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美魔女なお姉さんの魔法の馬の後を必死について走ったら村に着きました。久しぶりに、いっぱい走った気がします。ずっと、同じとこにいましたから。悪者退治もしたし、今日は本当にいっぱい動きました。
リエちゃんと優男のおにーさんはお馬さんのお世話をするようです。お馬さんが怖がるから来ちゃダメって言われて、でっかいおっちゃんに遊んでもらうことになりました。
おいでをされたので突撃します!えいやっ!
ウッホーい、軽々受け止められました。うはは、もふもふされた〜。きゃ〜♡
もっと遊んで〜。
た〜の〜し〜い〜♪何やらシブメンおじちゃんが色々言ってますが、でっかいおっちゃんのモフモフが楽しすぎて音に集中できないし!
「うるさい!ベルン!」
おっちゃんの声に固まっちゃいました。怒られたわけじゃないんですけど、怖いです。
「あ、すまんすまん。お前に怒ったんじゃないからな〜」
おっちゃんは、慌てて私をなだめるように優しい顔で撫でてくれます。うふふ〜もっと撫でて〜。
「デレデレですね〜」
あ、リエちゃん帰ってきた!
「デレデレだね。ダリウスさんのあんな顔始めてみたよ」
優男のお兄さんがコソッリつぶやいてますが、私には丸聞こえですよ〜。
「ダリウスさん、よかったら今日シルヴァンと一緒に寝ますか?暖かいと思いますよ」
え?リエちゃん私、でっかいおっちゃんと寝るの?お外じゃなくていいの?
「いいのか!?」
むしろ私のほうがいいんですか!?何やらシブメンのおっちゃんがお腹抱えて笑ってますが何がそんなに面白いの?
「いいですよ〜」
「よし!シルヴァン一緒に寝ようなぁ」
『は〜い!』
今日の夜は藁のお布団に毛布にくるまれて、でっかいおっちゃんに抱っこされて寝ました。暖かいです。
翌朝、苦しくて目が覚めました。ギューっと抱きしめられてました。前世でもこんなハグされたことありません。またリアルな意味で昇天しそうです〜。リエちゃんヘルプミ〜。
リエちゃんに助け出された後、でっかいおっちゃんにごめんねをされた。しょうがないからべろりとおっちゃんの顔を舐めて許してあげました。
ご飯を作るために移動するようなので、一緒についていく。共同の炊事場があった。リエちゃんはご機嫌で朝ごはんを作ってる。でかいおっちゃんはパンを一生懸命切ってた。じっと見てたら、端っこくれた。アムアム、このパン美味しい。
リエちゃんが色々お話してるのを聞いてると、この世界はかなり凸凹な発展の仕方をしてるようだった。私みたいな魔物もまだまだいっぱいいるみたいだし。ダンジョンもあるんだって!お願いしたら連れてってもらえるかな?風魔法と回復魔法のレベルを上げて役に立つ所見せて連れてってもらうぞっと!
虎耳のお姉さんは食べ物を交換してきたみたいで、お蕎麦と小豆があると聞いたリエちゃんは温泉まんじゅうを作ると張り切ってます。でもあんこ炊くのって時間掛かるよね?また温泉行くのかな?
