零華2
「確かにこれはご都合主義が過ぎる気もするけど、前にリリーが『この剣なら自分の命を任せられるっていう風に思えたら発動するかも』って言ってたし、それなら納得できるか」
『あ、あんた、私に命を任せるって……』
「え? 当然だろ? お前は俺の相棒なんだから」
『う、うぅ……』
なんなんだその反応は?
「ほーーーう、これは興味深い反応だな零華よ」
『うっさいわね! あんたは今現在部外者なんだから黙ってなさいよ!』
「はいはい、静かに観察してますよー」
『くっそーー!! この女ズッタズタに切り刻んでやる!!クリシュ! 初陣よ! 』
「いや、初陣はあのクソ野郎で経験しただろうが」
『あれは零華として生まれ変わる前の話よ! 今はあんたの相棒なんだから、これが初陣なのよ!』
「それでいいけど、今はこのスキル早く使っちゃおうぜ」
『え? 私に使ってくれるの?』
「お前以外に誰に使うんだよ」
『それはそうなんだけど……将来的にはもっといい刀が手に入るかもしれないわ』
「それでも相棒と呼べるのはお前だけだ。いいから使うぞ」
俺は有無を言わせず、スキルを使った。
すると零華は淡く光始め、まるで雪のような純白の刀に変化した。
神刀へと昇華したようだ。
零華
・レア度10
・精神支配
・複製
・破壊不能
・擬人化
はい、ご都合主義パート2。
「これは……零華の悲願に近づいて喜べと言うべきなのか、何か裏があるんじゃないか疑えと言うべきなのか、悩みどころだな」
『擬人化……私は私として復活できる……?』
「そういことだな。人前に出たら魔族だって騒がれる可能性はあるが」
「ウチで暮らしていれば大丈夫だろ。何かあったら刀に戻ってやり過ごせばいいしな、それに髪を隠す方法なんていくらでもある」
「それもそうだな。お前が本来の力を振るえるならクリシュの助けにもなるだろうし、擬人化してみたらどうだ?」
『……』
「どうしたんだ? 擬人化できないのか?」
『ううん、違うのよ。ちょっと怖くてね、私魔族ってだけで人に会ったら殺されそうになったこともあるし、話しかけようとしても逃げられたこともあるのよ。だから、クリシュにそんな行動取られちゃったらどうしようって思って……』
なんだ、そんなことか
「そもそもな、俺は異世界から来たって言っただろ? 俺は魔族に偏見持ってるわけじゃないし、嫌いになることなんてないんだから安心してくれ。それに俺はお前の姿を見てみたいんだ」
『……』
「あれ? また黙っちゃったぞ? どうしたんだ一体」
「ふふん、泣いてるんだぞきっと。こいつにそんな言葉をかけるようなやつは、3人目だからな」
『うっさいわよ! ばーーか!! いいわ、擬人化するわよ!!』
零華はそう言うと、淡白く光ながらだんだんと人の形に変わっていった。
やがて光は収まり、立っていたのは、真紅の髪を肩まで垂らし、灼眼を涙で溢れさせている日本の高校生くらいの少女だった。
これまたとんでもない美少女、ハリウッド女優顔負けなのは間違いない。今は泣き顔なので、その美貌と相まって、思わず抱きしめたくなる気持ちをどうにか抑えているが、素っ裸で立っていたので俺は目が離せなかった。
「やった……! 私……復活できたんだ!」
「感激してるとこ悪いが服を着た方がいいぞ、クリシュが興奮してる。全く、実年齢がいくつか知らんが7歳児の反応じゃないな。頬が緩みすぎてる。他の使者が色仕掛けしてきた時心配だぞ私は」
ちっ、余計なこと言いやがって。
「服なんてどうだっていいわよ。それより見てよ2人とも! 私復活できたのよ! 転生みたいなものだからステータスは下がっちゃったけど、スキルは受け継いでるし、新しいスキルもあるから、実質パワーアップだわ!」
