表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/144

第82話 食い倒れの都『O-SAKA』と、ヒョウ柄に染まる魔王

 「まいど! ようおこし!」

  「兄ちゃん、安くしとくで! 買うてってや!」


 ダンジョン第77階層・商業特区『O-SAKA』。


 転移ゲートをくぐったディランたちを待っていたのは、極彩色のネオン看板と、ソースの焦げる香ばしい匂い、そして威勢のいい商人たちの声だった。


 ここは、世界中の珍味と商人が集まる「食い倒れと商売の街」。 公用語はなぜか関西弁ライクな『オーサカ弁』だ。


「……賑やか、というより騒がしいな」


 俺が呟くと、妻たちの目の色が輝き始めた。


「ディラン様! 見てください! 巨大なタコの看板が動いています!」 アリシアが目を丸くして指差す。


「あれは……『クラーケン焼き(タコ焼き)』じゃな。匂いだけで分かる。美味いやつじゃ」 ソフィアが眼鏡を曇らせ、涎を垂らしている。


「ふふ、ここには『値切りの美学』があると聞きます。商売人として血が騒ぎますわ」 セレスティアが電卓を片手に戦闘態勢ショッピングモードに入る。


「さあ、行きましょうディランさん! 食べ歩きデートですよ!」


 ノエルに手を引かれ、俺たちはO-SAKAの雑踏へと繰り出した。


 …… …………


「へいらっしゃい! 『灼熱クラーケンの大玉焼き』やで! 外はカリカリ、中はトロトロ、食べたら火傷間違いなしや!」


 まずは腹ごしらえだ。 屋台のおっちゃんが、バスケットボール大の巨大タコ焼きを焼いている。


「おじさま、一つ頂くのじゃ」 「はいよ! マヨネーズは?」 「致死量で頼む」(ソフィア)


 渡されたタコ焼きは、熱々のマグマのようだった。


「あーん♡ ディラン様、はい♡」 ノエルがフーフーして差し出してくる。


「んむ……熱っ!? でも美味い!」


 ダンジョン産の高級食材を、ジャンクなソース味で食らう。 これぞB級グルメの極致。 ソフィアに至っては、無言でハフハフと言いながら、すでに3皿目を平らげている。


「ふぅ……食ったな」


 腹が満たされた俺たちが次に向かったのは、ファッションストリート『シン・サイバシ』エリアだ。


 ここで、魔王ヴェルザードがとあるブティックの前で足を止めた。


「……ほう。なんという……前衛的な柄じゃ」


 彼女が手に取ったのは、黄金と黒の斑点が入り乱れる、ド派手な『ヒョウ柄のローブ』だった。


「店員! これは何の皮じゃ?」


「お目が高い! こら『魔獣ゴールデン・レオパルド』の直毛皮や! 着るだけで魔力が3倍、オバチャン力が50倍になるで!」


「気に入った! これをくれ!」


「ちょ、待てヴェルザード!」 俺は止めた。 「それは魔王というより、ただの『大阪のオカン』だぞ!?」


「何を言う。この威圧感、余にふさわしいではないか。……どうじゃ?」


 ヴェルザードがヒョウ柄のローブを羽織り、サングラスをかけた。 その姿は、魔王のカリスマ性と、商店街のドンのような貫禄が奇跡の融合フュージョンを果たしていた。


「……似合ってるのが悔しい」


「兄ちゃん、嫁さん似合ってるやん! ついでにこの『虎柄のスパッツ』もどうや!」


「買うのじゃ!」


 ヴェルザードは完全にO-SAKAファッションに染まった。 食べ歩き、買い物、そして漫才のような掛け合い。 O-SAKAの熱気に当てられ、俺たちは笑い転げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