9章1話 異世界とダイバーシティ
1152年5月30日。
その日、ファルマはバスケットいっぱいにおやつを持ってド・メディシス家の所有する裏庭の河の中州へ足を運んでいた。
ロッテとは物理的に距離ができたが、エレンはブランシュの家庭教師で頻繁に屋敷に来てくれるので、職場でも自宅でも顔を合わせていると、半ば家族のような感覚になる。
中州ではエレンがブランシュの個人トレーニングを行っていた。
真剣に取り組む彼女らを邪魔しないように、ファルマは区切りのよさそうな頃合いになるまで河のほとりのベンチで論文の添削で時間をつぶしてから声をかける。
「エレン、ブランシュ、そろそろ休憩どう? おやつ持ってきたよ」
「あら、ファルマ君も見に来たの。そうね、もうちょっとしたら休憩してもいいわ!」
ファルマが二人を休憩に誘うと、エレンは額にさわやかな汗を浮かべて笑顔を向けた。
豊かな長い銀髪がふわりと揺れる、それは彼女のトレードマークでもあった。
ブランシュはバテてしまって、クローバーの原っぱの上に座り込んでいる。
「兄上ー、いいところに!」
11歳となったブランシュは、助け舟がきたかのような顔をしていた。
彼女もすくすくと身長が伸びて、成長期らしく手足がすらっと見える。
さすがに幼児語は卒業して、頭身が高くなり、甘えた性格も少しずつ変化してしっかりとしてきた。
彼女はパッレのかつらを作るためにばっさりと髪を切った以来ショートボブを気に入って、伸びたら切って、頭髪の少ない病気の子供たちにヘアドネーションするというスタイルを続けている。
ブランシュの手入れの行き届いた髪は、子供たちにも喜ばれた。
「今日は何やってたの?」
「今日は主に体幹とバランスの強化をしていたわ。ブランシュちゃんはまだ足腰が弱いから、しっかり体を作らないと」
「明日は筋肉痛間違いなしなの」
「ええ? そんなに厳しくしてないでしょ」
ブランシュは体力がないからということで、エレンの指導でフィジカルトレーニングを積み重ねている。神術のない世界でも対応してゆけるように、エレンは彼女の神術以外の個性を伸ばそうとしていた。もちろん、薬師としての修行も別に行っている。
エレンは二十三歳になって、以前にも増して筋肉をつけて体を絞っていた。
日ごろのトレーニングが功を奏してか、二人とも全身が引き締まったように見える。ブランシュは風呂あがりに鏡を見るのが日課だ。そして「今日も仕上がってきたわ」と独り言を言っているのを聞いたりもした。
「二人ともその新しいウェア、似合ってるね」
ファルマが何気なく話題を振る。
彼女らは体にフィットする見慣れない服を着ていた。
「いいでしょ。私がデザインした高機能ウェアを仕立ててもらったの。せっかくだからブランシュちゃんの分も作ったわ」
「これ動きやすいよ。兄上も着たら? 引き締め効果すごいの」
ブランシュにもおすすめされる。
体の各部位に圧力をかけることで、筋肉をサポートするコンプレッションウェアというものだ。
何故この世界にこういったものがあるのだろう、とファルマは訝る。
「ファルマ君もこういうのほしい? 筋トレにいいわよ。関節も痛めにくいの」
「筋トレしても筋肉がつかないからなあ……でも体を動かすときにはいいね」
ほどよい筋肉をつけて体を引き締めることには憧れるが、半実体のこの体には物理負荷をかけることができない。
痩せないし太らないし、筋肉もつかない。
殆どの物理攻撃を無効化する代わりに、そういった不便がある。
エレンはクールダウンにブランシュのストレッチを手伝っている。
ブランシュが開脚しているところをエレンに背中から押されて、悲鳴を上げていた。
「そのうちブランシュちゃんのほうがムキムキになるかも」
「それは頼もしいなあ」