ちっちゃ可愛い女の子が走っていっちゃいました。ちっちゃ可愛い女の子が蕎麦と小豆を持って帰ってきたら、朝ごはんになりました。
ご飯を食べ終えたら、騎士のお兄さんたちが来て、また廃墟みたいなところに行くことになりました。廃墟のちょっと開けた場所に座って事情聴取が始まりました。美魔女なお姉さんのそばにいろと言われたので隣でおすわりしてます。誘拐の話が始まったんですけど、あんまり興味ないのでうつらうつらしてます。
時々私の名前が出るのでハッとして起きて話をちゃんと聞いてるふりをします。
「……シルヴァンにこちらの意図を酌んでもらわないことには話しにならなかったので、テイムすることにしました」
また私の名前がでたので、慌てて座り直します。キリッとした顔でリエちゃん話してますけど……。
「いや、お前が単にテイムしてみたかっただけだろ」
おじちゃん騎士がツッコミ入れてます。
「スキルを獲得できる機会があるなら活かさないでどうしますか!」
「おまえ、これが、蟻の魔物だったら絶対テイムなんかしなかったろ?」
騎士のおじちゃんに指さされてしまいました。おじちゃんお行儀悪いよ。アリンコは流石にテイムしないんじゃないの?よっぽどの虫好きじゃないと。巣穴の観察するぐらい。
「…」
リエちゃん目が泳いでるよ。
「ノール、それぐらいにしてやれ。それで、どうやってテイムしたんだ?米を与えたのか?魔力のこもった食べ物はそれぐらいしか持っていなかっただろう?」
「?」
「?」
『?』
魔力なかったよ。普通の塩味の唐揚げでした。調理された食事は久しぶりで大変美味しゅうございました。色々問題がでているようですが、そもそも私テイムされてるんでしょうか?よくわかんないんですよね。ちょっと自分のステータス画面見てみようかな。
どれどれ、リエちゃんは友誼結んでるし、おっかない人には降参してますけど?テイムの状態なのかなこれ?わかんないや。ま、いいか。お話はいつの間にか魔法の話になってました。美魔女なお姉さんが魔法のお話をしてくれました。
なるほど、きちんと想像してちっちゃな力で大きな結果を出すのが上手な魔法の使い方なんですね!色々使って練習するのがいいと。私も風魔法と回復魔法頑張ろーっと!
リエちゃんは魔力が少ないけど少ないなりに工夫して使ってるみたいだから、お手本にしよ。
何やら、災害級の魔物の暴走があるみたいですが、そんなのが起きる所の近くに行くのって大丈夫なのかしら?皆さんお強そうだし、何度も危機を乗り越えてらっしゃるみたいだから大丈夫なのかしら?私も回復魔法を鍛えてお手伝いした方がいいのかな?
お話が終わると、魔力溜まりを皆さんで探し始めたので私もついていってちょこっと魔力頂いちゃいました。
リエちゃんは騎士のお兄さんに温泉のことを問いただされてましたが、面倒になったらしく百聞は一見にしかずを実行することにしたようです。うふふ、温泉♪
でも、温泉の前にお昼ごはんにするそうなので、リエちゃんに唐揚げ頂戴って念話してみました。言葉がいまいちなので、画像メールみたいな感じでやってみたよ。
リエちゃんに褒められて、唐揚げゲットです!なんか皆さん揉めてらっしゃいますけど、食べることに集中したいと思います。もぐもぐ。
お昼の後は温泉です。冒険者のおっちゃんたちや騎士のお兄さんたちを温泉に追いやって、リエちゃんは温泉を囲むように防御幕を張ってしまいました。私は一応、護衛のつもりでリエちゃんの傍にいようと思います。だって、また変な匂いの悪い人が来て、リエちゃんに何かあったらいやですもん。
リエちゃんは、蒸しパンを作り始めました。黒砂糖の甘い香りがします。岩屋の方から、平和主義の騎士のおじちゃんの歌声が聞こえてきます。何の歌かはよくわかんないですがかなりごきげんなようです。
できたてホヤホヤの蒸しパンが私の目の前に置かれました!わ〜、素朴な蒸しパン前世ぶりです。鼻先で温度を確かめて、そろそろいいかな?
