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連載で再掲載になります。登録いただいていた方にはお手数をおかけし、申し訳ありませんでした。

『吾輩は狼である。名前はまだない。な〜んちゃって。頑張って狼やってたのになぁ。…群れから追い出されちゃったよぉ、どうしよ?』

日本で生まれて、普通のOLやってました。オフィスレディってガラでもないんですけどねー。事務員です。ネットの狼の動画とか見て、今度生まれ変わるなら狼とかいいなとか思ったこともありました。…狩り大変でした。群れの上下関係や雌狼との関係も人間関係並みに大変だった。今度生まれ変わるなら、猫かしら?

『だからって雄狼になんで転生させるかな!?雌雄の指定ミスった!?家族から変なやつ扱いで群れ追い出されたよ!でも雌に生まれててもアルファ雌になる自信はない!』

そんなわけで、わたし、森を出てさまよい歩いて腹減り状態でなんか崩れた石造りの古城址?みたいなとこにたどり着いたんです。一匹狼ですよ!ちっともかっこよくなんかないやい。

『??狼に生まれたからヨーロッパかなとか思ったんだけど、なんかへん?おかしい?古いのはわかるんだけど、古すぎない。でもなんか使ってたらしいものは転がってるんだよね?でもこんなのう~んと古い時代の道具じゃないの?』

ふんふんと匂いを嗅ぎ回って、疲れ切ったわたしは取り敢えず隅の方に丸まったんですけど…

『あれ?お腹減った感じがなくなってきた?死ぬの私?』

なんか眠くなってきちゃったんで、ちょっと寝ます。死ぬなら次は猫がいいな〜


『…朝?』

崩れた屋根から光が差し込んでます。一応冬毛でぬくぬくしてますけど、ちょっと寒いです。雪がまだ残ってますし。あーあ、みんな元気かな。ん?

『あれ?私なんか大きくなってる?尻尾もなんか長くなった?毛も白い?あれ?あれ?』

自分の尻尾を追いかけて久しぶりにくるくるしちゃいました。反省。

『???なんか甘い匂いする?』

ふんふんと嗅ぎ回って匂いの濃い場所に近づくと、お腹の空く感じがなくなります。

『えー仙人狼になったの?空気で満腹?いいのそれ?ま、いいか。生肉骨ごとガリガリするのって苦手だったんだけど、本能は求めるから折り合いつけるの大変だったんだよね。あーあ、調理されたもの食べたーい』

何度か朝が来て夜が過ぎ、ある日ファンファーレが鳴ったんです。頭のなかに!

「パンパカパーン!銀狼にクラスチェンジしました。風魔法を取得しました!回復魔法を取得しました!」

『え!?え!?なにそれ?ここって魔法の世界なの!?ちょっとインフォ!なんとか言って!』

「なんとか」

『…殺意が芽生えるってこういうこと?』

「おっほん。まさか、オカマ狼って言われて群れから追い出されるとは思わなかったし。ちょっと助けたんだよ」

『誰?』

暇神(ひまじん)

『…』

「…」

『…えっと、一応私がどうなってるのか聞いていいかな?』

「魔力溜まりの魔素を体に蓄えて、魔狼の中の銀狼という種類に変化したんだよ」

『魔素?甘い空気じゃないの?』

「君の魔力察知が嗅覚なんだよ。純粋な魔力を甘い匂いと認識してる。濃い薄いはあるけど空気中に魔素は存在するから、意識して集めればいいよ。そうすれば魔力察知のスキルが生えるよ」

『なるほど。カスミ食って生きてく狼ですか…。狩りしなくていいんだー!一匹でもなんとか生きていけるぅ。良かったァ』

「いや、そこ?そこなの?魔法のこととかさ、聞きたくないの?」

『あ、じゃあ一応アナウンスお願いします』

(のんきだなぁ?向こうの暇神もあの国の民族は災害耐性が高いから思ったよりも動揺しないぞって言ってたっけ?いちいち、人と争ってる暇があったら災害対策に頭と金と時間を使うとかなんとか?)

『あの〜、魔法〜』

「ああ、ごめん。一応君が今使えるのは風魔法。えーっと君の世界じゃ、空気をいじる力って思えばいいよ。想像したものに魔力を与えたら形になるっていうのかな」

『えーっと、こう?』

甘い空気でちっちゃな竜巻を起こしてみた。成功!

