4話 女神
長老がいるという建物の中に入ると、そこには美しいエルフがいた。
「ようこそ長耳族の大陸【アルデイン】へ、記憶を失った人族の青年さん?」
一目で分かった。
この女性のエルフがこの大陸の長だと。
全てを見透かされる様な目。
そして全てを虜にさせるような美貌。
「・・・少し緊張しているご様子ですね。」
「そうだな、分からない事ばかりで少し戸惑っている。」
「そうですか、では・・・私をこの人族の者と二人きりにしなさい。」
「し、しかし!」
「良いのです、もし何かあったとしてもすぐにあなた達が助けに来てくれるでしょう?」
「・・・分かりました、ではお気を付けて。」
そう言って周りにいた他のエルフの者達を建物の中から出した。
「少し無用心過ぎないか?自分で言うのもあれだが、俺が何者かもまだ分からないだろ?」
「そうですね・・・しかし、これから話し合う事については出来るだけ他の者達に知らせない方が色々と良さそうですからね。」
「・・・これから話し合う事・・・?」
「ええ、その前にまず自己紹介を致しましょうか。私の名前はニーユウス・レイシス・ブレイアル・・・このアルデイン、長耳族の長でありエルフの女神とも言われております。」
「・・・俺は自分の名前も分からない。知っているだろ?記憶喪失だ。」
次にこのエルフの女神・ニーユウスが発した言葉に俺は言葉を失った。
「そうですか、それはとても残念ですね・・・異世界から来た人間さん?」
「!!」
「何を驚いているのです?あなたを見た瞬間に、この世界にいる者達とは違うと分かっておりました。」
「・・・だから、周りの奴らを外に出したのか?」
「そうなりますね、実は私も初めての事なので驚いてはいますが。」
「なぜ、わかったんだ?」
「それについては後ほどお話しましょう。まずはあなたのお名前を知りたいですね。」
「・・・望月流歌、だ。」
「ルカ様ですね、良いお名前ですね。」
「別にそんな感想を聞きたい訳じゃない、ここはどこなのか、どうやったら帰れるのか俺は知りたい。」
「正直それについてはこの目を使ったとしても分かりません、お役に立てなくてごめんなさいね。」
「・・・目?」
「私の目は真実を知る事ができる、と言っておきましょうか・・・あなたの目を見た時、普通でしたら種族や名前などが分かるのですが、あなた・・・ルカ様の場合は少し違っていました。」
「それで、何か分かった事があるか?」
「いいえ、ただ名前を見てこの世界の者では無いと判断しました。みたことも聞いた事も無い字でしたからね。」
「なるほどな、それでか。」
「はい、それではまずルカ様の方から聞きたい事をおっしゃってください。」
「・・・良いのか?」
「異世界の事には興味がありますが、まずはここがどういった場所なのかを把握してもらったほうがいいみたいですからね。」
「すまないな。」
こうして俺は、この世界の事について色々と知ることが出来た。