「師匠、それ以上押さないでもらっていい」
ブランシュの声が裏返っているが、エレンは全く悪気はなさそうだ。
「えっ、全然そんな押してないわよ。押すって言ったらこう」
「そんなー股が割れるー!」
「股はもともと割れているでしょ」
何とかクールダウンも終わって、三人はガゼボの下のベンチでバスケットの中のおやつを広げた。
以前はロッテがおやつ係だったのだが、それは特に決められた仕事でもなかったので、ロッテがいなくなってからというもの、時々ファルマが様子見がてら差し入れを届けている。
ブランシュは股の内側を押さえて涙目になっている。
「エレン、さっきの柔軟体操だけど、あれ以上開脚する必要はないかも。特に人間の股関節は90度しか開かないようになってる。180度開脚は目指さなくていいよ」
ブランシュの肩を持つわけではないのだが、ファルマはブランシュの股関節を心配して注意を促しておく。
「あら、柔軟性を高めるのは必要ではなくて?」
「体が柔軟だと健康によさそうってイメージだけでトレーニングに組み込んでない?」
一見、健康によさそうだという印象で漫然と続けられているルーチンはある。
「そういわれると、昔からそう言われているからという以外に根拠がないわね」
「子供のころから過度に柔軟運動をしていると靭帯をいためたりするし、老後に筋肉量が落ちたら関節が不安定になったりするよ」
「それは問題ね。じゃあ、ほどほどにしましょう」
「うん、痛いと感じるまではやらなくていいと思う。エレン自身も気を付けた方がいいかもね」
ブランシュは「助かった」という顔をしながらすました顔でジュースを飲んでいた。
やや気まずくなってしまったので、ファルマは話を変える。
「そういえばエレンって、いつも先進的な服を着ているよね。そのトレーニングウェアにしても」
「そう見えるかしら。ファルマ君には初めて言われたわね」
「昔から、どこにも売ってなさそうな斬新な服ばかり着てるから」
「ああ、十代のころは露出も激しかったでしょう」
「うーん……そういえば」
この世界の女性たちはみな長いスカートを穿いて似たような格好をしているのに、エレンだけが以前は大胆なスリットや、胸の大きくあいた服を着ていたので、何ならオーパーツかと思うほど、周囲の人々との間に時代的なデザインの差があった。
ファルマは目のやり場に困っていた彼女の十代の頃を思い出して気恥ずかしくなる。
彼女の最近の普段着はパンツスタイルでスポーティーな装いをしており、露出も控えめになっている。
「最近、悪霊があまり出なくなったから戦闘の必要がなくなったのよ」
エレンは困ったような笑いを浮かべる。
その表情に少し複雑なものを感じたファルマは、理由を聞きたくなった。
「悪霊がでなくなるのと服は関係あるの?」
「私は暑がりでね。多汗症ほどではないにしろ、すぐ汗をかいちゃうから薄着が好き。戦闘中は特に、感覚が鈍るから服を少しでも軽くしたいの。水属性神術で服が重くなるのも好きじゃない。コルセットはつけずに、スカートは短いものか、動きやすいようスリットの入ったものがまし。でも男装はブカブカして私の体にフィットしないから着ないの」
(あ、あの格好はファッションじゃなくて戦闘服だったんだ)
意外と実用性を求めていたという回答に、ファルマは地雷を踏みぬかなくてよかったと冷や汗をかく。
そして、彼女の悩みや葛藤を、お気楽にも何も分かっていなかったのだなと思い知る。
「でも、露出の高い格好をしていると、誘惑していると思う人がいるんだよね。年頃の女の子がはしたない、犯罪に巻き込まれるとか。私は誰かに見られるために服を選んでいるんじゃないし、フォーマルな場ではちゃんとしてるでしょ。私服にまで制限をかけられる謂れはないんだけど、とやかくは言われたわね」
