デコイ
点呼を終え退出していく教官
部屋の電気は消され、怪奇の視線が俺へと注がれる
「お前どうやってこの部屋に入ってきたんだ?!」
「教官が来る前まで確実にお前はいなかったはずだ!」
「いやいたから点呼に間に合ったんだよ」
そう答えるにも理解できない出来事に3人は慌てふためく
「確かに鍵をかけたはずだy?」
何かを言いかけた佐藤だったが、俺が目の前にいることを思い出し口を閉じる
そうして翌朝を迎える
朝6時の起床
定められた時刻になり、定刻と同時にラッパが吹かれ、目が覚める
身体を起こし、顔を洗う
昨日は風呂に入る時間が無かったため
身体がベトつくのを感じる
今日の演習内容は長距離の走行
確か50kmほど森の中を駆け回るといった内容だったはず
これならバレずに風呂に入ることも可能かもしれない
デコイを利用することにする
昨日、教官が点呼をとっていた際に点呼に応じたのはデコイの方だ
デコイとは
自身そっくりの分身を生み出す能力
囮としても役に立つ
質量、外見、性格、体格、力量全てを完コピし本体の分身を生み出す
デコイとは全てが共有されているため視覚、聴覚、嗅覚といった身体の様々な部分で情報を共有することができる
もちろん身体を入れ替えて自身の好きなように相手の問いに対する応答が可能である
同室の奴らの目もあるため
再び布団の中へと潜る
デコイの作成が終わると布団の中からデコイを出させ
布団の中で同室のメンバーが出ていくまでやり過ごす
デコイはよく作成しており、訓練をサボりたい時とかによく使う
今回は風呂に入りたいため、本日の演習はデコイに行ってもらうことにする
同室のメンバーが出て行ったのを確認し、少しだけ二度寝することにした
定刻から1、2時間した頃だろうかふと目が覚める
身体が十分に休まったことを確認し風呂場を目指す
途中、数人の教官とすれ違ったが、気づかれることなくやり過ごし風呂場へと到着した
この大浴場を1人で貸切とは最高だな
この軍学校に所属している生徒の合計数は正確には明かされていないが、ここ数年暮らしていて感じる気配から考えるにざっと1000人規模の生徒がいることは確実だろう
ここ数年で生徒の数が急激に増加しており、政府がいかに反乱軍の存在に手を焼いているかが間接的にだが伝わってくる
育成対象を大幅に増やすのは理にかなっているとは思うが、管理が行き届いているか怪しい
育成対象が増えれば、管理する生徒数も増幅し、教官達も増やさなければならなくなる
ここ数年で教官同士の実力にもかなりの差が生じ始めている
反乱軍鎮圧に人員を割かれ、採用する際に実力を保持しているか否かといった基準が大幅に緩和されている
1番の問題は生徒に紛れ込み軍学校を壊滅に追い込もうとする輩が出てくることだろう
なぜそれを警戒しているかには理由がある
1997年11月6日
ここ軍学校から輩出される戦力を削るべく、反乱軍がここを襲撃する事件が過去に発生したことがある
その際に犠牲になった生徒は300人ほどで、それからこの軍学校の警備も強化されたが、犯行が円滑に進んだのには生徒の中に実行犯を手引きしたものがいたのが大きかったようだ。
確実な安全などどこにもないため不安要素を抱えたまま生徒達も日々を送っている
・いつ襲撃されてもおかしくないという恐怖
・常日頃の過酷な訓練から精神を病み、使い物にならなくなった生徒は数えきれない
25分ほど湯へと浸かり、身体、頭などを洗い終え、部屋へと戻ることに決める
のぼせないうちに風呂から出る
一度のぼせて意識を失いそうになったトラウマがあり、それからはのぼせない程度に浸かることにしている




