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第144話(最終回) 遊び人、永遠に遊ぶ 〜悪友たちの生存戦略〜

第144話(最終回) 遊び人、永遠に遊ぶ 〜悪友たちの生存戦略〜


「……ディラーーーン! 帰ってきたかぁぁぁ!」


 強制ハネムーンから数年後。


 久しぶりにダンジョン国の王城へ足を踏み入れたディランに、涙声で飛びついてきた男たちがいた。


 レオン、イグニス、ザインの三人だ。


 彼らは有能すぎるスーパーチルドレンたち(俺の子供たち)に国を乗っ取られ、「社畜として使い潰される」と宣告されていたはずだった。


 だが、彼らの顔に悲壮感はない。

 むしろ、妙にツヤツヤしており、その腕にはそれぞれ『小さな赤ん坊』が抱えられていた。


「お前ら……過労死してなかったのか?」


 俺が驚いて尋ねると、レオンがニヤリと笑って親指を立てた。


「へっ、舐めるなよ。俺たちだって成長してるんだ」


「ああ。あのチルドレンたちの命令は絶対だ。仕事量も尋常じゃない。……だが、俺たちは見つけたんだ。『究極の逃げ道』をな」


 イグニスが得意げに胸を張る。


「逃げ道?」


「『育児休暇』と『家族サービス』だ」


 ザインが、腕の中の赤ん坊(ルナとの子)をあやしながら静かに答えた。


「どんなに有能なチルドレンでも、同じ『子供』をダシに使った合法的な休暇申請は却下できない。……俺たちは『パパ友ネットワーク』を結成し、互いの子供の世話を理由にシフトを回して、社畜生活を完全に回避しているのさ!」


「お前ら、最低だけど最高に図太いな!」


 俺は爆笑した。


 鬼嫁たちや監視天使の目も、「子供のため」と言えば誤魔化せるらしい。

 彼らは苦楽を共にした結果、国家権力チルドレンの隙を突く、最強のサボり魔へと進化していたのだ。


「あなたたちー? オムツ替えの時間は終わりましたわよー? 次は庭の草むしりですわー」


 廊下の奥から、セレスティアの背後に控えるシーラたち(妻&監視天使連合)の声が響いた。


「おっと、時間だ! じゃあなディラン、あとは頼んだぜ!」


 三人は光の速さで逃げ去っていった。

 尻に敷かれているのは相変わらずだが、彼らなりの『幸せな家庭』を築いているのは間違いない。


「……たくましい連中だ」


 俺が笑っていると、背後からふわりと甘い香りが漂ってきた。


「ディラン様。おかえりなさいませ」


 セレスティアが優雅に微笑み、ヴェルザードがジャージ姿であくびをする。

 アリシアが俺の右腕に抱きつき、ノエルが左腕を優しく包み込む。

 ソフィアが空中で数式を弾き、メルが新しいスケジュール帳を開いて待機している。


 少しも変わらない、俺の愛する最強の妻たちだ。


「パパー! おかえりバブー!」


 さらに奥から、立派に成長した子供たちが駆け寄ってくる。

 神の筋肉、大賢者の頭脳、天使の管理能力。彼らがいれば、この国は千年先まで安泰だろう。


「さて、ディラン。これからの予定はどうする?」


 ソフィアが眼鏡を光らせて問いかける。


 俺は、騒がしくも温かい王城の広間を見渡した。

 魔物と人間、そして神や天使が共に笑い合う、常識外れの国。


 職業選定で『遊び人』三連発を引き当て、王都を追放されたあの日。

 まさかこんな未来が待っているなんて、想像もしていなかった。


 全ての職業スキルを重ねがけできるバグ。

 だが、俺の持つ最強のスキルは、そんなシステム上の都合なんかじゃない。


「決まってるだろ」


 俺は妻たちの腰を引き寄せ、国中のみんなに向かって高らかに宣言した。


「仕事は全部、有能な子供たちに任せる! ……今日からこの国は、俺たち大人のための『永遠の遊び場』だ!」


「「「賛成ーーっ!!」」」


 王城が割れんばかりの歓声に包まれる。


 神童と呼ばれた過去の栄光なんて、もういらない。

 理不尽な追放も、今となっては最高のスパイスだ。


 俺の職業は【遊び人】。

 愛する最強の家族と、図太い悪友たちと共に。


 この底抜けに明るく、ハチャメチャで、最高に幸せな狂騒の日々は――永遠に終わらない。


(了)

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