「結構大変なんだね……」
エレンはファルマを眺めて、ひとつため息をついた。
「ファルマ君は外見を常に人にとやかく言われることってある?」
「ないかな……?」
寝ぐせがついていたら指摘されるぐらいか。
髭は何故か生えてこないが。身だしなみには自分で気を付けている。
「女性にとってね、身なりをちゃんとしてたとしても人の視線に晒されて口だしされるのは日常なの」
「そーなのよ」
ブランシュも横で頷いていた。
「ブランシュもそんなに、言われることある?」
「しょっちゅうだよ、ああだこうだ言われるのは。太ったの痩せたの、髪が長い短い、日焼けするなだの、顔立ちがどうこう。胸がふくらんできたとか……」
「……そうなの?」
ファルマは絶句する。
元気いっぱい、わがままいっぱいに見えていた彼女も、そんな言葉に晒されてきたなんて。
「兄上、大人の女の人になるって嫌なことだね」
窮屈な思いをしていた女性が、こんなに身近にもいた。
(……自分の体が成長してゆくことを、恥ずかしく辛いことだと思ってほしくない……)
容姿を褒めたとしてもハラスメントになるというのは、現代地球の義務教育の中で叩き込まれていたので、ファルマは容姿に言及することは避けているが、そんなにも人から容姿ばかり評価される人生は屈辱だろうと想像する。
この世界では神術というものがあるがために、貴族と平民の間の格差はあるが、男女の間に力の差がない。
だから、地上最強の神術使いが女帝でありうるし、威風堂々と頂点に君臨する女帝の姿は、この世界の持たざる女性をどれだけエンパワメントしてきたかしれない。
それでも女性は男に従順であるべき、という暗黙の了解がある。
それは神術を使えず腕力がものをいう平民の間ではなおさらだった。
多様性に配慮された社会までには程遠く、この世界ではまだ問題提起すらされていない。
神術がなくなって立場がフラットになる世界では特に、ダイバーシティへの配慮は必要だ。
「そっか。俺には見えてない世界だな。身だしなみ以上に容姿に気を遣わないといけないとしたら、ストレスだろうね」
「そうよ。ファルマ君の容姿は30点かな、とか知らない人から言われたらいやでしょう」
「たしかに。え、30点ってホント? 何点中の?」
「たとえばよ」
「もやもやするね……言われたことないや」
「一体どの立場から言ってるの、じゃあ自分は評価されてもいいのってなるでしょ」
「わかる」
彼女の心情が、少しわかった気がした。
あの個性的な服は、彼女にとっては心やアイデンティティを守るための鎧だったのかもしれない。
「ファルマ君はね、少し変わっているのよ。とてもフラットで、人を評価したり見下したりしない。だから一緒にいて嫌な思いをすることが少ないし、心地がいいわ」
彼女がそれを打ち明けてくれたのは、ファルマが彼女を尊敬しているからだろうか。
彼女にとって対等で無害な存在であったから、彼女の葛藤や不満、困りごとを話してもらえたのだ。
しかし「嫌な思いをすることが少ない」と言われたことに対しては、重く受け止めなければならない。
「今は戦闘が減ってきたから、エレンは服装を変えたんだね」
「そう。ただそれだけなの」
そういう話を、初めて聞いた。
彼女の考えをもっと早くに知っていればと思った。
「きちんと自分の考えを持って、新しいことを進めてゆくエレンを尊敬するよ」
「私は誰にでも優しいファルマ君を尊敬するけど。私もなかなかそうはなれないから」
「そんな風に見てくれてたんだ」
「老若男女、強者も弱者も誰でも優しくするでしょ。利害のある人にだけ手を差し伸べるなんて人、腐るほどみてきたわ。でもあなたは利害なんて関係なく人助けが好きで。打算的なものを感じたことがない」
