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1章分を一話にしようと思ってたんですけど、無理だったorz

 テッテレ〜。マルシェ、マルシェ!いろんな匂いがする!わぁ、お馬さんがいっぱい!リエちゃん何買うの?

「うーん、あの人がまとめ役の人かな?小麦粉の相談しなきゃ。シルヴァン、いい子にしててね」

『はーい!』

 リエちゃんの後ろで待機。おじさん、おはよ。おじさんの荷車の中から、野菜と血の匂いがするのはなんで?うおー、荷台の中みたいぞ。

「新顔の嬢ちゃんは、もしや新しくきたパン屋さんかい?」

「はい!モルシェンパン屋です、よろしくお願いします。実は小麦粉の相談がありまして」

「ああ!もちろん引き受けるよ!」

 おじさん、リエちゃんと話しながらも私のことが気になるみたいね。うふふ、イケメン魔狼だもんね!気になるだろー!

 おっ!お話終わった?

「パン屋さん、テイマーなのかい?その魔狼?」

「いえ、テイマーではありませんよ。ただのパン屋で、この子はうちの子なだけです。すごくお利口さんなんですよ。ね、シルヴァン。ご挨拶」

「オン!」

 よろしくねー。おじさん目が白黒なってるし。でも、リエちゃんはパン屋で、私はただの居候でーす。

「ほほー、シルヴァンか。愛想のいい子だね。そうだ。商談がまとまった祝いに、鶏を一羽あげよう。うちは鶏の肉も扱ってるから、何かあれば言っておくれ」

 なるほど、血の匂いはこれか!うわっ首チョンパされてる!羽も毟られ見事なまる一羽のお肉だよ!

「わあ、ありがとうございます。惣菜パンを作るのに鶏の肉が欲しいんで、前もって、必要な分を頼みますね」

「前もって言ってくれりゃ、解体もやるよ」

「本当ですか!助かります」

「いやいや、美味しいもん期待してるよ!」

「あはは、任せといてください!じゃあ、よろしくお願いします」

「ああ、よろしくな。シルヴァンもまたな!」

「オンオン!」

 おじさん、バイバーイ。うほほ、鶏まる一羽ゲットだぜ。唐揚げも、焼き鳥も、テリチキもあれもこれもうふふふふー。

「シルヴァン機嫌いいね」

「オン!」

「さて、どんな野菜があるかな」

 おばさん、おじさん、おはよー。

「ま、魔狼かい?」

「魔狼ねぇ」

 おじさん怯えなくて大丈夫よ。私とっても愛想のいい子だから!おばさん、なんかお目目キラキラしてるー。

「シルヴァンです。大丈夫ですよ、お利口ですから」

「オン」

 愛想振りまくぜー。

「まあまあ。可愛らしい子ね。撫でていいかしら?」

「オンオン!(いいよー)」

 うほー、おばさん撫でるの上手ー。

「まあ、本当に珍しい子ね。テイマーの従魔は、主人の許可なしじゃ、触れないのに」

「「?」」

「あら、お嬢さん、テイマーじゃないの?」

「ただのパン屋ですよ。テイムはしてると思いますが」

「オン(です)」

「「……」」

 え、なんか変なの?おじさんとおばさん、顔を見合わせちゃってるし。でも、私、ちゃんと、リエちゃんのいうこと聞くよ?

「大丈夫みたいね。ちょっと変だけど」

「えっと、おかみさん、テイマーに詳しいんですか?」

「ああ。うちのカミさんは、元冒険者で、仲間にテイマーが居たからな」

「おお!」

「ワウ!」

「昔の話よー。テイマーの従魔には、仲間であっても勝手に触らないっていうのが鉄則なの。そもそも従魔も服従はしていても、主人であるテイマーに懐いてることは稀なのよ」

「へー、そうなんですね」

「だから、こんなに周りに愛想のいい子は、本当、例外中の例外ね」

「なるほど」

「アウ」

「うふふ、久しぶりに、魔狼を撫でられて良かったわ。昔の仲間の子はツンツンした子でね。しょうがないから触らせてやるんだって言うのが、ありありだったのよ」

「ツンツンでしたか。うちの子、デレデレですね」

「ブアウ」

「デレデレ!確かに!こんなに撫でて、喜んでくれる子は居ないわね」

 だって、おばさん撫でるの上手なんですものー!そこ!そこなのよぅ!

