17/17
ねぇ
知ってる?
なんだか心がすごく穏やかだ。
最近、目が回るほどに忙しかったが、それももはやどうでもよくなった。
俺の出した小説が最終選考まで残ったというのだ。
これまで評価されなかった俺の作品が、いま陽の目を浴びつつある。
俺は、ずっと皆には見る目がないのだと思っていた。
だが違ったのだ。
理解してもらうのに時間がかかるだけで、俺の作品は、人を感動させられるのだ。
感動させる、というのもおかしい気がするが。
何故なら俺が書いているのはホラーで、読者を怖がらせるのが仕事なのだから。
小さいころからの夢だった。
ホラー小説家になって、賞を取ることが。
いま、夢が現実になりつつある。
それがとても喜ばしい。
何かポストに投函されたようだ。
俺の部屋のポストは投函されたかどうかがわかりやすい。
カタン、と軽い音がするからだ。
何か頼んだ覚えはないが、大事な書類かもしれない。
見に行ってみるとしよう。
逆だよ




