7話 黒い仮面
(・・・何も詳しい事は分からなかったが、体が軽く感じる。)
コンコン
部屋をノックする音が聞こえる。
「・・・誰だ?」
「リン・レイシスよ、迎えにきたわ。」
「迎え?」
「この里の案内をしてくれってニーユウス様から言われたわ。」
(そういえば昨日、時間があるときにこの里を周りたいと言ったな・・・。)
「ああ、すぐ行く。」
こうして俺はリンの案内で里を知ることができた。
やはりエルフではない俺が気になるのか、周囲の者達は俺をチラチラと横目でみることが多かった。
「えーと、ルカでいいんだっけ?」
「ああ。」
「言ったとは思うけど私はリン・レイシス、よろしくね。」
「ああ。」
「素っ気ないわね・・・。」
そうこうしている内に森の中に入ることになった。
まだ明るく、魔物が出てくる危険性も無いだろうとの事で許可をもらったらしい。
「ここの周辺は、ニーユウス様のエルフの加護によって守られているわ、もちろん里も。」
「エルフの加護?」
「そう、いわゆる結界ってやつね。」
「・・・なるほど。」
リンと歩いてる最中、エルフについての話は聞いてあった。
まず基本的に自給自足であり、動物を狩ったり野菜を育てたりして生活をしている。
もちろん、魔物を見つけたら被害が出ないように戦うみたいだ。
「そういえば、エルフは弓と魔法で戦うんだったな?」
「短剣も使ったりはするけど基本はそうよ。」
「どんな魔法を使うんだ?」
「そーねー、気になるんだったら少し離れた所に移動しましょ。」
森の中を進んでいき、拓けた場所に出た。
「まず、弓よ。ただの動物だったら特に必要はないけど、相手が魔物だったらそうもいかない・・・だから、こうする。」
右手に持った矢は光り、それを放った。
放った矢は木に刺さるかと思いきや、飛んでいる最中に矢に光のような翼が生えて前方の木々を切っていった。
「こういった武器とかを強化して戦ったり、風の魔法で相手を飛ばしたりするわ。」
(・・・凄いな、これは。日本・・・いや、元の世界じゃ考えられない。)
「まぁ、もっと色んな魔法を見せてあげたいけど私にはこれくらいが限度ね。」
「いや、充分凄いだろ。」
「えっ・・・そ、そう・・・・?」
「ああ。」
「あー・・・うん、ありがとう。さて、戻るわよ。」
「そうだな、そういえば結構奥まで来たけど魔物とかここは大丈夫なのか?」
「んー、多分出たりするだろうけどそこまで危険なモンスターはでてこないとおも・・・伏せて!!」
「!!」
頭上を何かがかすめた。
「嘘・・・なんでこんな場所に・・・。」
顔を上げて、周囲を見渡すと・・・そこには黒いマントを着て、大きな鎌を持ち、黒い仮面を被った者が立っていた。