「くくく。うちの隣の家の犬みたいだな。うちのカミさんに撫でられると、そりゃもう喜ぶんだ」

「おかみさん、撫でるのが上手なんですよ、きっと」

 はうぁ、堪能したぁ。で、リエちゃん何買うの?

「おお、そうだ。パン屋さんは、何か買っていくかい?」

「ああ、そのカボチャ、三個お願いします。後、アイテムボックスになかったのは確か……。そのタマネギ一山。ニンジンとジャガイモも一山ずつ」

「……パン屋さん、持てるのかい?」

「これ、アイテムバッグだから、いくらでも入るんですよ!」

 リエちゃん、リュックもだけどそのトートバッグも、アイテムバッグなんだ。いっぱい持ってるよね。で、入れるものは全部、食料なんだよね。リエちゃんと居たら、絶対食いっぱぐれない自信があるよ。

「なるほど。なら、詰めてくよ」

「お願いします」

「このキャベツ一玉、シルヴァンにおまけしとくよ。うちのカミさんを喜ばせてくれたからな」

「ありがとうございます!」

「オンオン!」

 うほほ。このキャベツとさっきもらった鶏肉で、スープも美味しそう。うふー、幸せやぁ。

「ありがとうございました」

「また、よろしくな」

「シルヴァンもまたね」

「オンオン!(またよろしくね!)」

 リエちゃん、次はー?

「乳製品、一応、みる?」

「オン!(みる!)」

 ふおー!穴あきチーズだ!ミルク味見していいの!?いただきます!おいしぃ!いやーん、美味しいものいっぱい!カッテージチーズ、おまけしてもらちゃった。

「えーっと、あとは豚肉があるといいな。あっちだ。シルヴァンおいで」

「オン!オン!(はいはいただいま!)」

 わー、これハム?枝肉初めて生で見たー!え、端っこくれるの?わーい!美味しい!おまけしてくれるの!?おじさん良い人!マルシェって、楽しい!

「愛嬌って大事よね」

「オン!」

 人間も魔狼も、世渡りには、愛嬌だと思います!

「さ、家に帰って朝ご飯食べよう」

「オンオン!」

 ハイジな朝ご飯、堪能させていただきました。いやー、暖炉でチーズとろけさすなんて、実際にやれるなんて思わなかった!またやろうね!リエちゃん。

「さて、午後からは魔女様たちと約束があるから、それまではパンの在庫焼くよ」

「オン!」

 うふふ、パン生地の切り分けは上手にできるようになったぞ!こねるのも、だいぶできるようになった!風魔法って便利!

「……それは魔法の使い方じゃない」

 ん?ヒマジンの声?

『大きなお世話!手が使えないんだから、使えるもの使って何が悪い!』

「……なぜここまで、方向性の違うことに?おかしいな?ちゃんと戦闘能力のある子にしたつもりだったのに?」

『戦う場がなけりゃ、平和な方向に能力向けるのは当たり前でしょ。戦うしかできないなんて、平時には無用の長物じゃん』

「いや、ここ一応、魔物との最前線だからね?油断しちゃダメだよ」

『一応、忠告痛み入りますー』

「……大丈夫かな?」

 失礼しちゃうわね。ちゃんと、シブメンおじちゃんたちと戦闘訓練もするもんね!ってもう居ないの!?なんなのよ!いきなり現れて好き放題言って消えるとか!プンスカ!

「シルヴァン、南の魔女様たち来たから、行くよー」

「オン!」

 村をお散歩だぁ!魔女様、バスガイドさんできそう。うほ、想像しちゃった!めっちゃ似合いそうだし、固定ファンがつきそう!

「村役場に行きましょうかぁ」

「はーい」

 昨日、登録したところね!

「シルヴァン、役場の見学できるって。一緒に行こう」

「オン!」

「アルギスさん、シルヴァンお願いしますね」

「うん、任せて。行こう、シルヴァン」

「オン!」

 ここは、村の相談窓口かな?こっちはなんだろ?二階に行くの?ほお、会議室とな?ここは村長さんの執務室?色々あるな。

「シルヴァン、そろそろ下に戻ろう。あっちの待合室で、待とう」

「オン!」

 あ、おばあちゃんたち、こんにちは。え、なんか、おばあちゃんたち、強そうな感じがするんだけど、気のせい?

「シルヴァーン?」

「ウォンウォン!(リエちゃんここよー)」

 うふふ、おばあちゃんたちからおやつもらった!

