6話 力を受け継ぐ者
目が覚めると、真っ白な部屋に流歌はいた。
「・・・おいおい、目が覚めたら別の場所ってこれで二回目だぞ?」
一度目はこの世界に転移した時、二度目はこの白い部屋。
「ようこそ【オールフラン】へ。」
ふと、白い仮面を被った者が部屋の片隅にある椅子に座っていた。
「誰だ?」
「そうだね、まずは自己紹介。これは基本だね。僕はシロ、可愛い可愛い女の子よろしくね。」
声はまだ幼い女の子のようであり、これまた白いワンピースを着ていた。
「・・・お前が、俺をこの世界に連れてきたのか?」
「んー、まぁそんなところ。」
「帰る方法はあるのか?」
「多分、僕の願いが叶ったら帰れると思うよ。」
「お前の願い?」
「シロって呼んでくれた方が嬉しいなぁ・・・。」
「・・・いいから、俺が帰れる方法を教えてくれ。」
「うん、僕の願いはこの大陸を1つにしてもらうこと。残念ながら僕にはその力は残ってなくてね。黒の者達のせいで、弱まっているんだ。だからルカを呼んだ。」
「黒の者達・・・?」
「うん、この世界ではさっきルカが聞いた種族の中にもう一つ隠れた種族があるんだ。それが黒の種族であり、この世界を支配しようとする連中の事。」
「つまりアニメや漫画のようにこの世界を救う為に召喚されたって事か?」
「そうなるね、そしてなによりルカには力がある。」
「・・・俺に特別な力なんて無いぞ。」
「言い方が悪かったかな、これから力を持つ事になるんだよ。ルカは唯一この力を渡せる存在なんだ。」
そう言うと、シロは右手を出してきた。
「同じように手を出して、僕の手を握るんだ。」
「・・・分かった・・・。」
不安が残るものの、ルカは言われた通りにする。
そして二人が手を握りあうと、光が生まれた。
「な、なんだ?」
「いいの、このまま。今から力を渡すから大人しくしてて。」
「体が熱くなってきたぞ、大丈夫なのか?」
「・・・やっぱりルカを呼んで良かった・・・これで任せられる。」
そして徐々にシロの体が光になり、消えていく。
「おい!お前消えていってるぞ!」
「この力は私自身、だから消える訳じゃない。手を触れた瞬間、あなたという人がどんな人物なのか、何を成し得てくれるのか分かった。これでもう安心。あとは、よろしくね・・・ルカ。」
「何を言って・・・・」
最後まで言葉を言うことは出来なかった。
手を握っていた少女は目の前からいなくなっていた。
そして気がついたら、俺は旅館に戻っていた。