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第47話 『夏だ! 水着だ! アリシアと魔王の水陸両用作戦だ!』

 あの悲しきバーコード事件から数ヶ月。 季節は巡り、灼熱の太陽が照りつける夏がやってきた。


 俺たちは、領地の視察(という名の避暑)のために、清流が流れる渓谷を訪れていた。


「あつぅ……。もう溶けそうですよぉ……」


 聖騎士アリシアが木陰でぐったりとしている。 その視線の先では、妖狐のルナや子供たちが、キャッキャと川遊びをしていた。 水しぶきがキラキラと輝き、実に涼しげだ。


「いいなぁ……。ねえディラン様、私たちも入りましょうよ、川」


 アリシアが俺の服の裾を引っ張り、上目遣いで訴える。


「川か。確かに、この気温下での体温上昇はパフォーマンスの低下を招く。冷却クールダウンが必要という判断は合理的だ」


「でしょ!? でも、このままの服じゃ濡れちゃうし……。ねえ、ディラン様の知識にある『ミズギ』っていうのが欲しいです!」


「水着か……」


 俺は顎に手を当てて思考を巡らせた。 こちらの世界には、まだ機能的な水泳装備が普及していない。 だが、俺の知識にある『現代の水着』は違う。あれは、水の抵抗を極限まで減らし、水中での機動力を最大化するために開発された、科学の結晶――言わば『水中戦闘用ボディスーツ』だ。


「わかった。俺がその『ミズギ』とやらを錬成しよう。お前たちのポテンシャルを最大限に引き出す、最強の装備をな」


「ほんとですか!? やったぁ! (どんな可愛いのが来るかしら!)」


 アリシアが飛び跳ねて喜ぶ。 その横で、暑さで伸びていた魔王ヴェルザードも、気だるげに起き上がった。


「ほう……。我にも用意してくれるのか? 魔王に相応しい、覇気のあるやつを頼むぞ」


 ◇


 数時間後。 俺は即席の更衣テントの前で、完成した装備を彼女たちに手渡していた。


「まずはアリシア、お前にはこれだ。『ピュア・ホワイト・ビキニ』」


 俺が渡したのは、布面積の極めて少ない、純白のセパレートタイプ。


「えっ……? こ、これ、布が……少なくないですか? ほとんど下着……」


「甘いぞ聖騎士。水中では布の質量こそがデッドウェイトになる。これは防御力を捨て、『神聖属性(肌色)』による精神攻撃と、回避能力に特化した軽量型だ」


「(せ、精神攻撃……? まあ、可愛いからいいけど……)」


 アリシアは満更でもなさそうにテントへ入っていった。


「次にヴェルザード。お前にはこれしかない。『デンジャラス・ブラック・ストリング』」


 俺が渡したのは、黒い紐のような、極めて攻撃的なデザインのもの。


「ほう……。ほとんど紐ではないか。防御力ゼロどころか、着ているだけで挑発スキルが発動しそうだな」


「その通り。お前の圧倒的な魔力フェロモンを抑え込まず、周囲に撒き散らすための拡散装置だ。これを着こなせるのは魔王しかいない」


「ククク……面白い。我の肢体で、川の生態系を狂わせてやろう」


 ◇


 そして、着替えが終わった。 テントの幕が開く。


 そこには、夏の太陽さえ霞むほどの、破壊力抜群の光景が広がっていた。 恥じらいながら白い肌を晒すアリシア。 豊満かつ引き締まった肢体を、黒い紐で強調するヴェルザード。


 俺は満足げに頷いた。


「完璧だ……。これなら、どんな水棲モンスターが来ても、その『魅力』で即死させられるだろう」


「ねえ、モンスターとかどうでもいいですから! 早く行きましょ!」


 アリシアが俺の手を引く。


「よし、総員、戦闘配置(川遊び)につけ! 作戦目標は『涼』の確保、および相互のスキンシップによる結束力の強化だ!」


「「おー!」」


 こうして、俺たちの熱い夏――伝説のサービス回が幕を開けた。


 だが俺はまだ知らない。 川には「滑りやすい石」や「流されるハプニング」、そして下流でレオンやザインといった男連中が、むさ苦しい「おとこ祭り」を開催しようとしていることを。

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