おっと、羞恥心とかないタイプか。
そういうの大好きです。ありがとう。
アリスもそうだが、美少女の裸に慣れてしまうといつか困る時が来る気がするので、少しずつ俺が自重するようにしよう。
「とりあえずこのローブ羽織っとけ。で、ステータスだったか」
零華
lv1
ランクH
称号 【魔王】
【クリシュの相棒】
HP ∞
MP 400
筋力 200
体力 130
敏捷力 120
魔力 220
魔法防御 350
知力 190
運 15
スキル 『火魔法Ⅹ』『無詠唱』『身体強化Ⅹ』『魔力制御Ⅹ』『魔力上昇Ⅹ』『MP消費半減』『威嚇Ⅹ』『剣技Ⅶ』
ユニークスキル『魔眼』『複製』『破壊不能』『擬人化』
魔王
・魔法威力超上昇
・魔物には絶対に襲われない(威嚇した時を除く)
・魔法系のステータス上昇率異常
クリシュの相棒
・クリシュとパーティを組んでいる状態だとステータスが50%上昇
複製
・自身を複製できる
・複製したものは自分の意志で消せる
・複製したものは複製以外の全てのスキルを受け継ぐ
擬人化
・刀の状態から人の形になれる
・人の形から刀の状態になれる
レベル1なのにスキルレベルが高いのは、スキルを引き継いでいるからだろうか?
精神支配は刀の時だけのスキルのようだな
それよりも∞って破壊不能スキルの恩恵か? 絶対に死なないじゃないか。
「これは、ちょっと化け物すぎるな」
「束縛されない限り無敵なんじゃないのか?」
「前衛やらせたら、お前のパーティ最強だぞ? 絶対に倒れないし、魔法撃ちながら威嚇で敵の攻撃を集中させられる前衛に、回復も付与も遠距離からの攻撃もこなせる後衛に、オールマイティな遊撃手だろ? 軍相手でも余裕だな。この戦争もうお前の勝ちでいいだろ」
デイスが色々と諦めたような表情をしている。
そうなる気持ちも分からんでもないな。
「私、レベル上げ頑張るわ! で、さっさとこの戦争終わらせて、いつか私の……うん、この話はしないんだったわね。とりあえず、これからよろしくね相棒」
「よろしくな、この戦争絶対勝つぞ相棒」
かくして、俺のチートな相棒が誕生したのだった。
「じゃ、私は帰るけど家族への説明頑張れよ。特にアリスは零華にかなり恨み持ってたから気を付けてな」
そう言ってデイスは転移した。
「え、恨み? あ……そっか! 私がクリシュを塞ぎ込ませたと思ってるのか! あれはただクリシュが疲れて倒れてただけなのに!」
「いや、お前がその後、俺に話しかけてただろ?」
「何よ! 心配してただけなのに!」
「え? 心配? 全然聞こえなかったぞ」
「聴こえてなかったの!? 私を鞘から抜いたら支配してあげるって言ってたのに……」
「それはどうなんだ? 心配してくれてるのか……?」
「私が支配したら精神状態が安定するじゃない」
「初耳だぞ。まぁいいや、明日のアリスや家族への説明考えなきゃいけないし。今日はもう休もう」
「それもそうね。じゃあ私はこのベッドで」
「それは俺のベッドだ。お前は刀に戻って寝ろよ」
「い・や・よ! 肩凝るもの。……一緒に寝よ?」
ベッドに寝ころがり、下から俺を見上げるのは反則だろ。
7歳児の理性を吹き飛ばしてどうするつもりだ。
いつの間にかローブも脱いでるし。
「って、いやいや!! ローブを羽織ってろよ!! 俺の理性が持たないんだ!!」
「7歳児がなーに理性とか言っちゃってんのよ。いいから、ほら! 横に来なさいよ!」
俺はされるがままになり、零華と共にその晩を過ごした。
もちろん俺は隣に裸の美少女がいる状態で寝れるはずもなく、リリーに懺悔しながら、零華をどう説明するべきか悩むのであった。




