第二話 EBGAGE1
私はしばらく目を閉じることができなかった。
しばらくして、職場のウィリアムからメールがきた。
「今日は休みだ」
この短文が書いてあった。
私はいったん家に帰り玄関の写真たてを眺めた。
そこには私と父、娘が映ってある。
父は戦闘機の部隊で働いている。
私はソファーに座り娘のことを考えた。
「あの子は、死んだ」
頭の中にはそれしか考えることはなかった。
しばらくすると家の天井がガタガタと動いた。
その後、巨大なエンジン音が響いた。
私は外に出る気がしなかった。
悲しい現実を見せられた私は、なにも行動することができなかった。
しばらくして私はテレビをつけた。
私の職業は記者だ。それも軍事に関すること―――
テレビには、レントの独裁者ナバロが拳をあげ
演説をしていた。
「この戦争は、不当な国交を行ってきたポルトに対する
国民の怒りだ!」
怒涛の声は、すざましかった。
レントは、かつて国内での内戦があった。
その結果は結局、国家が勝利した。
そのときポルトは、資源に恵まれているにもかかわらずひとつも支援しなかった。
レントは今それで怒っているらしい。
しばらくすると、レントの軍事力の画面が出てきた。
軍事力はこの後の戦争の結果を左右する大きなことである。
「まず、兵隊の数ですが。これは、かつて内戦があったため
ポルト側のほうが有利です。
次に兵器です。
兵器力は、圧倒的にレント側のほうが圧倒的に強いです。
もしかしたら、この戦争で満足いく結果はないかもしれません」
いまの私に満足な結果などない。
私の愛しい娘を失っている。
しばらくするとテレビに避難勧告命令が映った。
だがそれは、ここから2200km離れたオーシャスだった。
そこは、レントに一番近い町だった。
もしも、このままレントが圧倒的な軍事力を使い
この町、オーブリにやってくるのも早いかもしれない。
しばらくすると、家の電話の子機がなった。
電話の相手は父からだった。
「もしもし」
「あぁ、グリーンか。大丈夫か?」
「いいえ。娘が・・娘が・・・」
「あぁ・・・・とりあえず泣くな」
「ごめんなさいね・・・今日は何の用事かしら?」
「俺な、サンダエルバの近くの戦闘部隊に配置されることになったから
しばらく会えなくなるかもしれない・・・・」
「あのさぁ・・・・・私そっち行っていい?」
「だめだ。こっちは、もうじきレントがやってくる。
そういえば、あんたは記者だったな?」
「えぇそうよ」
「戦争の状況は、教えてやるから我慢しな」
「えぇ分かったわ。でもこれ以上死なないでよ」
「それは分からない」
そのことばを残して電話は切れた。
それは、私に別れを告げるものだった。
窓の外を見ると薄暗く空は暗んでいた。
これからの戦いを暗示させていた。
ENGAGEというのは、開戦という意味です。今後ともよろしくお願いします。