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第122話 天使と女神のカップリング作戦

『対・ダメ男同盟』の結成から一夜明け、我が家のパワーバランスは劇的に変化していた。


 秘書天使メルは、セレスティアをはじめとするヒロインたちに完全な「同志」として受け入れられたのだ。


 彼女の事務処理能力は凄まじかった。


 我が家の家計簿をわずか数分で分析し、『無駄なポーション代の削減』『おやつ代の見直し(主に俺と神様たちの分)』を次々と提言。


 妻たちは「さすがメルちゃん!」

「頼りになるわ!」

 と拍手喝采だ。


 メルもまた、「これほど私の能力が評価される職場は初めてです……」と、まんざらでもない顔で眼鏡を輝かせている。


   ◇


 そんな最強の婦人会が次に打ち出したのが、『居候神様カップリング計画』だった。


 昼下がりのリビング。


 俺は妻たちに呼び出され、一枚の作戦図を見せられた。


「いい? あなた。アルテミス様とミカエル様、あの二人がこのまま独身貴族ニートとして居座り続けるのは、教育上も家計上もよろしくないわ」


 セレスティアが教鞭を振るう。


「そこで! あの二人をくっつけてしまえばいいのよ!」


「は?」


 俺は間の抜けた声を出した。


「二人が恋仲になれば、二人で勝手に愛の巣(天界)へ帰るかもしれないし、少なくともここでの『構ってちゃん』行動は減るはず。一石二鳥よ!」


「いや、あの二人に恋愛感情なんて……」


「それを生み出すのが、私たちの役目です」


 メルが真剣な表情でカットインしてきた。


「データによれば、吊り橋効果や共同作業は恋愛成就率を高めます。私がシナリオを書きました」


 手渡された『ラブラブ作戦進行表』には、ベタな少女漫画のような展開がびっしりと書かれていた。


   ◇


 作戦1:『偶然の手と手の触れ合い』


 おやつの時間。わざと一つの皿に盛られた最後のクッキー。


 二人が同時に手を伸ばし……触れ合う!


「あ」


「ん」


 二人は顔を見合わせ……


「ミカエル、私のクッキーよ。離しなさい」


「いや、私がコンマ一秒早かった。譲れ」


「神罰を下すわよ?」


「受けて立とう」


 バチバチと火花が散り、俺が慌てて仲裁に入ってクッキーを二枚追加した。失敗。


   ◇


 作戦2:『暗闇での密着』


 夜。メルがこっそりとブレーカーを落とし(魔法で遮断し)、リビングを真っ暗にする。


「きゃっ! 停電!?」


「危ない、アルテミス!」


 と、抱き合う展開を期待したが……。


「……ふっ、闇か。我が聖なる光よ、輝け!」


「月光よ、我を導け!」


 カッ!!


 二人が同時に神々しいオーラを放ち、リビングは真昼のように明るくなった。


「なーんだ、ただの停電か。びっくりしたー」


「便利な機能ですね、我々は」


 二人は平然とお茶をすすっている。


 暗闇に潜んでいた妻たちは、「眩しっ!」と目を覆って撤退した。失敗。


   ◇


 作戦会議室(台所)にて、全員が頭を抱えていた。


「ダメね……あの二人、色気より食い気と惰性が勝ってるわ」


「手強いです……これほど恋愛フラグをへし折る能力が高いとは」


 メルが悔しそうにペンを折る。


 しかし、セレスティアは諦めていなかった。不敵な笑みを浮かべる。


「ふふふ……次は強硬手段よ。『二人きりの温泉旅行(無人島サバイバル付き)』をプレゼントしましょう」


「そ、それは荒療治すぎでは!?」


「愛は極限状態でこそ燃え上がるのよ!」


 暴走し始めたヒロインたちを見て、俺は思った。


(……これ、絶対に変な方向に拗れるな)


 庭では、何も知らないアルテミスとミカエルが、神獣たちと一緒に平和にあくびをしていた。


 嵐の予感がした。


【次回予告】


 第123話:無人島ハネムーン……じゃなくて『怪獣大決戦』? 恋の吊り橋効果を狙ったら物理的に島が沈みかけた件


 次回、奥さんたちとメルの結託により、無理やりリゾート……もとい危険な無人島へ放り出された俺と駄神コンビ。 「極限状態で愛が芽生える!」はずが、芽生えたのは闘争本能だった!? ミカエルが本気モードで要塞を建築し、アルテミスがクラーケンを素手で捕獲! 原住の魔物たちが「勘弁してください」と泣いて逃げ出す、最凶のサバイバルデートが幕を開ける! もう恋とか愛とかどうでもいいから、島を沈めるのだけはやめて!!


 ※注:予告は執筆中にさらなるアイデアのために変更することがあります。むしろ予告通りにならないことが多々ありますのでご了承ください。

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