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取り敢えず道中編までの中の人のあれこれが終了です。一年目の方は全体を見ながら書きます〜

 朝ごはんを食べ終わったら、リエちゃんはかっちょいいおじいちゃんに呼ばれて村長のおうちへ行っちゃいました。

 おっちゃん達は、明日の出発の準備をしてるので、じゃまにならないように、ちょこちょことお手伝いしてます。

『はい、どうぞ』

 でっかいおっちゃんが荷物の整理をしてるので、くわえて渡していきます。

「お、ありがとなぁ」

 ムフフ〜もっと撫でて〜。

「なぁ、ベルン」

「……飼わないぞ」

「まだ何も言ってないだろ!」

「言わなくったって分かるっての。何年付き合ってきてると思ってんだよ」

「うぐっ」

 え〜?そんな仲なの〜?熟年夫婦?

「それに、こいつは舌が肥えてる」

「……まあ、そうか?」

 いやん、そんなふうに見ないで〜。

「うまい飯につられてテイムされるようなのに、誰が飯を作るんだ?飯が不味くて拗ねたらどうする?」

「……」

 ぬ、美食家というわけではござりませぬ!単純に、調理されたものが恋しかっただけです!ただリエちゃんのご飯が美味しかっただけなんだー!で、ちなみにおっちゃんたちの料理スキルは如何なもんよ?

「お前、パンを切る技術は上がってるが、それ以外はどうなんだ?」

「そういうお前も食べるの専門だろうが!」

「そうだ!他の奴らで可能性があるとすればグレゴールぐらいだが、あいつの仕事じゃないだろう?」

 あかん。これあかんやつや……。リエちゃん、一生ついてきますから!

「うっ」

 あーあ、でっかいおっちゃん目がうるうるしてきちゃったよ。しょうがないな〜。うり、かまってやるぞぅ!

「駄目ったら駄目。リエのだから!」

「せっかく、なついてくれたのに〜」

 うん、でっかいおっちゃんもすきよ〜。

「アルバンでリエのところに通え。ただし、リエ目当てだと思われんようにな。ダールさんに殺されるぞ?」

「うぐぐぐぐ」

 ダールさん誰?リエちゃんのお父さん?でっかいおっちゃんより強いの?

「シルヴァーン」

『ハ〜イ』

「一緒にダンジョン行こうな」

『はい!』

「おまえな。こいつがどれぐらい戦えるのかわからんのに無茶言うな」

「仕込むから!」

「リエに聞け、リエに。護衛代わりにはちょうどいいだろうが、ダンジョン向けに特化してもリエが、困るだろう」

「……いや、リエなら代わりに面白いもの拾ってこいとか言いそうだから、大丈夫だ!」

「うっ、それは否定できん」

 興味あるの!ダンジョン!連れてってね!

「ほら、シルヴァンも行きたいみたいだぞ!」

『行きたいです〜』

「……しゃぁねーなぁ」

 わ〜い、ダンジョン!

「ただし、戦えて身を守れるようになること!それが最低限だからな!」

『はい!』

「お〜!色々教えてやるからな!シルヴァン」

 お願いします!

「……やる気に満ち満ちてやがんなぁ」

 やる気はチョ〜大事よ〜。

「只今戻りました〜」

「おう、おつかれ」

「戻ったか」

『リエちゃん!お帰り〜』

「あ、シルヴァン。ただいま〜。何してたの?」

『お手伝い!』

「俺の、荷造りの手伝いだ。リエ、あのな」

「シルヴァンは、一応うちの子ですから」

『やった!』

「ち〜が〜う〜。それにまだなんにも言ってない!」

 アハハ、でっかいおっちゃんいじられ役?

「違うんですか?てっきりシルヴァンと一緒に暮らしたいのかと」

「暮らしたいけどな!うちじゃ、シルヴァンを引き止められるだけの料理スキルを持ったやつが居ない」

「え。そこ?いくらシルヴァンが食べるの好きでも、そこはそれ、料理人雇うとか」

「リエ?お前はシルヴァンをどうしたいんだ?」

 シブメンおじさんからツッコミいただきました!

「あ。うちの子です。でも、シルヴァンがダリウスさんちの子になりたいと言うのであれば、ひきとめられませんよ?」

『リエちゃんちの子になる〜』

「よく見ろ、シルヴァンはお前の方に尻尾振りまくってるだろ」

 でっかいおっちゃん、そんな泣きそうな顔しないでよ〜。リエちゃんのご飯が美味しいのが悪いのよ!

