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光の同盟と忍び寄る影

リコの呼びかけに応じ、各地から、光の力を信じる者たちが、世界樹の元へと集い始める。それは、種族を超えた「光の同盟」の結成だった。人々が、来るべき決戦に備える中、闇の一族の、静かで、しかし、着実な、侵攻が始まっていた。彼らの放つ瘴気は、ジワジワと、世界を、蝕んでいく。

闇の一族による、全世界への、宣戦布告。それは、人々の心に、大きな、恐怖と、混乱を、もたらした。多くの者は、その、圧倒的な力の前に、ただ、ひれ伏し、絶望するしかなかった。

しかし。

その闇の中に、灯った、小さな、希望の光も、あった。

世界樹の巫女、リコの、存在。

そして、彼女と、共に、戦うことを決意した、水の都アクアリアの、存在。

リコとカイは、連名で、大陸中の、全ての、国、都市、そして、種族に向けて、一つの、メッセージを、発した。

「――闇を、恐れることはない。我々と、共に、立ち上がってほしい。光を、信じる、全ての、者たちよ。種族も、国も、関係ない。今こそ、我々は、一つになるべき時だ。最後の、希望の砦、嘆きの森、世界樹の元へ、集え――」

リコの、癒しの力と、カイの、水の力を、融合させた、そのメッセージは、ただの、言葉では、なかった。

それは、聞く者の、心の、奥底に、直接、語りかけ、勇気を、呼び覚ます、魔法の、言霊だった。

その、呼びかけに、応えるように。

奇跡が、起き始めた。

最初に、嘆きの森に、現れたのは、森の、精霊、ピクシーたちに、導かれた、エルフの、一族だった。彼らは、永い間、人間との、関わりを、絶っていたが、森が、蘇ったこと、そして、世界樹の巫女が、復活したことを知り、古の、誓いに、従い、駆けつけてくれたのだ。彼らの、弓の腕は、百発百中を、誇り、その、森での、知識は、何よりの、力となるだろう。

次に、現れたのは、北の、山脈からやってきた、ドワーフの、一族。頑固で、知られる、彼らだが、その、心の中には、誰よりも、熱い、正義の炎を、宿していた。闇の一族が、大地を、瘴気で、汚すことを、彼らは、決して、許せなかったのだ。彼らの、鍛え上げた、武具と、築城技術は、世界樹の、守りを、より、強固なものにするだろう。

そして、人間たちも、立ち上がった。

領主バルトークの、圧政から、解放された、セドゥスの村の人々。

リコに、命を、救われた、エリアーナ姫と、彼女に、忠誠を、誓う、騎士アレン。彼らは、バルトークの、軍を、説得し、光の、軍勢へと、参加させた。

さらに、リコの、噂を、聞きつけた、多くの、薬師や、癒し手たちも、続々と、集まってきた。

人間、エルフ、ドワーフ、水の民、そして、森の精霊たち。

かつては、互いに、いがみ合い、あるいは、無関心であった、者たちが、今、一つの、目的のために、世界樹の元へと、集結しつつあった。

それは、まさしく、種族を、超えた、「光の同盟」が、結成された、瞬間だった。

リコは、その光景を、蘇った、世界樹の、枝の上から、見つめていた。

「…すごい…。こんなに、たくさんの、人たちが…」

「リコ様。あなたが、灯した、希望の光が、皆の心を、照らしたのです」

アレンが、隣で、誇らしげに、言った。

集まった、者たちは、来るべき、決戦に、備え、準備を、進めた。

ドワーフたちは、エルダの、助言の元、世界樹の、周りに、強固な、砦を、築き始めた。

エルフたちは、森の中に、巧妙な、罠を、仕掛け、侵入者を、阻む。

水の民は、癒しの泉を、作り出し、負傷者を、受け入れる、後方支援体制を、整えた。

アレンは、各部族から、集まった、戦士たちを、まとめ上げ、連合軍の、指揮官として、その、卓越した、才能を、発揮し始めた。

そして、リコは。

彼女は、戦いの、中心には、いなかった。

彼女は、ただ、ひたすらに、祈り、そして、癒し続けた。

砦を、築く、ドワーフたちの、疲れを、癒し、

森を、守る、エルフたちの、心を、癒し、

故郷を、離れてきた、人々の、不安を、癒す。

彼女の、存在そのものが、この、光の同盟の、心を、一つに、繋ぐ、要だったのだ。

世界は、今、二つに、分かれようとしていた。

北には、破壊と、支配を、掲げる、闇の軍勢。

南には、調和と、共存を、願う、光の同盟。

しかし。

闇の一族は、ただ、一月後の、決戦の日を、待っているだけでは、なかった。

彼らの、本当の、恐ろしさは、その、静かなる、侵略に、あった。

宣戦布告の後、世界中の、あちこちで、奇妙な、現象が、起き始めていた。

原因不明の、疫病が、流行り、作物が、枯れ、家畜が、倒れる。

人々の、心に、疑心暗鬼が、生まれ、些細な、ことで、争いが、起きる。

それら、全てが、闇の一族が、放った、目に見えない、瘴気の、仕業だったのだ。

彼らは、直接的な、戦闘だけでなく、人々の、心と、社会そのものを、内側から、腐らせ、弱らせようと、していたのだ。

光の同盟が、物理的な、砦を、築いている間に、闇は、すでに、世界中に、その、根を、張り巡らせようとしていた。

リコの、癒しの力は、絶対的なものでは、ない。彼女が、直接、手を、触れられない、遠くの、場所で、人々は、静かに、闇に、蝕まれていく。

残された、時間は、少ない。

光は、この、静かなる、侵略に、打ち勝ち、決戦の、日まで、その、希望を、繋ぎとめることが、できるのだろうか。

世界の、運命を、左右する、最後の戦いが、刻一刻と、近づいていた。

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