「ありがとうございます、うちの子の相手してもらって。シルヴァン、それは散歩の後でね」

「……オン(はーい)」

 パン屋のバイトさん雇うんだ。そりゃそうか。さすがにリエちゃんと私だけじゃ、お店まわんないよね。可愛いお姉さん来るかな?えっ、リエちゃん料理教室やるの?大丈夫?アルギスさんまで!?料理をする皇子なんて初めて聞いたよ。ちょっと、想像してたのと違うー。

「シルヴァン、ほら、商業ギルドにいくよ」

「オン!(はーい)オンオンオン(おばあちゃんたちまたねー)」

「「「「またの!」」」」

 さー、次はバイト募集の案内だ!魔女様たちは、もう宿出ちゃうの?

 わぁ、商業ギルドの入り口、ものすごい控えめー。宿屋の方とはえらい違いだな。

 あれ?なんかあんまり人の気配がしないよー?お姉さん一人なの?おう!リエちゃん抱きつかれた!一人でお留守番なんだ。かっちょいいおじいちゃんたちと温泉いっちゃたんだ。うん、温泉楽しいもんね、わかるわかる。

 お姉さんも、次はきっと行けるよ。

「ちょっとぉ、芋っ娘居るぅ?」

 あ!魔女様戻ってきたー。おぉう、アルギスさんさっきぶりー。そんな熱烈に抱きつかなくてもいのよー。お、料理長さんと支配人さんも一緒だ!

「あ、魔女様こっち」

「ゲオルグ殿と東のなんだけどぉ」

「温泉に行かれたようですね、ここの職員連れて。この方お留守番だそうです」

「え゛……この子一人なのぉ?商業ギルド大丈夫なのぉ?」

「ほぼ業務停止状態じゃないですかね?そもそも何人いらっしゃったのか知りませんけど。あ、彼女くじ引きで負けたそうです」

「んまぁ、運のない子ねぇ」

 あ、魔女様トドメ刺しちゃったし。泣かないでー、お姉さん。

「むしろギルドを乗っ取るチャンスじゃ?」

「その考え方があったか!」

 わお!リエちゃん、発想が悪役!魔女様に即行、叱られてるよ。なんか、魔女様が開店の準備、心配してくれてる。優しー。狭い村に、そんな人手余ってるのかなぁ?力技でどうにかする方向になってるのがすごいな。

「「コホン」」

 ああ、そうそう、お宿の二人もいたんだった。

 朝の話かな?コンラートさんに、ダニーロさんにメラニーさん。よし、覚えたぞー。

 えーっと、私はアルギスさんの足の間ですか、そうですか。まあ、モフるぐらい、いいんだけどさ。優しくねー。

 わあ、マヨネーズにすごい食いついてきたよ。リエちゃん、南の魔女様の方に、完全に逃げちゃってるじゃん。

「オン!(落ち着け!)」

「「すまない」」

「マヨネーズのことですよね。えっと、一応実家モルシェンで瓶詰めで売ってます。はい、これ」

 へー、リエちゃんちでマヨネーズ売ってるんだ。わあ、瓶入り!海外みたいだーって、ここは異世界か!おお、なんか、マヨネーズ講習会がおっぱじまるぞ。小学校の頃、家庭科でやったなぁ。ダニーロさんて、アルギスさんとおんなじ国の人なんだ。へー。って、お話終わった。皆さんまたねー!

 次は、日用品のお店?食料品店はアントーにさんね。お次は肉屋さん!家畜肉と魔物の肉は取り扱いがちがうんだ。どっちのお肉?リエちゃんの唐揚げは!

「うん。ほんとお前は賢いね。ブッチャーさんとこで魔物の鶏肉があるか聞いてみようか」

 ブッチャーさんとこね!いざゆかん!

「お!?何だこの狼は?肉か?」

 ブッチャーさん?お肉ください!

「えらい人懐こいなぁ?大丈夫かぁ、おめぇ?うっかり革剥がれちまわねーか?」

!?皮剥ぐだって!?魔女様ー!

「……誰が一番強いかよくわかってるよね、うちの子」

 そりゃ、一番強い人の後ろが安全ですもの、リエちゃん。リエちゃんはどう見ても物理的にはブッチャーさんに負けると思うの。見てあのぶっとい腕!でっかいおっちゃんや南の魔女様と比べて遜色ないし!

「あんた!いっつも犬や猫に逃げられて泣いてんだから、せっかく尻尾振ってきてくれる子を脅すんじゃァないよ」

 あ、店の口から奥さんかな?きたよ。しかもカカア天下っぽい。

「お、おう。悪かったなぁ、こいこい。マジックバイソンの骨をやろう」

 おお!なんかいい感じの骨きた!本能をくすぐる骨!ありがとー!おじちゃん、撫でてよかよ!さあ、リエちゃん挨拶はそこまでにして、お肉!お肉!お肉!