「ですね。美味しいもの食べさせてあげるからね」

『絶対ね!』

「ダリウスさんちって……。俺んちでもあるだろうが……。家はないんだぞ?そこはどうなんだ?」

 シブメンおじちゃんが何か言ってる〜。

「……ずるい」

 あ、虎耳のお姉さん、お帰り〜。

「……ダフネ?」

「私も、たまにリエんちの子に……」

「あのな?なるな。リエんとこの食費がかさむだろうが」

 たまにですか?ごはん食べにって??

「食費ぐらい稼ぐ!」

「ダフネさんがうちの子でもいいですけど、ベルンさんの目が座ってますよ」

 あ、シブメンおじちゃん怖い顔になってるー。

「ダフネはうちの子だ!」

「だそうですよ。それでダリウスさん言いかけたことって?」

「そうだった!なんで話が違うところへ向かうんだ!シルヴァンをダンジョンに連れていきたいんだが」

 でっかいおっちゃん、そんな切実そうな顔をしなくても。リエちゃんダメって言わないと思うのよね。

「シルヴァンが行きたいなら構いませんよ」

「シルヴァン!」

『行きたいの!』

「行きたいみたいですね。ただ、ダンジョンで怪我したり、みんさんに迷惑にならないよう、ちゃんと訓練するんだよ?」

「俺が責任をもって仕込むから!」

「わたしも手伝うぞ」

「ベルンさん、すいませんがお願いしますね」

『おじちゃん宜しくねー』

「はぁ、許可が出たし、いいぞ。その代わりビシバシ行くからな」

『……あい』

 ちょっと失敗したかもしれぬ〜。頑張らねば〜。でっかいおっちゃん、癒しておくれ〜。リエちゃんはこの先の食料を村の人に交換してもらいにでていっちゃいました。

「よし、おれも村の外で何か狩るか、採集してくるか」

「わたしも行くぞ!そしてリエに美味しいものを作ってもらうんだ」

「オンオン!」

「お、シルヴァンも行くか。じゃあ、森で基礎訓練でもしながら行こう」

 あ、あれ?訓練込みですか?ま、まあ頑張ります〜。



 ふぅ。いっぱい頑張った。主にきのこやベリーの採集だけど。疲れた〜。

 子連れイノシシはチョー怖かった。うり坊が可愛くてうっかり近づいたら、オカーサンイノシシに追い掛け回されたよ。

 シブメンおじちゃんには子持ちに近づくなって叱られちゃうし。狩りはいいとこなしだったぜぇ。

 虎耳のお姉さんには、群れのなかで狩りができなかったのかと聞かれてしまったよ、トホホ。

「落ち込むな、シルヴァン。まだまだやり方はある。元気出せ、な?」

『おっちゃん……』

 でっかいおっちゃん大好きだー。うわーん。

「あれ、ベルンさん、シルヴァンどうしたの?」

「狩りでいいとこなしだったんで落ち込んで、ダリウスに慰めてもらってる」

「あらら。次、頑張れよ、シルヴァン」

『……はい』

 クスンクスン、優男のおにーさんも優しい。

「お前ら甘やかし過ぎだぞ」

「いいんだ!厳しいのはお前だけで」

「なッ!?お前なぁ」

「只今戻りましたー。夕飯すぐ作りますね〜」

 リエちゃんの美味しいご飯で今日の失敗を癒やすんだぁ。うう、美味しい。狩りは今度頑張るもん。

「シルヴァン、明日は朝早く村を出発するからもう寝るよ」

『ハ〜イ』

「よし、シルヴァン今日は俺と寝るぞ」

『ういっす、シブメンおじちゃん』

「な!?ベルン、抜け駆けだぞ!」

「狩りの反省会も兼ねて一緒に寝るんだ」

『え〜』

「お前このままじゃ、ダンジョンに連れてけないぞ」

『う』

 月が真上に来るまで、シブメンおじちゃんにあれこれレクチャーを受けました。最後の方はうつらうつらして殆ど聞いてませんでした。


「…来た」

『なんか来た!』

 あわわわ、なんかでっかい魔力の塊が来た!美魔女なおねえさんの顔が、顔がこわい!なんか皆さん慌ただしく出発の準備始めちゃいました。ふおー、なんか起こったんだろうか?誰か来たみたい。

 シブメンおじちゃんの苦手な女の人?

