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見習い勇者と落第魔王の大冒険  作者: 話太郎
第六章 勇者との会合
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捜索

 丘へと続く道。

 深い森の中を行軍する僕ら。メイトさん一行に、町の兵士さんたちも加わった。

 頼もしい事、この上ないけど、今はもう一人の行方不明者の捜索を頑張らなきゃいけない。

 はやる気持ちを抑えるように進む。

 すると、幾分視界が開けて陽が差し込むヒマワリの十字路へ出た。

 メイトさんが言う。

「ここを曲がると太陽の丘ですが、反対側がちょうど沢ですね」

 ボドリーが意見する。

「じゃが普通は立ち入らんのう」

 その言葉に僕は聞いてみる。

「何か危険なのかな」

「進んでしまうと、いつの間にか坂を下っているんじゃ。そして振り返ると、来た道の痕跡が分かりにくい光景が広がる。ほどなく、道跡が途絶えて、急な斜面になるんじゃ。迷い込んで降りると登ってこれなくなる」

「なんでペッテンさんはそんな所へ入って沢へ降りたんだろう」

 レミアは答えてくれる。

「喉でも乾いたか、あるいは迷ったか」

 隊長は言う。

「降りてみるぞ。はぐれて遭難しないようにしろ」

 メイトさんは兵士に声を掛ける。

「道具係のみなさんは道順を示すロープを掛けながら降りてください。ロープは引き返して登る時にも使用します。念のため、二本以上のロープを敷設しながら降りていって下さい」

 こうして僕らは沢へ降りてみる事になった。


 いくらか進むと獣道も薄くなり、進路が曖昧になる。同時に、斜面が急になってきた。

 みんなで「気を付けて」と声を掛け合いながら進む。

 時には四つん這いに近い体勢で。

 音がする。

 ザーザーと川の流れだ。

 それを聞きながら僕らはなんとか沢へ降りた。


 風光明媚とは行かないまでも綺麗な自然の岩場へと降りる。

 川の流れはやや急峻で、岩には水が打ち付ける。

 ケインが言う。

「立地さえ良ければ川遊びの名所にでもなりそうだが」

 僕は答える。

「両側が崖じゃ、ロープ無しじゃ降りたら戻れないね」

 メイトさんが声を掛ける。

「付近を捜索しましょう、川は流れが速いので中へは入らないように」

 勇者の合図で捜索が開始された。


 みんなで探す事一時間ぐらい。

 やや場所を移動して下流側へ移動した僕ら。

 兵士の声がする。

「おい! 大丈夫か!? みんな来てくれ!」

 にわかにざわつく現場。

 岩場の陰から見えたのは足。

 岩に背を預けるようにして一人の男性が見つかった。

 メイトさんは叫ぶ。

「レミア!」

「回復魔法ね!」

 レミアは魔力を集中して回復魔法を唱える。そして言う。

「かなり衰弱してるわね」

 ザレスが兵士たちに指示を出す。

「すぐに搬送の準備だ」

 こうして僕らは二人目の失踪者の発見に至ったのだった。

 僕は二人目が何とか生きていた事に救われた思いだった。


 ギルドで打ち合わせをする。

 ケインは言う。

「どうにも分からないんだよな」

 メイトさんはケインとやりとりする。

「と言うのは?」

「なんとか証言は取れたんだが、まだ意識が曖昧な点があってな、彼の言い分だと、沢に降りる予定なんか無かったそうだ」

「やはり迷ったんですか」

「そうなんだが、本人は正しい道を進んだつもりだったらしい」

「正しい道?」

「ああ、あのヒマワリの十字路あったろ? あそこを曲がった辺りから少しづつ深い藪の中へと進んでしまったらしい」

「迷いやすい所ですからね」

「けどな、うわ言のように言うんだ、向きは合ってた筈だ、ってな」

「向き、ですか」

「方向感覚の事かと思うんだが」

 そこまで聞いていた隊長は言う。

「もう一度あの分岐点へ行くぞ、メイト、道案内を頼む。ケイン、ザレス達とギルドで情報を集めろ。あの十字路の辺りで何か無かったかを重点的にな」

「何か考えがあるんですね」

「…」

 隊長は無言だ。

 でも僕らは指示通りに動く事にした。

 隊長とメイトさん、僕とローナで十字路へ。

 ケインはメイトさんの仲間とギルドで聞き込みを。

 それぞれの動きが今後の展開を変えていく事になるのだった。


 十字路へ着く僕ら。

「ペッテンさんもダンさんもここを間違って曲がったんだよね」

 メイトさんは答える。

「そうですね」

 ローナは付近を見ながら言う。

「相変わらずヒワマリは綺麗ね。まあ少し綺麗すぎだけど」

 その言葉に僕は「綺麗すぎ?」と聞き返す。

「見て、根元の方にも小さい草花が咲いてる」

「そうだね」

「ちょっと変でしょ?」

「変、なのかな」

「土の栄養がヒマワリに取られちゃいそうなのに、小さい花も元気に咲いてる」

 隊長は言う。

「他の場所よりも少しだけ草の背丈が高いな」

 メイトは周囲を確認しながら意見する。

「陽の当たる加減じゃないでしょうか」

 でも隊長は指示を出す。

「土を採取しておけ」

 僕とローナはヒマワリの根元の土を採取する。

「あら? これは?」

 ローナが摘まんだ物。

 それはキラキラ光る物。

 僕は聞いてみる。

「なんだろうね?」

「何かの破片か、ガラスや陶器のようにも見えるけど」

 隊長は見ながら告げる。

「すべてセリアが鑑定してくれる」

 こうして僕らはセリアの元へ戻るのだった。


 ケインたちも戻っていて報告を受ける。

「そっちはどうでした?」

「セリアに土を鑑定させてる」

「こっちは一応情報が。五日か六日ほど前ですね、十字路の辺りで魔物が出たそうです」

「戦闘になったのか」

「遭遇したのは冒険者のパーティー。魔物三体と遭遇、応戦したくないので逃走を選んだそうです」

「逃げ切れたのか」

「はい、ただ荷物の一部を落としたそうです」

「中身は?」

「持ち込んだ道具や採取したアイテムなどだそうです」

「…」

 隊長は何か考え付いたようで言う。

「やはりか」


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