2−13
お久しぶりです。とりあえず生きてます。
「クッ、今日は色々削られたかも」
「キュウ(そうねー)」
SAN値直葬レベル?ギリ、ポイント1で保ってる感じよねー。回復アイテムプリーズ。
「……次の祭りで恋人見つけるんだから!」
「うふふ、頑張ってねブリギッテ」
ナターシャさん、既婚の余裕ってやつですか?
「祭り?」
「クゥ?(いつ?)」
「年に二回あるの。リラが咲く頃に花祭りで、秋に収穫祭。マチェット、ホーゲル、バーシュクの三つの村 が持ち回りでするのよ。今年はマチェット村ね」
近隣の村と合同でやるんですね!あれ?ここの村は?規制が厳しいからこの村じゃ、開催されないのかな?でも参加はするんですね?
「なるほど。うちも余裕があったら、なんか屋台出そうかな」
リエちゃん、屋台ですか!?楽しそう!あ、でも屋台の食べ歩きもしたいー。ヌーン?
「あら!それはいいわね」
「え?屋台?」
屋台の売り子してたら、恋人ゲットどころじゃないよねー。今日のパン屋見てたら、絶対、屋台もすごいことになりそうだもの。
「ああ、ブリギッテはアリッサと一緒に祭り楽しんでよ。私は、売り時と宣伝時を逃したくない」
「アハハ、代わりに弟貸し出そうか?売り子ぐらいはできるよ」
ちょ、お姉ちゃん!弟妹を贄にしないでくださいな〜。
「その時はよろしく」
リエちゃん、目がまじよ?使えるものはなんでも使うんですか?
「あら、イワンだわ」
ナターシャさんもお迎え?
「アナ!」
「ねーちゃん!迎えに来たぞ!」
「ねーちゃ!」
ん?ちみっこの声?ブリギッテさんところの生贄予定の弟妹ですか?
「あなた、迎えに来てくれたの?ありがとう」
あら、こっちもラブラブですね。回復しつつあったSAN値がやばいんですけど。くっ、人化の練習頑張って、イケメンになってモテモテ魔狼になってやるぅ!頑張れ私!
「ブルーノ、クリス。来てくれたんだ。ありがとね」
「新しいパン屋さんが気になったんだ!」
「パン屋しゃん!」
「あっそ」
ブリギッテさん、子供は正直な生き物なんです。
「あはは、お迎えだね。ちょっと待ってて、パンつめてくるから」
ふふふ、甘いパンの虜になって、毎日お小遣いをリエちゃんに貢ぐがいいよ!
って、ここら辺、子供は、お小遣いとかあんのかな?
「はい、どうぞ。感想よろしくね〜」
「「ありがとう」」
「「「?」」」
「イワン、試作の甘いパンを頂いたのよ。今日の夕飯の後にいただきましょう」
「そりゃ、ありがたい」
なんかちっちゃいのが、パタパタ走り回ってる音がするなー。生垣に首突っ込んでもいいけど、ちみっこから逃げられなくなるからなぁ?
「イワンさん、扉ありがとうございました。おかげさまで混雑することなく、お店も回りました」
「そうか、そりゃ良かった。うちも、ここの扉のおかげで仕事が入ったよ。大工のライトのところも、大忙しになりそうだ」
「ほらね」
ブリギッテさん、ドヤ顔いただきました!
「二人の予想は大当たりだね〜」
「?」
「あなたが忙しくなるかもって噂してたのよ」
「アハハ、そうか。村のやつには新鮮だったみたいだからな、庭に出る扉なんて」
「あまり無理しないでね?」
「扉を付ける場所や大きさ、ライトの所の仕事の状況によるから、今よりちょっと忙しくなる程度さ。むしろ、給金が上がるから、お前に新しい服を買ってやれるぞ」
「まぁ、ありがとう。でも、先にあなたの服を誂えなきゃ、ね?」
「ああ、大丈夫だ。その分もちゃんと出る」
ふふふ、仲がよろしくって。はぁ。あれ、リエちゃん、ちみっこ呼んだ?