「お、上手上手。なかなかセンスいいね。銀狼で風属性があるからコントロールしやすくなってるんだね」

『そうなんだ!回復は?』

「方向性は同じだよ。想像すればいい。それに力を与える。だいたいそんな感じ。ただ、君の場合は風に特化してるから、他の属性はちょっとコントロールが難しくなるかもしれないから気をつけてね」

『は〜い。わかりました。ありがとう。使ってみて覚えていきます』

「うんうん。色々やってみて。スキルも色々生えてくるからね。またなんかあったら声かけるよ」

『私が生きてるうちにお願いします〜』

「あ、いけない。君もう普通の狼じゃないからね。魔力の分寿命がう~んと長くなってるからそこんとこよろしく」

『はぁ?』

ヒマジンとやらは最後に爆弾一つ残して消えてきやがりました。

『どうしよ〜私暇狼?長生きするって言われたってどんぐらいなんだよ~。カスミ食ってくだけの狼生か〜!?』

人化できないか試してましたが、だめでした。一生懸命やって尻尾が消えるだけ。魔力が全然足りてない!これはレベルアップかさらなるクラスアップが必要かと思われます。

『魔力どうしたら増えるのかな?腹いっぱい食べてみる?』

それから色々試しましたが、イマイチよくわかりません。HPゲージもなきゃMPゲージも見えないんですもん。

『うーん?ん!?なんか嫌な匂いのでっかいなんか来た!』

突然空間が歪んで、肩に女の子を担いだおっちゃんが現れました!初人間です!

「○△□%〜*!」

『何?』

ちょとお!女の子投げ捨てていきなり私に攻撃とか意味分かんないんですけど、おっちゃん悪い人でいいんですね!なら遠慮はしません。私の魔法の実験台になってもらいます!女の子から離さなきゃ!

 おっちゃんはなかなか手強く、いったん女の子の傍を離れることが出来たのにまたもとのところに戻ってきちゃいました。

「!?*&”◎▲※□」

おっちゃんは焦ったように声を上げて、視線を私からそらさないようにしながらも、必死で女の子がどこにいるのかあたりを探っています。私は匂いで居所バッチリです。女の子の匂いは前はなかった壁からします。それに、なんか美味しそうな匂いもするんです!人間だった頃食べたことのある物の匂いです!気になるけど、今は戦闘に集中です。

戦闘途中に、おっちゃんの気を逸らすかのように女の子の声がかかり、そのたびにおっちゃんにスキができます。それを利用して私は攻撃をします。

かなりの時間を要しましたが、おっちゃんから腕一本噛みちぎって、こちらが有利な状況にもってこれました。それから女の子の声は途絶えたのですが気配はするので無事なようです。

なかなかおっちゃんしぶとかったですが、つんのめってすっ転びました!

『おっちゃん、覚悟!』

今かぶりついたらウニュンてしました!思わず飛び退いちゃいましたよ〜。おっちゃんはなんかいい匂いのする、グミみたいなものにくるまれてるんです!そしていきなり石の床が盛り上がっておっちゃんを頭だけだして包んじゃったんです。もうわけわかりません。これは触ってみなきゃ!

フンフン臭を嗅いで、前足でつついてみます。

『ワォ、ぷにぷにする』

おっちゃんの顔が真っ青ですけど気にしない〜。何かが目の前に飛んできました!どこ?どこから飛んできたの?この匂いはもしや!

『美味しぃ〜』

唐揚げですぅ!味付けは塩と生姜ですけど紛れもなく唐揚げ!やばい尻尾揺れちゃうよ!は!もう一個来た!遠慮なく!ぅんまぁ〜。あっち?あっちの女の子がいる壁から飛んできた?思わず壁の方に近寄っちゃったよ。

「○▲■*@、%$□*|?:+」

女の子がなんか言って唐揚げが飛んできました!まかせて!むふ、むふふ。おいしい〜。あ、あそこ穴がある?あそこから投げてる?近づいちゃうぞ〜。ウォ、手が出た。あ、唐揚げ!いただき〜

『待て!』

なんか頭に映像が????待て?待てばいいんですね。はい、待てぐらい出来ますよ!お、次も映像来た。ふせ?伏せか?こうね?どう?できるでしょ!