「ほら、シルヴァン、来い。さっさと飯を食べて出発するぞ」

『はい!』

 なんだろう、シブメンおじちゃんと美魔女なおねえさんがすっごいピリピリしてる。いつもゆったりしてるのに。

 リエちゃんにくっついて炊事場に行っておとなしく待ってると……。

 すごい!なんかすごいの来た!あっ、リエちゃんが珍しく逃げてる!わたしもその後ろからこっそり拝見。

 ほ〜え〜。はじめてみた!マッチョでエルフでオネエな魔女!すごい!色んな意味ですごい!衣装も派手派手や〜。で、この存在感たっぷりなお方が、あの大和撫子がしたためたようなお手紙の方ですか、そうですか。死にかけてるっぽいけどシブメンおじちゃん色んな意味で頑張れ!

 あ、そちらの真っ白な衣装の押出の弱そうな兄さんがじつはメイン?へー。へー。全然偉く見えない!

 そのまま、朝ごはんになったのででっかいおっちゃんのそばで様子見しながらごはんです。ウッゆで卵喉に詰まるぅ、水ください!

「大丈夫か?ほら水」

 優男のおにーさん、ありがとう。皆さんの話に花が咲いているようです。

「まぁまぁ、お二人は仲がよろしいのね。いつも?」

「ええ、東の魔女様。主人には女孫がいらっしゃらないので孫代わりのようなものですよ。孫にそそのかされて、領地巡遊してますし。隠居しても元気なら領地を巡って悪を退治するといいんだそうですよ」

「我々は名前のせいで巻き込まれたんですよ」

「?」

「ご隠居のお供はスケさんとカクさんでなきゃだめなんだそうですよ、リエいわく」

「まぁ?」

「そう言うお話があるんですー」

「聞いたこと無いぞ?」

「とっても局地的なお話なんですー」

「はぁ?」

 リ、リエちゃん?それはもしや水戸の御老公様???しかもそれフィクションやー。ラーメンも餃子も食べたおじいちゃんですけど蝦夷探検とかも有名なんだぞ〜!

「シルヴァン?どうした?」

『何でもない〜』

 そしてまた温泉に行くことになっちゃった。

「さあ、おばあちゃん同士、一緒に入りましょう。久しぶりですねぇ、昔暑かった日に川で水浴びしましたねぇ」

「ちょっとぉ!誤解招くような言い方しないでくれるぅ?それあんたが五つの時の話でしょうがぁ。あんたたちのお守りは大変だったのよぉ!」

「もう六十年にもなるんですねぇ」

「一人でゆっくり入るわよぉ!」

「いいじゃないですかぁ。さあさあ」

 わ〜、可愛いおばあちゃん最強ー。リエちゃんはまたせっせと蒸しパン作り始めたし。

「シルヴァン、一緒に入るぞ」

『ハ〜イ』

 でっかいおっちゃん遊ぼ〜。は〜、温泉気持ちいい〜。

「この子は?」

「ああ、リエがテイムした魔狼でシルヴァンですよ」

『はい、こんにちは〜』

「よろしく。賢そうな子ですね」

 押出の弱そうな兄さん、お目めキラッキラしてるし?なに〜?

「子供の頃、動物をとても飼いたかったんですよ。触っていいかい?」

 しょうがないから触らせてやろうではないか〜。ほれ。

「はぁっ!可愛いなぁ」

「……シルヴァン、お前とんでもないのたらしこんだな」

 何ー?シブメンおっちゃん聞こえないー。なんかそのまま馬車の中でも押出の弱そうな兄さんの抱きまくらにされちゃったしー。あ、でっかいおっちゃんそんな寂しそうな目で見つめないでー。

 押出の弱そうな兄さんはリエちゃんに心へし折られてちょっとどころでなく落ち込んじゃった。でもリエちゃんの言うとおり、押出の弱そうな兄さんのお兄ちゃん、絶対大事にしてるよねー。

 何か、村が見える丘についたみたいなんだけど、離してもらえないから全然外見えなかったし!

でも、今日からパン屋さんちの狼やります!


って、え?まだわたし離してもらえないんですか?勘弁してよ~。




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