「「わぁ!おっきなわんこ!」」
わんこ属性ではありますが、わんこではありません。魔狼です!う、お目目キラキラさせてんなー。
やばい気がする。リエちゃんの後ろに避難、避難と。
「犬じゃないわよ、魔狼なの。アマーリエさんの従魔だからね。いたずらしちゃダメよ、二人共」
「ねーちゃん、触っていい?」
「ちゃわりたいー」
イエスもふもふ、ノータッチでお願いします。うっ、ブリギッテさんとこの弟ちゃんたち、力余ってそーな気配がするー。よだれベッタリは、もう卒業してるっぽいけど、思わぬところに無意識で膝蹴りや肘打ちを入れてくるからなぁ、ちみっこって。油断すると痛いのよぅ。身体強化のレベル上げねば。
「ブルーノ、クリス。先にアマーリエさんに挨拶!」
そそ、まずは挨拶ね!ブリギッテさん、お姉ちゃんしてるなー。
「こんにちは!パン屋の姉ちゃん!俺、ブルーノ」
「こんちゃ!ねーちゃ」
はい、こんにちはー。
「二人ともこんにちは。よろしくね。お姉ちゃん迎えに来たの?エライねぇ。甘いパンをお姉ちゃんに渡しといたから、おうちに帰って一緒に食べてね」
リエちゃん、グッジョブ!よし!ちみっこの意識が、ブリギッテさんの紙袋に移ったぞ!
「「やったぁ!」」
「ご飯ちゃんと食べてからだからね」
「「ええー」」
「もう夕方だしね。ご飯が先」
「「は〜い」」
お、いい子いい子。今度ちょっぴり触らせてやろー。
「うふふ、イワン、私達も早く子供が欲しいわね」
「ああ、そうだな」
「アマーリエさん、そろそろ帰るわね」
「ナターシャさん、イワンさん本当にありがとうございました。明日もまたよろしくお願いしますね」
「こちらこそ。また明日ね」
ナターシャさん、イワンさん、お休みなさーい!
「私達も帰るか。また明日よろしくね」
「ブリギッテさん、ありがとうね。ほんと助かったよ。また明日ね!ブルーノとクリスは甘いパンの感想今度教えてね」
「「うん!」」
「さっ、帰るよ」
「ねーチャン、その袋俺が持つ!」
「だめ。落として泣くのはあんただけじゃないのよ」
ですよねー。
「え〜」
「ねーちゃ、またねー」
「はい、気をつけてね〜」
ブリギッテさんも、チミっこたちも、おやすみー。
はぁ、賑やかな1日だった。
「フゥ〜。今日は一日お疲れ様。シルヴァン!」
「オン!(お疲れ様!)」
「さて、夕飯の支度するか」
「オーン(わーい)」
「シルヴァン悪いんだけど、お昼に食べたハヤシライスのルーが残ってるから、夕飯はそれのアレンジになるよ」
「オンオン(全然悪くないよ)」
「んじゃ、作りますか」
ハヤシライス、何になるんだろ?ワクワク。
「うーん、陶器の器がほしいなぁ。商業ギルドに仲介してもらったら、頼めるかなぁ?」
「クゥ?(陶器のお皿?)」
あ、そういえば、陶器のお皿、商業ギルドの宿でしか見てないな。木のお皿が普通なのかな?
「グラタン皿がほしいなって。あったら、ドリアもできるよ〜」
「オンオン!(ああ!オーブンで使えるね!)」
「いくらするんだろうねぇ?」
「クーン?(うーん?)」
やっぱ、産地から遠いと高いよね?あーでも転送陣あるしな?いや、でもそれはここの御領地だけなんだっけ?ん?
「よし、上にさらにチーズを載せて、オーブンで焼けばこれは完成」
「オン!(美味しそう!)」
「これじゃ、シルヴァンはお肉足りないよねぇ。よし、実験済んでるし、ビッグマジッククウェィルの胸肉と春キャベツ、人参にブロッコリーを蒸して温サラダにするか。魔力もこれで補給できるでしょ?」
「オン!(お肉!)」
むふふ、お肉!野菜!
「えーっと、前に作ってもらったガラスのお皿、お皿」
リエちゃん、耐熱ガラスなのそれ?
「あとは、バゲットでガーリックトーストでもするか。食べる?」
「オン!(食べる!)」
「地下に降りるから、火だけ見ててくれる?」
「オンオン(任せてー)」
お、蒸し器から湯気が出てきた!ふぅ、野菜とお肉の香りがするー。オーブンからチーズとハヤシソースの匂いも!やばい、お腹の虫が騒ぎ始めてる!
