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02 ここはギルド

「え!?魔王は死んだんですか?」

 ギルドの受付は言った。

彼女の顔はまるで何年振りにシャバに現れたんだっとでも言いたげだった。


 その通りなんだけど。


「じゃあ、冒険者で一攫千金って出来ないんですか?」

「いえいえ、そんなことないです。皆さん儲けられるから、命をかけて仕事していますよ」


 じゃあ、一応儲けられる仕事なんだな。


「冒険者になります!!」


「良いですが、実践経験などはありますか?なければ、おすすめは出来ないのですが……」


 実践経験……

寝る前も何もしてなかったから、はっきり言ってそんなものはない。


「なければ、どうなりますか?冒険者になれないんですか?」


「おすすめ出来ないだけで、なれることはなれるんですけどね。危ないとしか言えないですよ」


 危ないのか……

でもな、もう借金だらけだし、そんなこと気にしている場合じゃないと思うんだよ。


 それにしてもこの人、私を強く引き止めるよな。


「大丈夫です!!」


「大丈夫って言いますけどね、初心者一人では危険なんですよ。見た感じ、若い方ですからね……命を無駄にするようなことはして欲しくないんですよ」


 若い方?そういうことか。

 私は妙に納得した。私、若く見られてたんだ。

それで引き留めてたんだ。


「大丈夫です。私、エルフなんで!!」


 受付の人は驚き顔だった。


 そんなにエルフに見えないんだろうか。

それは嬉しいな。でも、私の勝手なイメージの話もするけど、エルフって玄人の顔がしているよな。

 私って、そんな風に見えない、ショボい容姿に見えてたのかな。


「だったら、冒険者になれるってことで良い?」


「なれますけど……やっぱり、実践経験がないので、仲間でもいないと……キツイかと。師匠でもいて力に自信があるのなら良いですが」


 師匠なんていないし、私自身、か弱い乙女だから、どうなんだろう。

 私って強いのかな、なんて思うが人生の中で戦闘の強さ心当たりというものはない。


「仲間の募集もできますけど……」


「仲間!?欲しいです!!」


 私は受付台から身を乗り出して、身体の勢いのまま受付嬢の目の前まで行くとそう言った。


 受付嬢の顔は困惑しつつも、固い笑いをしている。流石、接客業をしているだけはある。どんな時でも笑みを忘れない。

 それは脳ではなく、身体に身についたプロ意識といものであるのだろう。

 どんな時でも笑み。それ何年も寝ていて人とのコミュニティから外れていたは私には難しいことだ。


 固いことを察知されているが、それも愛嬌だし、私も学ばないと。


「……分かりました。では、あなたのプロフィールを確認させていただいてよろしいですか?」


 プロフィール……って何だっけ?いや、私のことについてなことは分かるけど、だから、何を伝えれば良いのか分からないというか。

 とりあえず、年齢とか性別を言えば良いのかな?


 私が思考している間にも時は当たり前に動いているので、受付嬢はまた困惑の笑みを浮かべていた。

 今度は顔の固さは半減しているが、不安や迷惑的な負のオーラが見てとれる。


「えっと、年齢ははよんひゃく……」


 私の声は年齢という言葉から、その間約十分の一秒で、受付嬢の声で遮られた。

 

「あっ、すみません、役職とかを教えていただきたくて……」


「あっ、はい……すみません」


 私は咄嗟に謝っていた。

 これが、普通というか、私のようなコミュ症には一番生きやすい道なのであろう。それを私を何の躊躇いもなく出来る!!やる気の出た私には羞恥心やプライドという言葉はないのだ。

 いや、元からだったかも……


 何てそんなことはまた後、一人で考えられるとして、今考えるべきは役職だよね。

 ……役職?

役職って戦士とか魔法使いのことでしょ。私どっちでも無いよ。

 え?こういう時何て答えたら良いんだろう?

そのまま無いって言えば良いの?


 でも、それで『無ければ、無理ですね』何て言われたら、どうしよ!?

 そしたら、私の方が『無理ですよ』って言ってやりたい!!

 けれど、私にそんな勇気はない。そもそも()()()の話なのだから、そこまで考える必要ないよね……


 だとしても、その可能性がないという訳じゃないし、魔法使いだと言って、嘘をついたら、その可能性も本当に考えなくて良い……


 でも、私には無理だ……


 そんな勇気はない。


「役職は…!!ないです……」


「そうですか、なら何か出来ることはありますか?得意なこととか?」


 お、私の考えていた最悪なパターンは起きなかった。そもそも、この受付嬢さんだ。そんな酷い人じゃないよね。


 だったら、この質問も!!


「そういうのは無いです」


「あぁそうですか、……」


 受付嬢はさっきみたいな困った表情ではなかった。もうそんなの通り越して、呆れに近い。


 そして私は察した。

これは……嘘つくべきだった。

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