「*&、%○▲。$@+*■」

壁から出た手が唐揚げを目の前に落としてくれた。食べていいらしい。いただきます〜。はぁ、久しぶりに調理肉!おいしぃ。

「ピコーン。目の前の人間と友誼を結びますか?服従しますか?無視しますか?」

え?いきなり何?ゆうぎ?服従と無視はわかる。ゆうぎは友誼か?美味しいもの食べさせてもらえるお友達ならオッケーよ!

「ピコーン。目の前の人間と友誼を結びました。仲良くしてあげて下さい」

なんか、壁の中から女の子が騒いでる気配がする?あれ〜?もしかして、これってゲームで言うところのテイムされたってこと?

「やった?やったか?よっしゃー!名前つけよう名前〜。シルヴァン!お前はシルヴァンだよ。さて、ちょっとあそこのおっちゃんが、おしゃべりしたくなるように手伝ってちょうだいな」

え?なになに?女の子の言葉がわかるようになったんですけど!?なんか映像着た。おっちゃんカジカジするの?いいよ〜。あのぷにぷにしたの噛むの面白いんだよね!んじゃ、いっきま〜す。や〜んなんか癖になる噛み心地〜。おっちゃんが騒いでるけど気にしないー。

『!』

何?いきなり火の玉飛んできたんだけど!おっちゃんがまた増えた!女の子の側にいかなきゃ!ムッ今度は魔法使い?そんなトロい攻撃余裕で避けられるもんね!さぁ、きなさいよ!え?おっちゃんこけた?あ、石に覆われた?なになに?

『シルヴァン、こっちおいで』

あ、はい。今行きます〜。ウォ、壁がきた!なになに?あ、女の子!唐揚げ!そばに座っちゃお。え、何?どおしたの?急に頭抱えて大丈夫?

「うう、大丈夫。マリエッタさん念話に慣れるの早すぎ」

??誰かとお話できるの?あ、蹄の音が聞こえる?誰か着た?

「居たぞ!犯人二人だ。リエ!どこだ!」

「後ろの壁です。皆さんが来たら魔法解きますので、犯人の確保お願いします」

え?え?お知り合いの人?

「わかった」

「壁崩すから、ダフネどいてなさい!」

「ああ」

どんどん人が来てるみたいなんだけど!

「魔法解きますよ!」

魔法?

「ああ」

「確保!」

なんか外でドタバタガチャガチャ聞こえるけど悪いおっちゃん達捕まった?

「リエ、出てきていいぞ」

あら、女の子リエちゃんていうのね?

「はーい。皆さん、ありがとうございます。なんとか無事です。魔物も一緒なんですけど、攻撃しないでくださいね。テイムしたんで」

『行くよ、シルヴァン』

はい、いきます〜。わ〜ぉ、本物の動いてる騎士だ!すご〜い。わ!虎耳の女の人だ!あれ冒険者!?すご~い、すご~い。一気にファンタジーきたよ!

「シルヴァンです。ホイ、ご挨拶」

あ、はい。よろしくお願いします。ひぅ、虎耳の女の人に睨まれた!

「ピコーン。目の前の人間と友誼を結びますか?服従しますか?降参しますか?無視しますか?」

降参です!

「ピコーン。目の前の人に降参しました。言うことはよく聞きましょう」

はい、逆らいませんとも。

「ん、わたしもスキルが生えたぞ」

「え、ちょっと~そんな簡単にテイムのスキルって生えたっけ?」

優男のお兄さんになんか指さされてますが、テイムされてませんよ?降参しただけです?

「どれ」

やーん、でっかいおっちゃんに威圧感満載で見下されたとです。こわか〜

「ピコーン。目の前の人間と友誼を結びますか?服従しますか?降参しますか?無視しますか?」

降参です!

「ピコーン。目の前の人に降参しました。言うことはよく聞きましょう」

「うん、俺も生えたぞ。なんか、久々にスキルの生える感覚だ。こそばゆい」

「えー」

「シルヴァン、逆らったらダメな人はだれ」

逆らっちゃだめな人?え〜っと、この口元のほくろが色っぽい美魔女なおねえさんは逆らっちゃダメ。ええ絶対ダメ。ごろりん。

「ピコーン。目の前の人間と友誼を結びますか?服従しますか?降参しますか?無視しますか?」

降参です!

