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見習い勇者と落第魔王の大冒険  作者: 話太郎
第六章 勇者との会合
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太陽の丘

 街道を進む僕ら。

 メイトさんとセリアは軽く挨拶を交わした。

 メイトさんは言う。

「この道から山の方へ入ります」

 先に見えるのは小高い山。

 ケインは言う。

「山登りか」

「勾配はそこまできつくありません、大丈夫ですよ」

 ローナはケインに「良かったわね」なんて少し意地悪く言っていた。

 メイトさんは言う。

「気を付けなくてはいけないのは坂道ではありません。途中の森が迷いやすいので」

 隊長はやりとりする。

「話は聞いている。道が植物に覆われたりしているのか」

「いえ、少し方向感覚がおかしくなるというか」

「枝分かれする道が多いのか」

「特殊な地形と言うか、同じような景色が続くので感覚が乱される感じです」

「自然の迷路か」

「そうですね、僕の後を注意して着いてきてください」


 進む事しばし。

 森の中を進む僕ら。

 メイトさんは言う。

「このあたりが説明した丘の裾野に広がる森です」

 ケインは言う。

「なるほど、こりゃ迷いやすいかもな」

 辺りは鬱蒼とした森だ。

 ローナは事態の予想を口にする。

「行方不明者はやっぱりこの辺りで迷ってしまったのかしら」

 それにはケインが答える。

「地元の人間だからな、道は知ってそうだが」

 でも隊長は別の意見も言う。

「知識がある事で逆に油断したのかもしれん」

「ああ、そういう可能性もありますね」

 ケインのその言葉にメイトさんが付け加える。

「この辺りは精霊の加護も強いですが、魔物も少なからず出ます」

 僕は言う。

「行方不明者は襲われてしまったのかな」

「どうでしょう」

 ローナは質問してみる。

「それなら、何かの跡とかはないのかしら」

 ケインも意見する。

「出血してるなら、誰かがそのあとに気付いてる可能性もあるんだが」

 隊長はまとめる。

「とにかく行ってみないと分からん」

 そうまとめ、行軍を続ける。


 少しすると十字路へ出た。

 道を間違えないようにメイトさんは先導する。

 角を曲がり、進む。

 すると今度は丁字路に出た。

 ここもメイトさんは迷う事なく進む方角を決め、進路を選択する。

 進む先はやはり深い森。

 ケインは言う。

「なんて言うか、かなり複雑な森だな」

 僕も続ける。

「メイトさんが居なければ迷っちゃうよね、これ」

 メイトさんは言う。

「もう少しですので、みなさん気を付けて付いてきてください」

 指示に従い、僕らは眼前に広がる深い緑の中を進むのだった。


 何度目かの分かれ道のあと、今度は特徴的な十字路に出る。

 僕は言う。

「ここだけ少しだけ開けてて、陽もあたるね」

 ローナも少しはしゃいで言う。

「見て、ヒマワリよ」

 十字路は真ん中の空間が広く、十字路の中心が小さな自然の花壇のようになっていた。

 小さな草花と、数本のヒマワリが咲いている。

 僕は「宿屋にも咲いてたし、色んな所に咲いてるんだね」と言う。

 ローナは背伸びしたりしながらヒマワリの下に咲いてる花にも興味津々だ。

「違う花も咲いてるわね」

 メイトさんは言う。

「ヒワマリは町のシンボルでもありますからね。あと丘にも咲いてます。ここを曲がればもうすぐです」

 こうして僕らは森の中の迷路のような道を進むのだった。


 そして、少しして、目の前が開けた。

 ローナは感嘆の声を漏らす。

「うわぁ…」

 一面に広がるヒマワリ。

 そして高い空。

 僕の「綺麗だね」の言葉に「うん!」と返事し駆け出すローナ。

「見てみて! ヒマワリがたくさん!」

 ケインも「これは驚きだ」と漏らす。

 メイトは「あまり離れないでくださいね」と注意するので僕らははぐれないように進む。

 背の高いヒマワリは少しだけ視界を狭くした。

 セリアも感想を言う。

「なるほど、太陽光を一杯浴びて、草花も元気そうね」

 隊長も表情は変えないけど幾分穏やかそうに言う。

「太陽の丘か。よく表現してる名前だ」

 メイトさんは説明を続ける。

「小動物や虫たちの憩いの場所でもあります」

 セリアは「貴重な薬草が採れるって話も納得ね。時間があれば別の機会にじっくり散策したいわね」と、そんな事を言った。

 歩く事しばし、見晴らしのいい場所へ出る。

 僕は言う。

「山の稜線が綺麗だね」

 ローナが言う。

「あの山の向こうはどこかしら」

 ケインが答える。

「たしか海だ。それから別の大陸が広がっている」

 僕はそれを聞きながら言う。

「まだ見た事がない世界が広がってるんだね」

 その先の景色に想いを馳せる。

 だけど隊長が言う。

「見惚れている暇はない、調査をするぞ。メイト、アポロンの神殿は?」

「このすぐ近くです」

「ラルス、一緒に来い。ケイン、セリアとローナで付近の捜索をしろ。失踪者の痕跡がないか確認しろ」

「了解」

 こうして僕は隊長と勇者メイトさんと一緒にアポロンという神様の神殿へ向かった。


 なんていうのだろう、古代風の建物。

 大きな丸い柱に神殿造りの屋根。

 その奥へと進む。

「静かな所だね」

 メイトが言う。

「この様子だと…」

「何かあったのかな」

「いえ、逆です。何もないですね」

「どういう事かな」

 その言葉に隊長が言う。

「不在だな」

 勇者さんが答える。

「はい、アポロン様は居ないですね」

 僕は聞いてみる。

「勇者さん、アポロンって神様は出かけてるのかな?」

「メイトでいいですよ、先ほど話した通り、資格がないとお会いできないですね」

「メイトさんは会った事があるんだよね」

「私は太陽神の力を借り、また実力を認められその加護を受けるときにお会いしてます」

「功績や武勲がないと会えないって事かな」

「まあ、そうですね」

 隊長が言う。

「一通り確認するがすぐ戻るぞ」

 僕は聞いてみる。

「アポロン様は今回の件と関係あるのかな、居ないのもたまたまなのかな」

「分からん、もっと調査が必要だ」

 そう言って僕らは神殿の中を確認した後、ケインたちの元へ戻った。


 合流した隊長はケインに言う。

「何か出たか?」

「何も。平和な丘ですよ。そっちは?」

「同じだ。アポロン神も不在だ」

「収穫なしですね」

 そんな言葉にローナが言う。

「ホントに手掛かり無しなのよね。どこかが荒れてるとかもない。失踪者はホントにここへ来たのかしら」

 その言葉にメイトさんも頷く。

「目撃証言も少ないですからね」

 隊長は言う。

「一旦戻るぞ、町で何か進展があるかもしれん」


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