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見習い勇者と落第魔王の大冒険  作者: 話太郎
出会いと旅立ち
9/69

兵長

 博士の自室を出た僕らに隊長が指示を出す。

「ケイン、兵長から話を聞け」

「博士と揉めていた、という兵長ですね、隊長は?」と問い返すケインに「もう少し研究員と話す」と返す。

 隊長からそう指示された僕らは新たな聴取をするべく行動する。


 お城の綺麗な廊下を3人で歩きながらケインの話しを聞く。


 ケインが「よし、それじゃ行くぞ。お前らには初めての聴取だな。忘れ物はないよな?」なんて言いながら進んでいく。

 僕らもそれに続く。

 歩きながら僕はケインに話しかける。

「えっと、兵長は博士と揉めてた事がある人だよね?」

「そうだ、これから兵舎に行って話を聞く。まずは俺が手本を見せてやるからお前らは見てろ」

 そんなケインに僕は「うん、勉強させてもらうね」と言いローナも「一応頼りにしてるわよ、ケイン調停官」なんて言って返したりした。

 いくつかの通路を曲がり、やっとお城の中にある兵舎にたどり着いた。

 ケインがドアをノックしながら言う。

「調停官だ。中に入ってもいいか?」


 すると中から一人の男が出てきた。

 足には武具を付けているが上半身は小手以外は袖の短い服を一枚着ているだけだった。

 ちなみにドアから少し部屋の中も見えたが、同じ格好をした兵士たちがたくさん居るのが見えた。

 出てきた兵士がケインに言う。

「えっと…王からの依頼を受けている方ですね」

 王様からの話は通っているようだった。ケインが頷いて答える。

「そうだ、調停官のケインに…こっちはまあ、ウチの一員だ。下っ端だけどな」

 僕らの事も紹介するが、見習いと言わないのは僕らへの配慮なのか、それとも見習いが同行するような緩い調査だと勘違いされないようにするためなのか…

 そんな事を思いもしたがとりあえず今は最初に言われたとおりケインのやる事を見てるだけにする。

「念のためこれが調査依頼書だ」そう言い書類を見せる。

 兵士は見て確認して「はっ!調査に協力いたします!」と姿勢を正した。

 そんなケインと兵士のやりとりが続く。

「こちらこそ協力感謝するよ。それにしても涼しそうな恰好だな?」

「足の方や小手は装着して準備しておりますが訓練中の伝達事項の確認や打ち合わせは身軽な恰好で、との配慮であります。鎧に兜、その他の物などは実技訓練直前に着けます」

「なるほど、合理的かつ負担を減らせる準備だ。国への奉仕、尊敬するよ。本当にな。で、さっそくなんだが、グスタフ兵長は居るか?少し話を聞きたいんだ」

「兵長ですね。ただいま呼んでまいります!」

 そう言って兵士さんは奥の方へ消えていった。


 ほどなくして一人の男がドア口に出てくる。資料に描かれていた筋肉質の男、グスタフ兵長だ。

「兵長のグスタフだ。一応話しは聞いている。答えられる事なら答えてやる」

 他の兵士たちと同様、足と小手の防具は着けてるけど上半身は布の服の軽いいで立ちだ。

 その大柄な体と筋肉が目立つ格好に加え、なんだか棘のある態度だと思わせる感じの人だった。

 そんな兵長にもケインは臆する事無く言葉を続ける。

「訓練中に悪いな、調停官のケインだ。少し部屋を出て話を聞きたいんだが、いいだろ?」

「…」兵長は憮然とした表情だったけど無言のまま部屋を出る。

 僕らは廊下の一角で兵長から話を聞くことになった。

「今、俺たちはジルキン博士の件で調査を行っている。博士の件は知っているよな?」

 すると兵長はかなりキツい表現の発言をした。

「ああ、あの老いぼれ…いや…年寄り研究者の事だな。全く、一体どこへ…」

 僕とローナはケインと一瞬だけ顔を合わす。

 明らかに博士に対して敵対意識を持つような発言が見て取れる。

 慎重に情報を聞き出さなければいけない。


 ケインは「なんだか尖った物言いだな。穏やかに行こうぜ?少し話しを聞きたいだけだ」と告げる。

「話など…あの博士がどこかに消えた、それを探している、ただそれだけだろ?」

「そうか?ちょっと聞いた話だが、お前博士と揉めていたそうじゃないか?」

 ケインの言葉に兵長の顔つきが更にいかつい物になる。そんな兵長にケインは続ける。

「口論してるとこを見てた奴がいるんだよ」

 ケインの問いに兵長が答える。

「ふん。大した事じゃない。あの爺さんが国防について口を出すような真似をしたから諫めただけだ」

「国防だと?」

「よく居るだろう?功績を上げると違う分野にまで口を出したがる輩が」

「具体的にどう口を出したんだ」

「研究予算などだ」

「国防には関係ないだろ」

「あっちの予算が増えれば当然どこかが減る。戦闘で役立つ道具などを開発できれば戦力になる、その分、軍の予算削減に繋がる」

「博士がそう言ったのか?」

「それは問題ではない。あの研究所の周りからはそんな主張が出てくるんだ。全く何も分かってない。研究者は研究者らしく部屋に閉じこもって実験だけしていればいいのだ」

「ふ~ん…居場所が分からない博士に対して随分な物言いだな?」

「一応探してはいる。任務だからな」

「…」

 そんなやりとりをするケインと兵長。そしてケインの質問が一区切り着くと兵長は言った。

「もういいか?俺も暇じゃない。もう質問が無ければ戻るぞ」

 そう言う兵長にケインが言う。

「まあ、今はこれでいいか…」

「ふん…なら話は終わりだ。私を疑うようなマネはやめてほしいものだ」

「別に疑ってる訳じゃない。みんなから話を聞いてるだけだ」

「どうだかな。大体揉めているのは私だけじゃない」

「どういう事だ?」

「そんな事も知らないのか。あの博士は副主任のレヤードとも揉めている」

 驚きの情報に僕らは一瞬動きを止めてしまった。


 兵舎を出た僕らは隊長と合流する。

 ケインが報告をする。

「博士は副主任とも揉めていたそうです」

「奴を呼べ」

 そう言いながらいくつかの資料を持ちながら言う隊長。

「何か見つけたんですか?」という問いをするケイン。

「少しだけな」

 隊長は短くそう返すだけだった。


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