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サバイバル・リバイバル  作者: 双鶴


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2/5

第2話 学習と失敗

――ゴッ。


床が突き上げた瞬間、佐伯悠斗は反射的に机の下へ潜り込んでいた。

前回よりも早い。身体が勝手に動いた。


(また……地震が来る。ここから天井パネルが落ちる)


揺れが始まる。

ガガガガガガッ――!


同僚たちが悲鳴を上げる中、悠斗は机の脚をしっかり掴み、揺れに耐えた。

前回よりも冷静だった。


揺れが収まり、机の下から出る。

オフィスは同じように半壊している。


(これは……夢じゃない。やり直しだ)


胸の奥が冷たくなる。


「佐伯さん! 大丈夫ですか!」


同僚が駆け寄ってくる。

だが悠斗は答えず、窓の外を見た。


――黒煙。

――傾いたビル。

――逃げ惑う人々。


すべて“前回と同じ”。


(なら、次に起こることも……)


悠斗はスマホを取り出す。

圏外。

これも同じ。


「帰らなきゃ……」


呟き、出口へ向かう。


────────────────────


【恵比寿駅前】


外に出ると、前回と同じ混乱が広がっていた。

だが悠斗は“同じ行動”を取らなかった。


(あの女性を助けに行けば……俺は死ぬ)


視界の端で、倒れた自転車の下敷きになっている女性が見える。

前回助けた女性だ。


「すみません! 誰か……!」


助けを求める声が聞こえる。


悠斗は足を止めた。


(助けたい……でも、助けたら俺は死ぬ)


胸が痛む。

だが、家族の顔が浮かんだ。


「……ごめん」


小さく呟き、女性から目をそらす。


代わりに、近くにいた若い男性に声をかけた。


「そこの彼女、助けてあげてくれ! 俺は家族のところへ行かなきゃいけない!」


男性は驚いた顔をしたが、すぐに頷き、女性のもとへ走った。


(これで……俺は死なずに済む)


そう思った。


だが――


「危ないっ!」


別の方向から叫び声。


振り返ると、道路の亀裂に足を取られた老人が、倒れた電柱の下敷きになりかけていた。


(また……助けを求める人が……)


悠斗は迷った。


(助ければ……また死ぬかもしれない)


だが、老人の震える手が目に入った。


「……くそっ!」


気づけば走り出していた。


「大丈夫ですか!」


電柱を押し上げ、老人を引きずり出す。

老人は涙を浮かべて何度も頭を下げた。


「ありがとう……ありがとう……」


「気をつけて。余震が来るかもしれません」


そう言って立ち上がった瞬間――


――ドォォォン!


爆音が響いた。


(え……?)


視界の端で、ガス管が破裂し、炎が噴き上がるのが見えた。


次の瞬間、爆風が襲いかかった。


「うわっ――!」


身体が宙に浮き、地面に叩きつけられる。

耳鳴りがし、視界が揺れる。


(また……死ぬのか……?)


炎が迫る。


(美咲……七海……)


熱と光に包まれ、意識が途切れた。


────────────────────


【暗闇】


音も光もない空間。


(また……失敗した……)


悔しさと恐怖が混ざる。


(でも……分かったことがある)


・助ける人を変えても死ぬ

・危険は“別の形”で襲ってくる

・正解ルートはまだ見えない


(それでも……帰らなきゃ)


その瞬間――


――ピピピピピッ。


耳元でアラーム音。


目を開ける。


恵比寿のオフィス。

紙コップ。

Slackの未読。

妻からのLINE。


午前九時二十四分。


「……またか」


だが、前回と違う。


悠斗の目には、わずかな“決意”が宿っていた。


(次こそ……進む)


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