31話 新しい武器"雪守"
サレ・トゥラー
この里の、長耳族の英雄であり、守る神と呼ばれる最強の男。
「ニーユウス様から聞いたぞ、明日出るんだってな?」
「ああ、朝に飯を食ったら出て行く。色々と世話になったな。」
「残念だな。お前には少し興味が湧いたんだが。」
「悪いが俺は男には興味が無いぞ。」
「・・・そういう意味じゃない・・・。」
「俺のこの力"白器"に、だろ?」
「ああ、それもあるな。もう少し見てみたかったものだが。」
「残念だったな、だが俺は帰ってくる。その時にでも見せてやる。」
「っふ、生意気なやつだな。それと礼を言おう、この里を共に戦って守り抜いてくれた男よ、ありがとう。」
「気にするな、ちょっとした恩返しと俺の今の力を見る為にやっただけだ。」
今回の戦いは自分がどれだけの力を持てたのか、そういった意味でもあった。
もちろん恩返しという方が大きい理由ではあるが。
「それと、お前が出て行くと聞いて渡したい物があってな。」
「渡したい物?」
「ああ、昔にとある鍛冶師からもらった"刀"なんだがな。俺には合わなかったみたいだ。それをお前にやろうと思ってな。」
流歌は"白器"以外の武器は持ってなかった。
つまり丸腰だ。
「いいのか?」
「どのみち俺は"刀"が合わん。」
「なら遠慮無く頂くとしよう。」
流歌がそう言うと、サレは右手に持っていた刀を流歌に投げ渡した。
「これは・・・、なんか高そうな感じがするぞ。」
鞘と持ち手は白く、抜いてみると刃こぼれ一つない見事な刀だった。
「"雪守"という名らしい。俺も一度しか使ったこと無いからよく分からんが、切れ味は驚く程良いぞ。」
「・・・気に入った。」
流歌は一瞬にしてその"雪守"という刀を気に入った。
「なら良かった。・・・おい、リンやニーユウス様の為にしっかりと戻ってこいよ。もちろん強くなってな。」
「・・・約束したからな、必ず戻る。」
「では、武運を祈る。」
最後にその言葉を残し、サレは帰っていった。
(まったく、どいつもこいつもこの里の奴らは・・・。)
こんな事を考えつつも、つい頬を緩めてしまう流歌であった。
(明日、出発か・・・旅館に戻って出る準備もしないとな。)
里を周り、サレと会い・・・武器をもらった。
それだけで何故か気持ちが穏やかになっていった。
(おっと、その前にニーユウスに報告してから戻ろう。)
もう一度、リンの様子などを知らせにニーユウスの家へと向かっていった。