皆各々に困りごとを抱えて生きているが、誰もが他者の痛みに鈍感だ。
地球でも異世界でも、少しずつ声があげられ始めて、価値観はアップデートされてゆく。
すべての人々の人権が守られはじめて、少しずつ意識は変わってゆく。
「誰もが枠にはめられずに、自由に生きることができたらいいね」
「そうね」
エレンは爽やかな表情でフルーツをかじる。
ブランシュも、こわばっていた表情がときほぐれていた。
「ファルマ君、また何か考えてる?」
「うん、アイデアがわいてきた。汗をかいてもさらっと涼しく着れる、肌に優しい下着やスポーツウェアを作ってみようよ。新しいブランドを立ち上げない?」
「えっ、賛成。やりたい」
この世界には、スポーツウェアというものがない。
特に女性はスカートの代わりになるものがなく、体を動かす場合は男装でトレーニングをしている。そしてまた、それを「男のような恰好をして」と非難する者がいる。
エレンが着ているようなエレガントで機能性のあるウェアが普及すれば、女性たちの健康増進にも繋がるかもしれない。スポーツウェアだけでなく、作業着や、医療用、介護用の服などもあれば助かる人々も増えるだろう。
「一緒にやろうよ。老若男女誰が着ても快適に過ごせるものを」
「なんか服を作るって、薬師の仕事を超えてない?」
ブランシュはそう言うが、エレンは乗り気だ。
ファルマにはもう幾何と時間がないが、その道筋をつけておくということはできる。
「私たちはすでにランジェリーショップを立ち上げているのよ。そういったウェアが普及すれば、ファルマ君がいつも言っている、市民の健康増進につながるじゃない」
「そうだね、使う人の困りごとや、忌憚のない意見を集めよう」
当事者がモノ作りに参加して本当に欲するものを作る。
そんな誰かの快適のための仕事は、きっと世界を優しく変えてゆく。
「ブランシュ、大人になるって楽しみなことだよ」
「そうかな。そうだといいな」
「もしそう思えないなら、変えてゆかないとね。誰もつらい人がいない世の中は無理だけど、少しでも苦しさを取り除くことはできるかもしれないから」
ブランシュは弾けるような笑顔でにこっと笑った。
人種、性別、貧富の格差、貴族と平民、障害や疾患の有無、価値観の相違……問題や摩擦は数あれど。
多様性に満ちた世界で、一人一人が尊厳をもって自分らしく生きるために。
ファルマはいま一つアップデートを経験しながら、一つ一つときほぐしてゆけるようにと願う。
未来への不安や葛藤はあれど、皆に優しい世界は誰かにも優しい、そう思ったから。
◆
ファルマは宮殿での勤務も続けている。
とはいえ一年前に筆頭宮廷薬師を勇退し、パッレが同職位に昇格していた。
同時期に、ブリュノも宮廷薬師を退任した。
ブリュノは医薬大総長を務めながら世界保健機構を立ち上げ、その運営に尽力している。
現在、宮廷侍医の体制は、侍医長 クロード・ド・ショーリアック、次席 ブリジット・ル・ノワール、マルタン・ムニエ。
宮廷薬師の体制は、筆頭宮廷薬師 パッレ・ド・メディシス、次席 ファルマ・ド・メディシス、フランソワーズ・ド・サヴォワ。
その下に侍医団、薬師団を率いている。
三人続けてド・メディシス家の筆頭薬師への着任だが、エリザベスもそれでいいと言って、彼の仕事ぶりを認めた。
パッレは宮廷人たちに積極的に介入し、薬師たちの人心の掌握も早かったし、ファルマのようにあちこち掛け持ちの薬師ではなく、宮廷専従ということで宮廷人たちからの信頼も厚い。
彼自身も、念願でもあった職位を得ることができて、皇帝になるより性に合っていると話している。ちなみに、次期皇帝の選定は保留となっていた。
ファルマの役割といえば、パッレが見逃した疾患を見つけてそっと治療したり、セカンドオピニオンの相談などを受け付けていた。いわばパッレのサポート役だ。
