しってる?
俺の作品にコメントが届いていた。
同時に、いつ入れられたのか手紙も届いている。
どうしてか、手紙のいつになっても変わらない姿に、奇妙な安心感を覚えていた。
こいつはきっとそんなに悪い怪異ではないのだろう。
というか怪異と呼んでいるが、まだ決まったわけではない。
もしかしたら俺にインスピレーションを与えてくれる創作の神様かもしれないし、純粋に俺のことを応援してくれている匿名希望の読者かもしれない。
とはいえ、応援の仕方がおかしすぎるが。
どちらから読んだものか迷ったが、コメントから読むことにした。
いいことが書いてあることを願っている。
コメントを読んだ。
気分が悪い。
きもちがw
吐いてしまった。
くそ。
コメントは、もうみたくない。
あいつらは正しくない。
正しくない。
わかってないんだ。
俺の作品を。
手紙を開いた。
『覚えていると死んでしまう言葉』
今回はムラサキカガミという都市伝説だ。
毎度毎度いろんな都市伝説を持ってくるものだな、ともはや感心してしまうが、今はどこかそれがありがたい。
考えが変えられる。
いや、考えじゃなく思考を切り替えるの方だ。
どうして俺が間違ってるみたいな言い方なんだ。
黙れ。
mムラサキカガミというのは、たしか、20までおbえていると死んでしまう言葉だったはずだ。
子供のころに、よく聞いた覚えがある。
よく考えてみれば、俺がホラーに興味を持ち始めたのもそのころではなかったか。
あの頃はまだ恐怖というものに敏感で、少しだけ変なものを見ただけで、妖怪だ、悪魔だと騒いでいた。
いつしかその感覚が癖になって、肝試しを好んでするようになった。
友達と一緒に、怖い話をしたり、都市伝説を検証したりした。
こっくりさんやトイレの花子さんにびくびくしていた毎日が、とても楽しかった。
たのしかった。
たのしかったんだ。
どうしておれはいま
なみだがとまらない
すこし休憩を
ふと、『覚えていると死んでしまう言葉』、これはムラサキカガミでない気がした。
覚えていると死んでしまう言葉、それはきっと、“叶えられなかった夢”なのだと思う。
何故、そう思ったのか自分でもわからない。
ただ、今の気持ちが、そう感じさせた。
昔の俺が、言った言葉が頭に響く。
黙れ。
だまれだまれだまれだまれだmだdまれdまrdmれだmrだmであれdまrっであ
俺は
まだ
そう。
まだ終わってない
まだ、作品を出す場所なら、ある。
きっと
認めてもらえる。