「あの、早速お願いしたいんですけど、魔物の鳥の肉が欲しいんですが」

「色々あるわよ?」

「うーん昨日食べたマジッククェイルが味がしっかりしてたから……。あります?」

「ええ。どれ位しましょう?」

 ほわー、女将さんの出したのすごい大きい!丸々した鳥のお肉!マジッククェイルってこんなに大きいん……。

「うわー、大きい。思ってたのと違ったー」

「あんた、どんなの想像してたのぉ?」

「いやこんくらいの手のひらに乗る、普通のうずら丸一羽」

「それは普通のよぉ。そっちならカルニセロの方よぉ。あーそうねぇ、魔獣になるとだいたい三倍は大きくなるって思った方がいいわぁ」

 え、三倍て何?

「え、じゃあこれ更に大きい?」

「そうねぇ、かなり大物ね」

 大物?

「ん?三倍?シルヴァンて普通の狼と比べてどうなんですか?」

 へ?私ですか?私、大きくはなってますけど、お母さんとおんなじぐらいかなぁ?お父さんよりはちょっと小さいかも。

「あらぁ、そう言われたらぁ?普通の狼ぐらいねぇ。成体になる前に魔獣化したのかしらぁ?」

「んじゃ、まだシルヴァンて、もしかして子供?」

「かもぉ」

「ありゃま」

「まだ大きくなるんでしょうか?」

 なるかな!?でもあんまり大きくなっちゃったら、お家に入れなくなっちゃう。そしたらお外生活なの?それはやだー。

「そこはぁ、一緒に居ないとわかんないわねぇ」

 ですよね!私もわかりません!自分のことですけど!それよりも。

「キュウン(お肉ー)」

「え、あ、はいはい。何?流石に丸一羽は……いや、シルヴァン。そりゃ、アイテムバッグがあるからちゃんと保存はできるけどね」

 そう、リエちゃん、あなた、なんでも保存できる袋、お持ちですよね?今使わないで、いつ使うの?今でしょ!

「おいくらです?」

 ウエーイ!お肉ー!腹一杯食べてもあまりそうな肉!ヒャッホーイ!

「シルヴァン、夕飯に食べる?」

「オン!(もちろん!)」

「夕飯は塩揚げ鶏ね」

 リエちゃん、あんた最高やで!やったー!唐揚げ唐揚げ!なんか魔女様居てるけどもはや耳に入らぬー。

「毎度!またよろしくね」

「はい、今度また色々魔物のお肉のこと教えて下さい」

 あ、骨、咥えたまんまだった。リエちゃん、骨も入れてー。

「おう、お利口だなぁ、またこいよ!」

「オン!(おじちゃんもまたね!)」

「どうもありがとうございました。また来ますね~」

「さぁ、順に店を紹介するわよ」

 お店巡りー。えーと、ここの布屋さんは普段着用。ふむふむ。一応出来合いの服もあるけど、村の人は自分で作る人も多いとな。冒険者用の効果がついた布は、鍛冶屋さんの方の並びなんだ。へー。

 ここは薬屋さんと。ポーションもあるんだ、ほうほう。そいで、こっちはお鍋とか調理器具のお店で、包丁だけは、鍛冶屋で直接なんだ。手に合った包丁を誂えてもらえるんだ、すごいね。

 その横は食器屋さんね。木の食器と銀の食器が置いてあるんだ。木工細工と金属細工の扱いで、見習さんが作ったのはちょーお安いんですね。で、弟子がつくような「師」レベルだと目ん玉飛び出るぐらい高価なんだ。ハワワ。

 植木屋さんとお花屋さんは一緒なんだ。パン屋の生垣の管理はここのおじちゃんに頼むのね、なるほど。

「日用品店はこんなものかしらぁ?じゃあ、今度反対側ねぇ」

 はーい、魔女様。広場に戻ったよ。

「通称『ダンジョン用具通り』よぉ。芋っ娘、あんた魔物の肉買ったけど、そういや、さばく包丁持ってるの?」

 特別な包丁があるんだ!ほー、異世界!鍛冶屋さん楽しみー!ドワーフとか居るのかな?ワクワクがとまらーん。

「リエ、リエ。お肉取ってこようか?」

 ん?アルギスさんもダンジョン行くの?大丈夫なの?私も行くけどね!銀の鷹のおじちゃんたちに連れて行ってもらうんだー!