「ピコーン。目の前の人に降参しました。言うことはよく聞きましょう」

後は〜、こっちのシブメンなおじちゃん。絶対勝てない。ごろりん。

「ピコーン。目の前の人間と友誼を結びますか?服従しますか?降参しますか?無視しますか?」

降参です!

「ピコーン。目の前の人に降参しました。言うことはよく聞きましょう」

「だそうですよ」

「…納得いかないけどわたしも生えたわね」

「俺も生えたな。しかし、マリエッタのほうが怖いわけなんだな」

ええ、この中で一番逆らっちゃだめな人な気がします。

「俺は?」

「わたしはどうなんでしょうか?」

優男のおにーさんとちっちゃ可愛い女の子はお友達ならオッケーよ?あら?アナウンスこない?へんなの。

一応尻尾振ってあげるわね〜。私、愛想はいいのよ。

「…同格ってことでしょうか?」

「…精進するよ」

「でもなんでリエはテイムできたんだ?」

それはもちろん、ご飯です!間違いなくこれからも美味しいものを食べさせてくれそうだからです!

「餌付け一択です」

「…それ以外にないかやっぱり」

なんか色々揉めてるみたいだけど気にしない〜。


お家に帰るようなので、ついていこうと思います。あら、お馬さん?あ、ビビられてます?怖くないよ〜。食べたりしないよ〜。あ、馬刺しはでも美味しい?あ、伝わっちゃった〜?

「ほら、あんたはこっち」

美魔女のおねーさんのそばですね〜。わ〜これ魔法のお馬さんですか!すご〜い。あ、待って下さい。おいてかないで。どこ行くの?あ、お水ですか?

河原は河原ですね〜。ちょっと歩きにくいや。

リエちゃんそれ何?もしかしておにぎり?ハヤシライス?テールシチューとな?

『嘘!私も食べたい!』

え、干し肉ですか?どれ?あ、結構いける〜。しょっ辛いけど。れ?一応狼ですけど、こんなに塩が濃いの食べて良いのかしら?ま、ジャーキーみたいで美味しいから良いか。

あら、なに?リエちゃんどこ行くの?あんまり見えてないのにうろちょろしたら、怒られるわよ。あ、ほら。

「はい、待った」

「あう」

「どうした?」

「あそこに湯気みたいなの上がってません?」

「ああ、見えるな。温泉か?」

温泉!今温泉て言いました?興味あります!あ、リエちゃん行くの?わたしも〜

「オー、温泉ですね。源泉の温度は結構高いみたい。泉質は…無臭、手を入れると気泡がつくな。炭酸泉かな?なら、これ使って炭酸せんべいや蒸し饅頭作れるじゃないか!温泉まんじゅうもいけそうだー。でもあんこ?」

有馬温泉みたいってこと?炭酸せんべいより温泉まんじゅうに惹かれます!あんこつくれるの?

なんか美容談義が始まったけど、私も毛艶が良くなるかしら?

えー!この世界お風呂ないんですか!え?じゃあ皆さんどうしてるの?別に臭いにおいしないよね?気になる〜。って、リエちゃんいきなり何するの?うぉっ。

『…露天風呂な岩屋ができちゃったよ。リエちゃん凄い〜』

え、私も入りたいんですが!

「シルヴァンの分も浴槽追加ね」

ありがとうございます〜。

「お前も一応浄化魔法かけて汚れを先に落としとくか」

え?浄化魔法?お、お、一瞬で温水と温風処理された?なにこれ?あ、入って良いんですか、じゃあ遠慮なく。

『くぁ〜、身に沁みる〜』

「これはいいわ〜」

「今までにない感じです」

「はぁ、足が伸ばせるお風呂って素晴らしい。ああ、内臓が浮いてる浮いてる」

「ふぅ、気持ちいい」

『ほんといいお湯です〜』

イイ!これです!このユッタリ感!ご〜く〜ら〜く〜。はぁ、お星様きれい〜


みなさんがやってる浄化魔法を真似して、毛の水分を脱水してみました。ブルブルして皆さんに水かけちゃったら悪いですからね。

よくよく見るとリエちゃんは風魔法で風を一旦起こして火魔法を追加して温風にしてるようです。で、落としきれなかった水を魔力で消してるみたいです。

ようやくお家に帰るようです。

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