CAUTION 3 終演
3月23日夕刻未明。四人は品川駅に降り立った。血清弾を手に彼等の進行を止める為に。
その頃、吉祥寺でも動きがあった。
[ホンダ長官。ご報告します。今、品川駅で彼等が戦っています。コレが血清弾です][そうか!抗体が完成したか。そっちは任せた。こっちは第2、第3の被害が出る前に乗り込むぞ。血清弾は?1つか][彼等の到着を待ちましょう][イヤ。隼人、ヒロミ、スレイター、美香が戦っているんだ!一般人が。民衆が立ち上がった今、警視長官としての立場もある。最近はうるさくてな。外野が。貸せ!私が行こう][デ、ですが長官][良いんだ。ここに来た時点で覚悟は決めていた。君にお願いがある][なんです?][もし、私が戻らない時が来ればコレで…………]長官は拳銃と警察手帳をを渡した。[好きにしろ。後の士気は君に任せる。行ってくる。銃声が止んだら終わりだと思ってくれ]
長官は駆け足で大学に向かった。[待っていろ!レドガー・クーネス!貴様の野心。このホンダが名誉に賭けて止めてみせる]大学でも銃声が聞こえた。バタバタッと倒れる変死体。歓喜に湧く吉祥寺。
[これは…………どうゆう事だ!吉祥寺が浄化していく………][おそらく血清が完成したのでしょう][バカモン!早く止めんか!計画が台無しになる!ウイルスをヘリのミサイルにセットしろ!一気にばら蒔いてやる!]
品川駅では四人が奮闘していた。
[まだ血清弾の量産ができていない。必要最小限にしろ!弾は抑えろ!良いな]スレイターが全員に呼び掛ける。
美香の元に2体の変死体が近寄る。[ンモウ!しつこいわね!]一体を足払いでバランスを崩し、それを踏み台にもう一体に弾を撃ち込み、土台を撃ち落とす。崩れ落ちる2体の変死体。[ヤッター!ダブルスコア!これ難しいのよね]スレイターが後ろの3体を撃ち抜く。ダンダンダーン![3体同時だな。ゲーセンじゃないんだ!真面目にやれ!][チェッ………わかってるわよ。先生。いいコンビよね。私達。終わったら食事位良いわよ][バカ言え!教師と生徒だぞ!][固い人ね。相変わらず。良いじゃない。遊びぐらい。付き合ってよ]
[ヒヤーッ!コーナーイーデー!]ヒロミが撃ち落とす。[全く、たいしたお嬢ちゃんだよ。怖い怖い、言いながら見てみろって][テヘヘッ………バレちゃいました?嫌いじゃ無いですよ。コレ][成長したな。仲間を殺られて怯えてたあんたが][だって!ムカツクんだもん!こんなもんじゃないですよ。私][敵に廻したく無いな。ヒロミちゃん。遠慮なくいったれや!]四人は各々の想いを胸に合流ポイントを目指した。
[フーッ…………やっと片付いたな。スレイター][こんなもんだろう。皆、無事か?][ブイッ!余裕でしたよ]ヒロミがピースサインをする。[もう少しでハイスコアーだったのに。モウー]美香が悔しがる。[ひょっとして………倒した数かぞえる余裕があったのか?]隼人が美香に聞く。[エエ。あと一体で抜けたのに][まあ、こんなやつだ。隼人さん。近頃の生徒は………][お互い大変ですね。先生]隼人が同情する。
[後は吉祥寺ですよね。どうします?線路歩いて行きます?]ヒロミが隼人に聞く。
ガタンガタン!ガタンガタン!キーッ!
電車が止まる。[なんだ?またか?]スレイターが銃器を構える。
駅にアナウンスが入る。[アーッアーッ………マイクテスト、マイクテスト。大丈夫かね?繋がってる…………そうか。隼人君。使いたまえ。我が新聞社も株が上がったんだ。ボーナスだよ][ボス!編集長!大丈夫か?あんた][吉祥寺駅までの回送だよ。ナーニ。気にする事は無い。乗りなさい][超特急で頼むわ。行こう。皆!]
[田所より伝令。今、血清弾の量産が完成した。取りに来させている。吉祥寺で補給しろ。良いな。補給のヘリが来るまで待機だ。そのあと乗り込む][待機だと!やむを得ん。弾もつきかけている。編集長。吉祥寺に着いたら車内で待機できるか?][アア。補給が来るまで待っていろ。飯は?一緒に届けるが][アア。軽く頼むわ][アノ〜………警視長官は?]ヒロミが心配そうに聞いた。[君達が動いたと聞いて単身、乗り込んだ。大学に。後で合流してくれ][なんだと!それでも待機か!]スレイターが車内から立ち上がった。
電車が吉祥寺につく頃、日はとっくに暮れていた。
[君達。お疲れさま。飯にしよう]一人の警官が電車に近寄る。[旨いぜ。ここのあんパン。ホレ][補給は?][それが………明日になると。色々、面倒なんだよ。上が。使用許可うんぬん。民間人を巻き込んでる訳だし。手続きがな][そんな…………警視長官は中にいるんですよね]ヒロミの言葉に頷く警官。[ヒロミちゃん。暖まるぜこのスープ]隼人がスープを差し出す。手で避けるヒロミ。[バーン!要りませんよ!そんなもん!貴方達がそんな体制だから仲間が殺られたんじゃ無いですかね!品川駅にしても私の友達にしても!貴方達の判断ミスで………][言うな!ヒロミちゃん!それは皆、わかっている。わかっているからこそ][イイエ。隼人さん。何もわかってない]上目使いでヒロミを見つめる美香。[すまなかった。だが聞いてくれ。警視長官からの伝言だ]
続く