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常識知らず

 

「あいつら、本当にSSSランクかよ……」


「どうやったらSSSランクになれんだ?」


「ランクが高いやつって貴族になれるんだよな? SSSランクってどれ程の爵位がもらえるんだ?」


 周りの冒険者が俺たちの話をしているな。

 当たり前か。SSSの証明であるオリハルコンのカードは見えるように首から提げてるし、Sランク以上の冒険者なんてそうそうお目にかかれないもんな


「クリシュ様、少しいいですかな? お2人もギルド室までお越しください」


「私たちには敬語じゃなくていいですよ?」


「そういうわけにはいきませぬ。SSSランクの冒険者はギルドマスターである私より地位は上に当たりますので」


「ギルドマスターの地位ってどれくらいなんだ?」


「男爵と同程度です。正確には男爵より少し上ですが、SSSランクの方が確実に私より地位が上なので、流石に……」


「ウォルツさんがやりにくいならそれで構わないよ。な? 2人とも」


「はい、ちょっとこそばゆいですが」


「私も平気よ。慣れてるし」


 そうか、零華は元魔王だもんな。

 ギルドマスターの部屋は執務室のようになっていて、ソファーが机を挟んで2つ置いてあった。俺たち3人は片側のソファーに座り、ウォルツさんは向かいのソファーに座った。

 アリスはソファーに座りたがらなかったが、アリスが座らないとウォルツさんは座れないので無理やり座らせた。


「さて、何点かお話しなければならないことと、聞きたいことがありましてな、まずはクリシュ様、アリス様、零華様、SSSランクにご昇格おめでとうございます」


「ありがとう、SSSランクになったのは結構前の話なんだけどな」


「そうだったのですか、ギルドに報告しなかったのは何かお考えがあったのですね?」


「色々あったよ。零華はともかく俺やアリスがSSSランクって言っても信じてくれるやつは少ないだろ? だからそれなりに成長するまで待ったんだ。とは言ってもまだ14歳だけどな。後はSSSランクになるにはかなり条件が厳しくてな、狩場を他のやつに教えたくなかったんだ」


「なるほど、確かにそのご年齢では冗談を言っている。又はステータスを誤魔化していると思われるのが普通でしょうな。しかも3人ですし。狩場についても納得しました。ですが、Sランク以上の魔物が大量に存在するのなら、私には教えていただきたいのです。冒険者に注意喚起しなければならないので……」


「分かった。SSSランクになるための条件も教えておくよ。知らないよね?」


「是非お願いします」


 それから俺はSSSランクになるための条件と、森を抜けた先にはSランク以上の魔物しか存在しない、ダンジョンがあることを伝えた。


「そんな危険なダンジョンが存在していたとは……あの一帯は立ち入り禁止区域にすべきですね」


「あんな奥まで行けるやつなんて、SSランクぐらいしかいないと思うけどな。そうだ、SランクやSSランクの魔物の素材が大量にあるんだけど、買取できる? このギルド絶対財政難だと思うんだけど」


「それについてはご安心下さい。転送システムを使いますので」


 知らない言葉が出てきたな。


「それは一体どのようなものなのですか?」


「私も知らないわね」


 2人も知らなかったか。


「転送システムはですね、Sランク以上の魔物の素材をギルド本部に送るものなのですよ。ギルド支部では保管が難しいものですから。また、送った素材と引き換えにお金が送られてきますので、お金については心配ご無用です」


「待って、それ全自動なの!?」


「えぇ、自動で素材を計算し、お金を送ります。素材の値段もキッチリとしてますよ、剥ぎ取りの綺麗さも計算されます」


「……それはオーバーテクノロジーすぎるだろ……誰が考えたっていうか、そんなの作ったんだ?」


「神の使者、ルカ様だと聞いておりますね」


 すげぇな神の使者。

 零華も額に手を当て、あちゃーって顔をしている。


 まぁ便利なのには変わりはないか。


「それってどこの支部にもあるの?」


「どの支部にもございますよ。あ、盗もうと考えても無駄ですぞ? 支部内でないと使えない代物でしてな。税もかからないのでお気軽に使ってもらいたい」


「分かった。ありがたく使わせてもらうよ。収納魔法から直接いける?」


 ルカの発明なら、メニュースキルについても分かってると思うから、直接やり取りできると思うんだよな。


「大丈夫です。お金も直接振り込まれます」


「分かった、じゃあ使ってみるか」


 俺たちはウォルツさんに執務室の奥に連れていかれ、もう1つ扉があったことに気付いた。その扉の向こうには、魔法陣が描かれた直径2メートルくらいの円状の鉄板が置かれていた。