「こんばんは~」
にゃ?あの声は?メリッサさん?え、どうしよ?あ、リエちゃんに念話!えーっとメリッサさんの顔を思い出してっと。リエちゃんにイメージを送信!
『すぐに上がるから火を見てて』
お、伝わった!
「オン!(了解!)」
リエちゃん、バゲット掴んで走ると棍棒に見えるとです。
「こんばんは!メラニーさん」
「こんばんは、アマーリエさん。忙しい時間にごめんね」
「いえいえ。どうしたんですか?」
「昨日注文したソースが届いたんで、届けに来たんですよ。あと手紙も」
「わぁ、わざわざありがとうございます」
「いいの。今日もまた留守番させられたんだもの!」
「え?」
「聞いてくれる!?」
何?何事ですか?
「長くなりそうなら、夕飯食べてきますか?」
メラニーさん、何かあったの?
「いいの!?」
「一人増えたぐらい大丈夫です。シルヴァン!メラニーさんと上に行っててくれる?」
はいはーい。メラニーさん、こんばんは!
「シルヴァンちゃん!ちょっと癒やしてくれるかな!?」
「オンオン!(いいよー!)」
さあ、私のこのもふもふな胸で眠るがいいわ!なんちゃって。
メラニーさん、じゃあ、居間に行こうかー。
ああ、暖炉の火が小さくなってるね。薪を追加、追加。
「わぁ。これ、今日届いた、銀の鷹の皆さんが取り寄せしてた、家具のカタログに載ってた椅子だぁ。座ってみたいな……えっ!?え!?」
ん?椅子が気になるんですか?遠慮せずどうぞ〜。ふふふ、偉い人も座った椅子に、メラニーさんも座れるですよ!
知ったら驚くんだろうなぁ。
「おお!すごくゆったり座れる〜。これいい!私もカタログ頼もうかな?」
では、お膝をお借りして。ボスっとな。ほれ、癒されるがいいぞー。おぅ、メラニーさん手がひゃっこい!
「お待たせしました〜。ああ、シルヴァン暖炉に火を入れてくれたのね、ありがと。メラニーさん、こちらにどうぞ」
ご飯!
「わぁ、美味しそう!」
いい匂いだよね!
「温かいうちにどうぞ」
「マジッククウェイルなんで、また隠形付いちゃいますけど、村の中だから大丈夫だと思います」
「アハハ、影が薄くなるんですね。村の七不思議になったりして」
「アハハハ」
「キュゥ(フッ)」
みんなで食べて、影が薄くなったら、お化けの村になるのかね?
「ソースはレモンを使ったさっぱりのものとゴママヨネーズのこってりしたのです。好きな方につけて食べてください」
「は〜い」
「シルヴァンはお肉いっぱい盛り付けるからね、ソースはどうする?」
ゴママヨ!今はコッテリ気分!
「シルヴァン、そのままそこに座って食べる?」
ヌーン、床の上に座る方が落ち着くので、椅子の座面にご飯置いてください。よいしょ、椅子から降りてっと。
「ほいよ」
「あら、そっちのほうが食べやすいんですね。何か台を作ってもらってはどうでしょう?」
専用の台、あると嬉しい!
「あ、それいいかも。お薦めの家具家さんありますか?」
「確かナターシャさんがここに勤めることになったんですよね?」
「ええ」
「じゃあ、旦那さんのイワンさんに頼んでみては?」
「建具屋さんですよね?家具家さんじゃなくて?」
「大丈夫ですよ」
日曜大工じゃないのに、いいの?専門職でしょ?
「イワンさんの仕事が忙しくなるみたいだから、それは避けたいです。馬に蹴られそうなんで」
「あらら、あそこも仲のいいご夫婦ですからね」
私も馬に蹴飛ばされるのは遠慮スルー。
「そうなんですよ。あ、冷めちゃいますから、まずは、いただきましょうか」
「ええ」
「オン!(ご飯!)」
うふふ、どれから食べよう?
「ん!このじゃがいもの料理美味しいです!こっちの、トーストだけのパンに載せて食べても、美味しいですね!」
ハヤシ風味のじゃがいもグラタン、美味しい!
「良かった、お口に合って。まだありますから、遠慮なく言ってくださいね」
「もちろん!」
「オン!(遠慮なく!)」
はぁ、美味しい、幸せ〜。ガーリックトーストうま〜。温野菜サラダもいい!