ハフハフ、もっちり甘くて美味しい〜。甘味久しぶり〜。もう半分♫
はぁ、もうなくなっちゃった。皆さんも温泉から出てきちゃいましたし。シブメンのおじちゃんをじっと見てたら、半分蒸しパンを分けてくれました!やった!いい人〜。
リエちゃんは温泉で村おこしを考えついたみたいですが、色々先のことを考えてちゃんと計画をたてるようです。そりゃそうだよね。日本だって、温泉郷も浮き沈みしながらやってきてるんだし。考えなしじゃ村までなくなっちゃうよね。偉い人にお話を通して、村の人にとっていい道筋ができるといいなぁ。
おじちゃん騎士が死亡フラグをたててたけど大丈夫かな?色々お話が終わると皆でまた村に戻りました。
皆さん、それぞれ書類仕事を始めちゃったので、こっそりお馬さんを見に行っちゃいました。
二頭のお馬さんは最初、すごく私のことを警戒してましたが、座って尻尾を振って好きよアピールしたらだんだんそばに寄ってきてくれました。夕方、優男のおにーさんが二頭の世話をしに来るまで二頭とだいぶ仲良くなりました。
「あれ、シルヴァン。こんなとこに居たのか。リエの傍を離れるなよ?でないとお前、魔物なんだから知らない人間に見つかったら追い掛け回されるぞ?」
『それは怖いんですけど!?』
「ほら、二頭の世話が済むまで待ってろよ。一緒にリエのところに戻ろう」
『は〜い』
優男のお兄さんがお馬さんの世話を終えるとお馬さんにバイバイしてリエちゃんのとこに戻りました。今日はリエちゃんと寝るのかな?
「シルヴァン!今日はわたしと寝るんだぞ」
戻ったら、いきなり虎耳のお姉さんに申し渡されました。良いですけど。
「え、いつ決めたの?」
優男のおにーさんが驚いた顔をします。私も気になります。
「ついさっき。シルヴァンと寝たい人に立候補してもらってくじで決めました」
リエちゃんが恬淡と優男のお兄さんに説明します。説明されたお兄さんはがっくりと項垂れちゃいました。どしたの?
「俺も、立候補したかったんだけど?」
「グレゴールさんは魔狼の匂いがついて、リルとハルに避けられたらかわいそうかとあえて外しました」
「いろいろ考えてくれたんだろうけど、もうリルとハルはシルヴァンと仲良しだよ」
そう言って、優男のお兄さんは私に抱きついてきました。仕方ない、モフモフで癒やしてあげようじゃないか。触っていいぞー。
「シルヴァンの毛並み結構柔らかいな。細いからか?」
うふふふ〜そこそこ。もっと撫でて〜。おにーさん撫でるの上手ね〜。
「シルヴァン、寝るぞ」
ワヒャア、胴が伸びちゃうー。脇に手を突っ込まれて持ち上げられちゃいました。虎耳のお姉さん、力持ちね。
「ダフネ、シルヴァンの体に悪いから、そんな持ち上げ方したらダメだぞ」
優男のおにーさんがメッと虎耳のお姉さんをしかります。確かに、これいやです。下ろしてください。
「どう持ち上げるんんだ?」
「いや、シルヴァンはちゃんと自分で歩けるんだから持ち上げなくていいの。動けないときだけこうやって抱っこするんだよ」
おにょ、胸とお尻をしっかり支えられてるからお兄さんの持ち方すごく安定してる〜。
「交代!」
「しょうがないなぁ。シルヴァン下ろすぞ。ダフネが抱き上げるけどじっとしてろよ」
『は〜い』
虎耳のお姉さんは、今度は安定した抱っこをしてくれました。
「シルヴァンどうだ?」
『安心です〜』
「大丈夫みたいだな」
「よし、シルヴァン寝るぞ」
ギュッされて虎耳のお姉さんと寝ることになりました。お姉さん、お胸が少し硬いようですが、もしやそれは胸筋?
「シルヴァン?」
『なんでもありません』
大人しく寝ることにしました。はい、おやすみなさい〜。ZZZZZZ
翌朝目を覚ましたら、虎耳のお姉さんにボディプレスされてました。リ、リエちゃんヘルプミー。