居てくれると安心できた。


(ふぅん地球の話かしら? まぁいいわ。私は王子と結婚とか普通に断るけどいいわよね?)


(お前の好きにしたらいいさ。玉の輿になれるんだったらなってもいいんだぞ?)


(あんたに付いてくって決めたんだから、信念は貫き通すわ)


(左様ですか)


 話し合いは終わった。話し合いっていうか、お互いに念話を送りあっていただけだがな。俺たちは支配し支配されているから、念話ができるようになっているのだ。



「分かりました。イリス姫の婚約者になりしょう」



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