……。
「クゥ(なくなっちゃった)」
「あ、シルヴァンおかわり?」
「オン(ぜひとも)!」
わーい!まだ入るぞー!ふぅ、ちょっと落ち着いて食べよう。
ふーん、リエちゃん、ここでは独身主義通すのか。
なら、リエちゃんとずっと一緒にいても大丈夫そう!
おぅ、メラニーさんの愚痴が始まったぞぉ。みんな、温泉村に大移動したんだ。メラニーさん、くじ運悪いのか?
「前回行けなかった私は連れて行ってくれてもいいと思いませんか!?」
「それだけ皆が温泉村に行きたかったってことですよね?」
「……ええ。どんなに温泉が素晴らしかったか自慢しといてひどいですよね?」
「それは、きついですね。大丈夫ですよ。まだまだ機会はありますから!」
「そ、そうですよね!?次こそ絶対行ってやるんだー!」
(それあかんフラグや)
また、今度もメラニーさん、お留守番だなぁ、こりゃ。
「あれ?そうしたら神殿って、今誰も居ないんですか?」
「あ、銀の鷹の皆さんがお留守番役になったみたいですよ。ファルさん神官ですし」
そうなんだ〜。今度、神殿に遊びに行ってみよ!
「はぁ、そうなんだ。しかしお年寄り連中自由だなぁ」
年寄りが元気って、介護要らないってことで、いいことだと思う!
「良いですよね〜、あの融通無碍」
「だよね〜」
「早くあの境地に達したいもんですよ」
「ウンウン」
「クゥ(ねぇ)」
「はぁ、ごちそうさまでした」
「おそまつさまでした」
「色々聞いてもらえて、美味しいものもいただいてすごく満足です。ほんとありがとうございます」
「いえいえ、私もおしゃべりできて楽しかったですし」
「はぁ〜、毎日美味しいご飯でシルヴァンちゃん羨ましい」
「オンオン(でしょでしょ)!」
これまでの、ご飯ままならない生活には、絶対、戻りたくない!
「あ、料理の講習会、ちょっと気後れしますけど私もお願いします!」
「もちろん!多分白の日とか他の日は夕方になっちゃうと思いますけどね」
「は〜い。あ、そうだソース!」
「あ、そうでした」
「えっと代金は先に頂いてますので、受け渡しだけですね。確認お願いします」
メラニーはアイテムバッグからソースを取り出していく。アマーリエは伝票を持ってきて確認する。
「……はい、問題ないです。全部揃ってます。うーん、頼んだ人たちが青の日にならないと帰ってこないのか。ま、いいか」
「確かにお渡しいたしました。ところで、この茶色いの美味しいんですか?」
「濃い味が好きな人は好きですねぇ。いずれ、味付けにこれらを使った惣菜パンも出しますから楽しみにしててくださいな」
「わかりました。ダニーロさんも頼んでましたよね?料理の試作のときにお邪魔しちゃおうっと」
「アハハ、それ良いですね。ダニーロさんはそういうところ気にしない方のようですし」
「ええ。前の料理長の気難しさったら凄かったですもの。料理人以外は一歩も厨房に入れなかったですし」
「へ〜。お客さんに身分が高い人が多いから安全管理が厳しい人だったんですかね」
「度を超えてましたけどね。その点ダニーロさんは管理はキッチリされてますが、穏やかですし、こちらも尊重してくださいますから、こっちもあちらの仕事の助けになるよう頑張れます」
「なるほど」
「長々とお邪魔しちゃって。そろそろお暇しますね。今度は何かお土産持ってきます」
「お仕事お疲れ様。また休みの日にでも遊びに来てくださいよ」
二人と一匹は階下に降りていく。
「それじゃ、おやすみなさい。良い夢を」
「メラニーさんも。おやすみなさい、気をつけてね」
「影が薄くなってるし大丈夫だよ」
「ブクク、確かに。じゃあ」
「じゃあ」
手を振って帰っていくメラニーはあっという間に姿がぼやけていったのであった。
いろんなものが流行ってますが、いい流行りには乗っかりたいものです。
ある年齢になったら(20歳とか40歳とか)、区切りとしてウイルス性の病気の抗体の有無を無料で調べられるようになればいいのにね。




