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第114話 寝室は聖域(サンクチュアリ)!? トランポリンと妻たちの『もう一人』

「報告します! またベッドが全滅しました!」


 朝の定例会議にて、レオンが悲鳴交じりに報告した。 ここ数日、城内の子供部屋から毎朝のように「バキッ!」「ドゴッ!」という破壊音が響いている。


 原因は、子供たちの『寝相』だ。 ドラゴンの血を引く彼らにとって、ふかふかのベッドは寝具ではなく「ジャンプ台」らしい。 毎晩、興奮して飛び跳ね、その着地の衝撃で高級ベッドのスプリングが弾け飛んでいるのだ。


「キリがねぇ……。鋼鉄製のベッドにしても、3日でスクラップだぞ」


 イグニスも頭を抱えている。 ディランは腕を組み、一つの結論を出した。


「……なら、発想を変えよう。 跳ねたいなら、思い切り跳ねさせればいい」


「え?」


「全子供部屋のベッドを撤去し、床一面に『強化魔導トランポリン』を敷き詰める!」


 …… …………


 数日後。 リフォームされた子供部屋は、カオスな空間へと変貌していた。


「キャッキャッ!」


「とおっ!」


 ピヨちゃんやレオンJr.たちが、天井に届くほどの高さまでジャンプし、空中で回転し、またトランポリンに着地して跳ね上がる。 壁にはソフトクッションが貼られ、激突しても安全だ。


「すげぇ……。あいつら、空中で寝てやがる……」


 ザインが呆然と呟く。 子供たちは跳ね疲れると、トランポリンの反動に揺られながら、ゆりかごのようにスヤスヤと眠っていた。 破壊音はなくなり、代わりに楽しげな「ボヨヨン」という音が響く平和な部屋になった。


「よし! これで子供部屋の問題は解決だ!」


 俺は満足げに頷き、レオンたちに向き直った。


「だが、ここからが重要だ。……いいかお前ら」


 俺は声を一段低くし、王としての威厳オーラを放った。


「子供部屋は無法地帯トランポリンになった。……だが! 俺たちの『夫婦の寝室』だけは別だ!」


「ゴクリ……」


「あそこは、俺たちが唯一、親としての重圧から解放され、安眠できる『聖域サンクチュアリ』でなければならない。……よって、本日より王命を下す!」


 俺はビシッと宣言した。


「寝室への『子供の立ち入り』および『トランポリンの持ち込み』を断固禁止する! ……夜だけは、静寂と平穏なベッドを死守するのだ!」


「おおお! さすがディラン様!」

「久しぶりに王様っぽい!」

「これでゆっくり寝られるぜ!」


 パパたちは歓喜した。 俺も鼻が高かった。 久々にビシッと決まった。これぞ家長の権限だ。


 …… …………


 その夜。 俺は一日の公務と育児を終え、意気揚々と『聖域(寝室)』の扉を開けた。


「ふぅ……。静かだ。最高だ」


 最高級のキングサイズベッド。 フカフカの布団。 遮音結界による完全な静寂。 これだ。俺が求めていたのは、この平穏な眠りだ。


 俺はパジャマに着替え、ベッドに潜り込もうとした。


「……あら、ディラン様。 お待ちしておりましたわ」


「……ん?」


 ベッドの中に、何かがいた。 いや、『何か』ではない。 セレスティア、ヴェルザード、アリシア、ノエル、ソフィア。 妻たち全員が、普段よりも少し布面積の少ない、魅惑的なネグリジェを纏って待ち構えていたのだ。


「え、あ、みんな? もう子供たちは寝かしつけたのか?」


 俺が動揺すると、セレスティアが妖艶に微笑み、俺の腕を引いてベッドに引きずり込んだ。


「ええ。あの子たちはトランポリンでぐっすりですわ。……ですから、今夜は邪魔者はおりません」


「そ、そうか。それは良かった。……じゃあ、俺たちも寝るか」


 俺が目を閉じようとすると、ヴェルザードが俺の上にまたがった。


「寝る? ……何を言うておる。ここは『聖域』なのじゃろう?」


「え?」


「子供がおらぬ、夫婦だけの空間。……ということは、すなわち」


 ノエルが俺の耳元で囁く。


「……あの子たち、少し成長して手がかからなくなってきましたよね?」


 アリシアが俺の手を握る。


「……賑やかなのは楽しいですけど、今の子供部屋……あと1人か2人くらいなら、まだスペースがありますわよね?」


 ソフィアが眼鏡を光らせる。


「……計算上、連続出産による母体の回復は完了している。……そして今夜は、星の巡りが『絶好調』じゃ」


 俺は青ざめた。 聖域とは、「安眠するための場所」ではなかった。 子供たちに邪魔されず、『次』を仕込むための場所という意味に変換されていたのだ。


「ま、待ってくれ! 俺は今日、公務で疲れて……!」


「ダメですわ」


 セレスティアが、サイドテーブルの照明を少し暗くした。


「トランポリンで跳ねるあの子たちを見ていたら……また、あんな可愛い赤ちゃんを抱きたくなってしまいましたの」


「ディラン。……久々の『強権発動』、カッコよかったぞ? ……その男らしさ、たっぷりと見せてもらおうか」


「「「もう一人(あるいは五人)……欲しいですわよね?♡」」」


 逃げ場はなかった。 完全防音の聖域は、俺の助けを求める声を完全に遮断していた。


「あ、安眠がぁぁぁぁ!!」


 その夜。 子供部屋では「ボヨヨン」という平和な音が。 夫婦の寝室では、ベッドがきしむ音と、男の悲鳴(と歓喜)が、朝まで響き渡ったという。


 聖域を守った代償は、俺の腰と、来年のさらなる国家予算(養育費)の増大だった。


(第115話:そんな中、子供たちが拾ってきた『ペット』がついに登場。……ワンちゃん? いいえ、どう見てもフェンリルです)


 ※注:予告は執筆中にさらなるアイデアのために変更することがあります。むしろ予告通りにならないことが多々ありますのでご了承ください。

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