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クレイジーにはクレイジーを

ココは深い森の中を軽やかに歩いていく。一方、俺はというと…。

「いってっっ。」

「うわっ!何だこれっっ!」

「どわぁぁっ!」

奇声を発しながら時に転び、時に穴に落ち、もうボロボロだった。


「あんたって本当にトロいわよね…。」

そんな俺を見て、ココは溜息をついた。

「悪かったなっ!」

頭にまとわりつく枝や葉っぱを払いながら、ココを睨み付ける。

「もう少しで村だから頑張って。」

ココはぴょんと近くの丸太の上に乗る。彼女なりに応援しているのだろう。俺は苦笑いをして足を動かす。ふと、村という言葉が気になりココを呼ぶ。


「なに?」

俺の前を歩くココが振り向く。

「村っていうことは、俺以外にも人が存在するってことだよな?」

ここが普通の世界で普通の場所ならばそんなことは当たり前なのだが、喋る白い猫といい、死んだはずなのに無傷でいる俺といい、とにかく普通の状態ではないので、自分以外の人間が存在することに嫌な予感がしたのだ。


「?あんた以外にも人間や魔物はいるわよ?」

ココは、何当たり前のこと聞いているの?と首を傾げる。

「いや…。俺は死んだんだよな?だけど、こうして無傷でここに居るし、なんつーか…。ここは日本じゃないよな?」

「ニホン?何それ。」

…は?何それ?何ソレ。今、何それって言った?ニホン何ソレって美味しいの?そうじゃねぇえぇっ!一人漫才してる場合じゃねぇぇっ!どういうことだっ!

「ここ日本じゃねぇのか!?」

「ニホンって場所?ここは、グレリア国だけど?」

「ぐ…。ぐれ?」

ナンデスカ?その横文字。しかも、そんな国俺はシラナイ。というか、誰もシラナイと思う。


つまりだ。要約すると…。トラックに轢かれ雷に打たれた俺は、ココによってグレリア国に来たってことか?要約しすぎたか?しすぎても、しなくてもどっちにしても、わからんわっっ!。

…。いや待て。それよりも先程サラリと聞こえた単語の方が問題だ。


「魔物…?」

俺は聞き間違えであって欲しいと願う。ただでさえ、わけのわからない状況なのだから、これ以上のトラブルは遠慮したい。

「魔物よ?あんた好きそうじゃない。」

「何が!?えっ。何なにナニ!?魔物好き、とかそんな表現あるのか!?何その、女好きみたいな軽いノリーーーっ!」

「大丈夫よ、あんたなら魔物、サクッて倒せると思うから。10%ぐらいは勝率あるんじゃない?」

「勝率低っっっ!死ぬよね?確実に死ぬよねっ!」

「もう死んでるじゃない。」

「だあぁぁぁぁぁっ!」


もう帰りたい。どこに帰れば良いのか分からないが、とりあえずこのグレ何とかっていうクレイジーな場所から逃れることが出来るなら地獄でも何でもいい。


だが、これはまだ序の口に過ぎなかった。更なるクレイジーなことは、もっと先にあったのだ。

※無断転載、複製はご遠慮ください。

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