いつものように宮殿の一角を歩いていたファルマは、あることに気づいてはたと足を止める。
大会議室の前には、秘密会議の看板が掲げられている。
(また今日も俺をはぶって何かやってるな)
まあ仕方ないな、と気まずい思いをしながら、こっそり大会議室の前を迂回しようとする。
ファルマの宮殿での仕事は少しずつ減らしてパッレに任せていたので、参内する頻度も減っていたのだが、秘密会議に出くわしてしまった。
ファルマは宮廷で時折、ファルマには秘密の会議をしているのを薄々知っていた。
身近な薬師たちが不自然なほど一斉に、謎のスケジュールで埋まっている日が月に一度ほどあるからだ。そういう時は決まって、聖帝には謁見中止となる。
つまり聖帝も臨席しているということに他ならない。
まったく分かりやすいと思うのだが、あまり詮索しないようにしている。
何か鎹の歯車に対しての対策を講じているのだろうが、ファルマには秘密なのだろう。
メンバーは聖帝、ブリュノ、パッレ、エメリッヒ、エレン、ジョセフィーヌ、侍医数名、あとは神殿関係者といったところか。
ファルマは診眼を使って内部のメンバーを推定する。今日は十五人の会議のようだ。見る限りは全員、健康だ。
ファルマが引き返えそうとしていると、
「みーたーなー」
ノアが背後からファルマに襲い掛かって羽交い絞めをしてくる。
気配を消すことのできるノアの奇襲は、本気で接近がわからないから困る。
会議室の中を診たが、目視はしていない。ファルマは弁解する。
「何も見てないよ! 秘密会議って看板が出てるから迂回しようとしただけだよ」
「まあ、秘密会議というか趣味のサークルだ」
ノアは冗談めかしてそんなことを言う。
「わかった。サークル活動の邪魔をしないように退散するよ」
ファルマがわざとらしく手を広げて撤退しようとすると、
「分かってんだろ。中で誰が何を話してるか」
「……まあ大体は」
およそ四年以上も月一で数時間の会議とは、本気度は窺い知れる。
何か進展があったのかどうかは分からないが、ファルマの耳には何も入ってこない。
「そんだけ、お前に恩義か何か知らんが、何か感じてるやつが多いんだよ」
「……ありがたいことだけどね。でも俺は」
「潔く死なせてくれって? わかる、その気持ち」
そう言われてみると、ファルマは複雑な心境だ。
薬谷完治とファルマのシミュレーションでは、7割の確率でファルマは今後も生存できるという予測になっている。
これが恐らく、この秘密会議に参加している全員に喜んでもらえる結果だろう。
だが、残りの3割は、彼らが悲嘆にくれる結果になる。
「心配しないで」とも何とも言えないのだ。
「どうにもならないことだから、あまり時間を割かないでほしいかな」
ファルマは取り合わない。
「中の連中、既に墓守の居場所を突き止めてるぜ」
「え? 墓守に接触したのか? どうやって!」
「俺は会議に参加してないから分からん」
会議のメンバー全員が無事であることから、直接接触はしておらず動向を掴んでいるといったところか。ファルマは情報を探りたいが、ノアがファルマの口を割らせるためのハッタリという可能性もある。
「いいのか、そんなことを俺にばらして」
「俺は別にお前の敵でも味方でもねーもん。でも、あとちょっとは世界が滅ぶと困る」
ノアの言葉は信用できるのだろうか。
会議が終わって会議室からメンバーが出てくる気配がしたので、ファルマはノアとの話を切り上げてすっと立ち去った。
「まーたなー」
ノアの言葉が追いかけてきた。
ファルマは彼らが墓守にたどり着いたということに危機感を覚えていた。
もし、彼らが墓守を刺激すれば、薬谷 完治と進めている計画が根こそぎ狂う。