「この魔法陣の上に素材を置くと転送されますが、生きているものは無理ですね。人間が送られないようにできておりますので。また、手を触れていただければ収納魔法で直接のやり取りもできます」


「了解、じゃあ早速やらせてもらうけど、向こうの許容量とお金の上限は?」


「詳しくは言えませんが、許容量については何も考えなくて大丈夫ですよ。お金の上限は国家予算10年分以上とだけお答えしましょう」


 ストレージみたいになってるのかな?

 国家予算10年分って相当な額だけど……

 まぁ俺が売ろうと思ってるのはSとSSランクの魔物の素材だけなので、国家予算並みのお金になるとは思ってないけどな。


「じゃあ始めるぞ」


 手を触れると魔法陣は光りだした。俺は素材をどんどん選択してお金に変えていったが、様子がおかしい。

 まだ1割も売ってないのに、光金貨が100枚ほどあった。

 光金貨は1枚1000万リンで(この世界では円=リンで、レートはほぼ変わらない)貢献ポイントは月ごとに得た金額の1%もらえるはずなので、既に国王になった時並みの貢献ポイントを手に入れている。

 これで1割未満なので、SSランクまでの素材全てを売ったら、国王に10回なった時並みの貢献ポイントをゲットだ。

 俺は笑みが止まらず、その後も交換し続けた。


「ふぅ、終わったな。余ってたやつ売れてよかったよ」


 結局、光金貨は1200枚手に入った。欲が出て余ってたSSSランクの素材も売ってしまったのでここまでの金額になった。

 得た金額の1%はやっぱり破格だな。マジで国王目指そうかな。


「ク、クリシュ様、私が400枚は多すぎです!!」


「私も、400枚あっても使い道がないわよ!」


「3等分できるんだから丁度いいじゃないか」


 得た金額の1%なので、その後その金をどう使おうと貢献ポイントには影響はない。もちろん、誰かに譲渡してそれを俺に返してもらっても貢献ポイントは増えない。そこら辺は神さまの不思議パワーでどうにかしてるらしい。(リリーはちゃんと説明してたがよく分からなかったので、神さまの不思議パワーってことにした)


