表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/144

第105話 衝撃の結果発表! まさかの『全員同時』と国家予算の危機

「……おめでとうございます」


 王城の医務室。 ソフィアが開発した『超精密・コウノトリ感知魔道具』の結果が表示されたモニターを見て、医師(とソフィア自身)が震える声で告げた。


「ディラン様。……全員、反応あり(陽性)です」


「……へ?」


 ディランは耳を疑った。 セレスティア、ヴェルザード、アリシア、ノエル、ソフィア。 5人並んでベッドに座っている妻たちが、一斉に顔を輝かせた。


「まあ! やりましたわ!」 「でかしたぞディラン! 一発必中とはな!」 「私の計算通り……いえ、計算以上の確率変動です」


「ちょ、ちょっと待ってくれ! 全員!? 同時に!?」


 俺は腰を抜かした。 あの『誤解が解けた夜』から数週間。 まさか、これまで堰き止められていた運命が一気に決壊し、こんなミラクルを引き起こすとは。


「確率的にありえん……。だが、これが『愛の力(とドラゴンの生命力)』ということか……」


 ソフィアが眼鏡を直す手も震えている。


「ディラン様! すごい! すごいです! 一気に5人のパパですよ!」


 ノエルが俺に飛びつこうとするが、セレスティアが「安静になさい!」と止める。


「喜んでいる場合ではありませんわ。……大変なことになりました」


 セレスティアの目が、母親の目から『財務大臣』の目に戻った。 彼女は高速で電卓を叩き始めた。


「王族の出産費用、ベビー用品、将来の養育費、家庭教師代、城の増築費……。……試算が出ました」


 彼女はモニターに数字を映し出した。


「……国家予算の3年分が飛びます」


「さ、3年分!?」


「5人同時に、しかも最高級の環境で育てるのです。……オムツ代だけで城が建ちますわ」


 場が静まり返った。 喜びが一転、財政破綻の危機。 俺が頭を抱えていると、廊下からドタドタと騒がしい足音が聞こえてきた。


「ディラン! おいディラン!」


 飛び込んできたのは、レオン、イグニス、ザインの3人だった。 彼らは息を切らし、顔を真っ赤にしている。 後ろには、彼らの妻であるシーラ、エレナ、ルナも、どこか恥ずかしそうに立っていた。


「どうしたレオン? 仕事中にサボりか?」


「違う! 緊急事態だ! ……俺の嫁が……シーラが……!」


 レオンがシーラの手を握りしめ、叫んだ。


「『できた』んだよ!」


「え?」


「俺もパパになるんだよぉぉぉ!!」


「なっ……!」


 続いてイグニスも叫んだ。 「俺もだ! エレナのお腹に、俺の炎を受け継ぐ子が!」


 ザインもボソッと言った。 「……俺も。ルナが懐妊した」


 まさかの全員同時。 レオンたちの『愛の覚醒』と、俺の『リミッター解除』の時期が重なり、ダンジョン国全体に空前のベビーブームが巻き起こっていたのだ。


「すげぇな……。お前らもかよ……」


 俺たちは顔を見合わせた。 かつては借金と見栄にまみれた独身男たちだった俺たちが、揃いも揃って父親になる。 なんとも言えない感慨が込み上げてきた。


「おめでとう、レオン。……だが、覚悟しておけよ?」


 俺はセレスティアの出した試算表を指差した。


「子供一人育てるのに、お前らの借金と同じくらいの金がかかるぞ」


「……まじか」


 レオンたちの顔が青ざめる。 ただでさえ借金地獄なのに、養育費地獄まで追加されるのか。


「ですが、ご安心ください」


 セレスティアがニッコリと笑った。


「人口増加は国力の要。……貴方たちの子供には、国から『特別手当』を出しますわ」


「お、おお! さすが王妃様!」


「ただし」


 セレスティアの眼鏡が光った。


「その分、貴方たち(父親全員)には、死ぬ気で働いていただきます。……これからは『第100階層』の未開拓エリアまで遠征し、希少資源を根こそぎ回収するのです」


「「「イエッ・マム!!」」」


 男たちの返事は揃っていた。 もはや、やらされる労働ではない。 守るべき小さな命のためなら、ドラゴンの巣だろうが神の領域だろうが、ツルハシ一本で切り開く覚悟ができていた。


「稼ぐぞ、野郎ども! オムツ代のために!」 「おう! ミルク代のために!」 「……学資保険のために」


 俺たちは固い握手を交わした。 王城の医務室は、未来への希望と、男たちの悲壮な決意に包まれていた。


 こうして、ダンジョン国は『スーパーベビーブーム』に向けた、狂気の『総力戦(金稼ぎ)』に突入することになった。


 そして、街では新たな噂が流れていた。 「王様のマヨネーズを食べると子宝に恵まれるらしい」 その噂により、マヨネーズの売上がさらに爆発し、結果的に育児費用の一部が賄われることになるのは、また別の話である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