「ではリエ、あとで色々決めようか」

「良いですよ~」

「ゥオンゥオン(私も、私も!)」

「何?シルヴァンもお肉取ってくるの?」

「オン!(もちろん!)」

「んじゃ、料理出来るように道具揃えないとなぁ」

「んまぁ、いい子ねぇ。自分で自分の分を稼いでくるのねぇ」

「やっぱり、シルヴァンうちの子にならない?」

「キューン(それはちょっとー)」

「だめかぁ。南の魔女様、テイムは……」

「アルギスさん、テイムするのは落ち着いてからにしましょうねぇ?早くお兄様のところに帰りたいでしょぉ?」

「うっ、はい。そのとおりです!」

 アルギスさんたら、魔女様に叱られてんでやんの。そりゃ、魔女様も、あのジトジトは相当堪えたと思うんだぁ。根が優しい人だし、みんなが明るい方が嬉しい型の人だもんねー。

「あははは。神殿の鶏の世話でいいじゃないですか」

 リエちゃん、地味に仕返しするなぁ。鶏、案外怖いよ?小学生の頃、鶏当番だったけど、あいつら容赦なく突きにくるからね?飛びかかられるし。

「ムッ。シルヴァン、ダンジョン一緒にいこうな」

「オン(いいよ!)」

「ふふふ。これなら問題ないだろ?」

「ソウデスネー」

「はいはい、二人共、子供みたいな喧嘩しないのぉ。芋っ娘、ここが私お薦めの鍛冶屋よぉ。ここなら日用の品も引き受けてくれるわぁ」

 ワクワク、鍛冶屋さん!ってなぜそこで立ち止まるの!早く入ろうよ!

「私は魔法剣士でもあるのよぉ。ここの鍛冶屋は魔力を通しやすい剣を作るのが上手いのよぉ」

「へぇ~。アルギスさんは?」

「私は解体用のナイフの手入れをお願いしようと思います。これも魔力の通りが良いほうが大事ですから」

「なるほど」

 あ、扉閉まっちゃった!ちょっと!私のこと忘れてる!入れてー!お願いー!はうぅ。うう、なんか向かいのおじちゃんに、ガン見されてる気がするぅ。

「シルヴァン?」

 リエちゃん!ここよ!

「あれ?シルヴァン?」

「キューン(ここですー)」

 はぅ、やっとドア開いた!リエちゃん!

「ごめんごめん、シルヴァン。入っていいよ」

 忘れてたでしょ!リエちゃん、もうもう!

「あら、あなたによくなついているのねぇ。それにとてもきれいな銀狼ねぇ」

 は!イケメン狼でございます!もっと褒めて、女将さん!

「シルヴァン、ご挨拶」

「オン!(こんにちは!)」

「あら、お利口なのね。よろしくね、シルヴァン。二軒先にテイムモンスター用の道具を扱っているお店があるから、ブラシとか買ってあげたらどうかしら?」

 よろしくねー!ブラシですか?ますます私、イケメン狼になる?これ以上きれいな毛並みにんるんですか?うふふ、うっとりー。

「シルヴァン、最高級のブラシを買ってやるぞ」

「よかったねーシルヴァン。お気に入りのブラシ買ってもらいな」

「オン!(ぜひ!)」

「私はぁ、魔道具屋でダンジョンに潜る時に必要なアイテムを買ってあげるからねぇ」

「オン!(わーい)」

「うちの子、貢いでくれる人がいっぱいだよ」

「あらぁ、可愛いもの、この子。ねぇ」

「ォン?(でしょぉ?)」

「シルヴァン、おやつ上げるからって言われて、知らない人にひょこひょこついてっちゃだめだよ。肉屋のおじさん言ってたでしょ?革剥がれちまうって」

「キュゥ!(リエちゃん!?)」

「芋っ娘!脅さないのよ」

「へーい」

「いや、シルヴァン。アマーリエが信頼している人以外はホントだめだよ?」

 アルギスさん、優しい。はい、のこのこお菓子あげるにはついていきません。

「オン(誓います!)」

「やっぱりお前は賢いなぁ」

 うふふー。撫でて撫でてー。

「はいはい、座り込まない。ブラシ見るんですよね?」

 はーい。で、ここが魔物用の道具屋さんですか。ほー、ペットショップみたい。壁にいろんなものが掛けてある。あれは首輪かな?トゲトゲついてる!