「貰ったとしても私は100枚でいいです。それでも一生をかけて使い切れるか分からない額ですし……」


「……ごめん、私は使い道あったわ。これ貰っておくわ」


「じゃあアリスから貰った300枚を2人で分けるか」


「それは全部クリシュのでいいわよ。私たちが強くなったのはクリシュのおかげなんだし」


「そ、そうですよ!だからこの光金貨はクリシュ様が使ってください!」


「わ、分かったよ。これは俺が貰っておく。アリスたちはアイテムポーチに入れておけよ」


 アイテムポーチ

 ・レア度9

 ・重量無制限でアイテムを入れられる

 ・時間は普通に経過する


 アイテムポーチはダンジョンで2つ手に入れた。あのダンジョンはかなり羽振りが良かったな。便利アイテムがいっぱいあった。


「国家予算3年分も毟り取るとは……どれほどの量の素材を持っておったのじゃ……流通が変わる……世界が変わるレベルなのじゃ」


「おーい、大丈夫ー? 戻ってきてー」


「はっ! 少々考えごとをしすぎておりました。申し訳ありません。1度先ほどの部屋まで戻ってもよろしいですか? お話の続きをしたいので」


「うん、大丈夫」


 俺たちは戻ってきて、先ほどのように座った。


 ウォルツが語った内容は

 ・SSSランクになって爵位が貰えるから3人は王都に行くこと

 ・王都では国王に会うこと

 ・しばらく村には戻ってこれないこと

 ・アリスのメイド服を変えて欲しいこと

 ・常識を学ぶこと

 の5つだった。


「私の服はなぜ変える必要が? 性能は悪くないのですが?」


「貴族が着る服として相応しくないのですよ。国中の貴族を敵に回してしまいます」


「それは良くないな、アリス、他の格好でいこう」


「クリシュ様がおっしゃるなら……気に入っていたのですが……」


「公の場じゃなければいいだろ、他の装備もSSSで作って最強装備にしよう」


 アリスはメイド服を好んで着ているが、俺が頼むと基本何でも着てくれる。

 軽鎧なのは確実だけど、その上に聖女っぽい服を着させてもいいかなぁ。



「……常識を学んでもらうのは最重要項目ですね」


「常識くらい持ち合わせているさ。そうだ、これ使ってギルド職員の雇用増やしたり、拡張したりしてくれ。足りなかったらもうちょっと増やすよ」


 俺はウォルツに光金貨5枚を渡した。


「……だから!! 常識を持てと言っておるじゃろうが!! こんなに貰っても困るだけじゃ!!」


 ーー超怒られました。


 ウォルツに怒られながらも、何とか受け取ってもらい、俺たちは屋敷に帰ってきた。


「と言うわけで、SSSランクになって王都に行くことになったよ」


「ついに報告したかー、爵位も確実に俺より上になるな」


 レイン達にはSSSランクであることは事前に伝えてあった。

 隠すことでもないし、盛大にお祝いしてもらったからな。


「でさ、素材売ったらかなりの金額になったから、これ使って村を発展させてよ」


 俺はレインに200枚の光金貨を渡した。


「……はぁ、ウォルツが常識を教えてやって欲しいって言ってたのはこういうことか」


「だから! 常識くらい持ち合わせてるって」


「クリシュ? 常識を持ってる人は光金貨を200枚もぽんって人に渡さないわ。他人に光金貨なんて渡してはいけないのよ? ウォルツも困ってたでしょう?」


 それはそうなんだが。


「でも母上、残りは500枚あるし、村を発展させたいのは俺も同じ気持ちだからさ! 使って欲しいんだ。足りなかったらまた稼いでくるから」


「クリシュ、200枚も光金貨貰っても、王都レベルに発展させなきゃ使い切れないぞ?」


「予算として取っておけばいいよ。城壁とかも作らなくていいからね? 俺の力は見せちゃったし、城壁は俺と零華が土魔法で作るから。その分は役人を雇ってその人達の給料にすればいいよ! 家族にしか開けられないような金庫も作っておくよ。あと……」


「エル、クリシュの教育を任せた」


「任せれたわ。常識を叩き込んであげる」


 えー、常識ぐらいあるのに、何でみんなこうなるんだ?


「零華、あなたにも常識は必要だから付いてきて」


「え!? 私はクリシュほどじゃないわ!」


「それでも常識は足りてないのよ! 国王様に会うんだったら必須よ! 後、モンスターテイムのやり方を教えてあげる」


 急に関係ない話でてきたな。


「何でモンスターテイム?」


「王都にはド派手に登場しなさいな。ドラゴンとか乗っちゃいましょ! 竜騎士になるのよ!」


「いやいや、他の使者に目を付けられちゃうって! 別に俺は使者と戦いたいわけじゃないんだから!」


「あら、SSSランクになっちゃった時点であなたが使者だってバレてると思うわ。さらに言えばSSSランクは、使者じゃないとなれる可能性低いんでしょ? 3人もSSSランクが急に現れたら、他の使者はどう思うかしら?」


 あぁ、なるほどね。


「そうか、使者が3人で手を組んでるって思う可能性があるな」


「その通りよ。さらに言えば、他の大陸にこの話が伝わるのは当分先になるわよ。この大陸は他の大陸とあんまり交易してないもの。あなたも他の使者の話や急にSSランクが現れたーーなんて話聞かないでしょう?」


「確かにその通りだ! そっか、なら国が俺たちを取り込みづらいように強気でいったろうがいいな」


「そうそう、だから零華ちゃんには素質がありそうだから魔物調教のスキル付けてあげて? 弱い魔物はクリシュ達には必要ないだろうから、できればスキルレベルⅩで!」


「よし! やるぞ零華!」


「えー、私魔物飼いたくないんだけどー、世話とか大変だしー」


「ふっふっふ、大丈夫よ、テイムした魔物はアイテムポーチに入れられるのよ!! 装備品扱いだから!」


「それはすごい! ドラゴンがポーチに入るのね! エサは適当に突っ込んでおけば世話も楽ってわけね! クリシュ、私やるわ!」


「おし! やるか! まずはダンジョン行ってSSSランクのドラゴンテイムするぞ!」


「「おぉー!」」


「っておいコラ待てや!! エルまで常識無くなってやがる! マルティナ、トール! 3人がかりで常識ぶち込むぞ!」


「「はぁ……先が思いやられますね」」


「全くだ……」


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