ダリル=バルバロックとの戦い
「はぁ、全くなぜ私が殺されなければならないのかね? そもそも君に私を殺せるわけないだろう?」
「うるせぇ、黙ってろ。アリス、こいつぶっ殺してくるから、みんなの治療頼む」
「クリシュ様! 私も戦います!! だから……」
「みんなの命の方が大切だ。こんな奴に俺が負けるわけないだろう? いいからアリスは回復魔法掛けててくれ」
「……分かりました。でもこれだけは掛けておきます。『魔力上昇』」
「ありがとな。さて待たせたなクソ野郎」
「ふむ、その子は獣人なのに回復も付与もできるのか。珍しいな、高く売れそうだ」
その言葉で俺の怒りは頂点に達した。
「『ファイアーディバイン』『シャイニングディバイン』『ウォーターディバイン』『』『』……」
「な! ディバインをここまで重ねがけだと!? バカなのか貴様!!私をこんなに拘束したとろですぐに……」
「『シャイニングレイ』『シャイニングレイ』『シャイニングレイ』……」
「うがぁぁぁぁぁ!!光魔法だとぉぉぉぉぉ!!貴様ぁぁぁぁぁ!」
「タフだなお前。『ジャッジメントサンダーボルト』『ジャッジメントサンダーボルト』『ジャッジメントサンダーボルト』……」
俺がジャッジメントサンダーボルトを50発ほど撃ったところで、クズ野郎はプスプスと黒い煙を上げて動かなくなった。
「よし、こんなもんか、俺はこいつを捨ててくるからな」
「は、はい! いってらっしゃいませ!」
俺はクズとともに転移し、前に魔法の修行をするために発見した高原に来た。
「さて、どうこいつを処分しようかな」
俺の家族を傷つけたんだ。簡単に殺してやるつもりはない。
俺が悩みながらクズ野郎を見ていると、体に少しずつ煙がまとわりついているように見えた。
「ん? 煙が体に……? 回復でもするのか?」
煙は少しずつ大きくなり、クズ野郎の体は全く見えなくなった。
「……嫌な予感がする。とりあえず攻撃してみるか……『ジャッジメントサンダーボ……」
「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺が攻撃する直前で奴が咆哮を上げ、煙が一気に俺に襲いかかってきた。
「くっ、『ハイマテリアルシールド』『ジャッジメントシールド』!!」
物理攻撃かどうかも分からなかったので何枚か魔法盾を展開し防いだのはいいが、煙は中々に晴れない。
奴が逃げ出すのは絶対に避けたかったので、タイフーンで煙を晴らし、姿を探そうとさっきまで奴がいたところ見ると、身長も体格も大きく変わった、いや変わり果てたダリルがそこに立っていた。
ダリルは上半身は裸で、黒いズボンを身につけているだけであったが、まるで全身が黒い衣に覆われているように体までが漆黒に染まっていた。 身長は3メートルほどに伸び、肉体も筋肉で覆われていて、まさに化け物だった。
「なんだ……? なぜここまで変わり果てたんだ? べつに変なスキルは無かったが、闇魔法Ⅻだからか?」
「グガァァァ!! キザバゴロス!! ゴノジョウタイダラ、バケナイ!!」
「言葉もうまく喋れてないな、バケナイって、もう十分お前化けてるぞ」
「バカニヒヤガッテ、ゴロス!!」
ダリルはそう言うと、一瞬消えて俺の目の前に現れた。
「は?」
「ジネ」
俺の左手はダリルのパンチ1つで血飛沫をあげて飛んでいった。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ハハハ!!ジネ!!ジネ!!ジネ!!」
ダリルは恐らく闇魔法の攻撃であろう魔法を俺に撃ちこみまくっていた。
「『ジャッジメントシールド』!!」
盾を展開しても貫かれるほどの威力。
攻撃魔法をぶつけても全く効いてない強靭な肉体。
何をしても無駄だった。
「コレデオワリダ!!ジネェェェェ!!」
俺の意識はだんだんと薄れていき、ダリルの次の攻撃で死ぬと分かった。
前世で死ぬときに次は負けないって誓ったのに。
リリーに必ず勝つって約束したのに。
ここで終わっていいのか?
『我を使うか?』
使うよ。もうお前しかいないんだ。
『なら抜くがよい。我を解き放て』
あぁ、奴を殺すんだ。手伝え。
リリーに禁止されていたがここで使わなければ死ぬんだから許してほしい。
そう思いながら妖刀を取り出し、鎖を取った。
鞘から出した刀身は妖艶に赤く輝いていて、美しかった。
「ジネェェェェ!!」
ダリルが巨大な黒い塊を投げつけて来た。
妖刀はいとも簡単にそれを真っ二つにする。
切れ味も抜群だな。
「さて、化け物。第2ラウンドだ。今度こそぶっ殺してやる」
俺は1分後、ダリルをただの肉の塊にし、火魔法でキレイに消し去ってから屋敷に戻ってきたところで意識を失った。
sideアリス
「ク、クリシュ様!? 大丈……!! え? クリシュ様その怪我はって……!? クリシュ様の腕が、腕がぁぁぁ!」
「アリス、落ち着いてくれ。アリスにしかクリシュは治せないんだ。アリスが取り乱したらクリシュの腕はずっとこのままだ」
レイン様にそう言われてしまったら私は落ち着くしかありませんでした。
「……スゥー、ハァー、もう大丈夫です。ごめんなさいクリシュ様、すぐ治しますね。『パーフェクトヒール』『パーフェクトヒール』『パーフェクトヒール』『パ……」
「いや、全然落ち着いてないぞ!? もうとっくに治ってるから! 落ち着けアリス!!」
レイン様に肩を揺さぶられて私は再び落ち着きました。
「も、もう、大丈夫ですので!! 落ち着きましたので!! ……でもクリシュ様がこんなにボロボロになるなんて……あのクズ野郎は一体何なんですか?」
「あれはダリルだ。ダリル=バルバロック。この大陸に3人しか居ないSSランクの1人で闇魔法を得意としている。あいつはSSランクだが冒険者じゃない。元犯罪者だ」
「元犯罪者ですか。でもそんな奴が何でこの村を、レイン様とエル様を狙った理由は分かっているんですか?」
「あぁ、分かっている。けどそれは後でゆっくり話そう。今はこの村を救うためにアリスの力を借りたいんだがいいか?」
「はい、分かりました。先にクリシュ様をお部屋に運んでもいいですか?」
「頼む。俺はエル達を運んでおく。遅くなったけど、助かったぞアリス」
「はい」
私はレイン様と別れてクリシュ様を部屋に運び、念のために2回ほどパーフェクトヒールをかけてから、クリシュ様が刀を握り続けていることに気付きました。
「クリシュ様はどれほど壮絶な戦いをしたのでしょうか。気を失っても刀を離さないなんて……あれ? この刀って……まさか!? クリシュ様!! クリシュ様!! 起きてください!! 目を覚まして下さいクリシュ様!」
この刀は魔王が封印してあるという妖刀で間違いありません。
これほどまでの禍々しい雰囲気を醸し出している刀なんてクリシュ様は他に持っていないから……
「クリシュ様!! お願い!! 目を覚まして!!」
私はクリシュ様の名前を叫びながら泣き続けました。