「シルヴァンおいで」

 あ、はい、今行きますー。ブラッシングですね。優しくしてね。

「シルヴァン、こっちとこっち、どっちがよかった?」

 こっちが肌あたりよかったです。

「こっちだね。こちはどうだろ?」

 こっちは、綺麗に(くしけず)られてく気がします。

「シルヴァン、ちょっとこっちにいらっしゃーい」

 はーい、魔女様。あれ?お店のお姉さん、店長さんかな?目が丸くなって、首傾げてるし。ま、いいや、気にしない。魔女様、何?

「防御用のアクセサリーを見るのぉ。いろいろあるわよぉ」

 おお、イヤーカフスに首輪と足輪?胴の鎖帷子もあるんだ。試着ですね?

「いやん!お耳ぴこぴこさせて、かぁわぁいぃい!」

 イヤーカフスは、そこまで嫌じゃないです。鎖帷子は、ちょっと動きにくいし音がやです。

「こっちは動きにくいのねぇ。音も、ダンジョンじゃ位置がバレることになるからダメねぇ。あなた向きじゃぁないわぁ」

 その通り!さすが魔女様!

「あらぁ!このリボン、素敵!シルヴァン、じっとしててぇ」

「……」

 リボン、大きくないですか?ふんわり可愛いピンクのおリボン。好きですよ、でも似合うかどうかは別問題だと思うの。私の目指すのはイケメン狼なのですよ!

 リエちゃんと目があった!吹き出すの、堪えたの丸わかり!やっぱり似合ってないんじゃん!わーん。

「可愛いわぁ、でもダンジョンじゃ邪魔にしかならないものねぇ」

「ぶっはぁ、やばい、可愛けど間抜け可愛い感じだよ。はぁ、腹筋崩壊するかと思った。あの、今更なんですけどシルヴァンて雄です雌です?全然確認してないんですが」

 リエちゃん……。雄ですよ!れっきとした!ついてますから!

「尻尾を上げたらわかるよ」

 って、アルギスさんいきなり何するんですか!

「雄だね」

「キューン(ひどい〜)」

 魔女様、アルギスさんがセクハラするー。

「あ、シルヴァン」

「いきなり尻尾掴んじゃだめよぉ。最悪がぶりとやられるわよぉ。シルヴァンだから何にもなかったけどぉ」

「ごめんね?もうしないから」

「キュゥ(ほんと?)」

「ほら、こっちとこっち、どっちのブラシが良い?」

「オン(こっち)」

 これが一番良かったです。

「貢がれまくってるなぁ。魔女様、そのリボンは流石に邪魔になると思うんで勘弁してやって下さい」

「クゥン(勘弁してー)」

「わかってるわよぉ。ちょっと付けてみたかったのよぉ」

 え?つけてみたかっただけですと?まーじょーさーまー!私で遊ばないで!ブー。

 なんかリエちゃんと店長さんが、私用のアイテムバッグで盛り上がってるようですが、物はまだないんですね。残念。今までもらったおやつ、早く入れられるといいなぁ。

 アルギスさん、何?買ったの今つけるんですか?いいですけど……。なんか、自分一人フル装備な感じで、場違いな?いや、嬉しいんですよ?ここまでいろいろ揃えてくださって!でも今、つける時じゃないきがします。

 リエちゃんの孫、弟妹発言に同意いたします。狼だけど、猫可愛がりされてる気がする?さ、装備外してちょ。

 なんかリエちゃん、店長さんと話が続いてるけど、また予定入れちゃてる。店長のマーサさんもなんかグイグイ行くタイプみたいだし。大忙しだね。あ、流石に魔女様が止めた?止めては無い?監視はするんだ。

 南の魔女様の真顔に、マーサさん、赤べこになっちゃった。やっぱ魔女様強いよねー。お話済んだみたいだし、次はどこ行くの?

 なんで、リエちゃんとアルギスさんは、けんか友達みたいになってるんだろ?巻き込まないでー、魔女様の後ろに避難!

「二人共ぉ、シルヴァンを困らせないのよぉ」

「「は~い」」

「さて、じゃあ次は魔導具屋ね。ほら、いくわよぉ~」

「はーい。じゃあマーサさん、また今度!」

「ええ、よろしくね!」

 マーサさん、またねー。ふぅ!装備は整った!これで、いつでもダンジョンに行けるぞ!いえーい!








 

シルヴァン視点で書いてるので本文にないところを、なるべく補足したいなと思うんですが、ヤバイ、字数が増える増える(><)

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