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見習い勇者と落第魔王の大冒険  作者: 話太郎
第六章 勇者との会合
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行方不明

 拠点にする宿屋を探して町中を行く。

 太陽の勇者、そのお膝元だけあって繁栄してる町だ。

 噴水には太陽の形をしたモチーフが見られたり、町全体に太陽の町、みたいな特色が出てる。

 商店や酒場も賑わっているようだ。

 そんな中、宿屋を見つける。

 宿屋の入り口の脇にはヒマワリが植えられ、数輪の綺麗な花が元気に咲いている。

 ちょうど宿泊客を出迎えるように、ヒマワリはその姿を元気よく見せていた。

 女将さんへ宿泊の申告をしてさっそく部屋へ。

 ケインがギルドで得た資料を広げて説明する。

「行方不明者は現在二名。五日前から不明のペッテン、男性四十五歳、冒険者。そして同じく五日前から不明のダン、男性三十歳。こちらは何でも屋みたいな職業です」

 隊長はケインに聞く。

「失踪時の状況は?」

「二人とも知人から捜索願が出たようです」

 言いながら資料を追加する。

「ペッテンの方は山の方へ入って行く姿を目撃されてます」

 僕は聞いてみる。

「何しに行ったんだろう」

「冒険者ならクエストか何かじゃないのか」

 隊長は言う。

「単独でか」

「土地勘はあるようです」

 今度はローナが聞いてみる。

「二人ともこの辺りの人なの?」

 ケインは否定する。

「ペッテンは他の土地でもクエストはやってそうだけどダンは地元の人間みたいだと聞いているな」

 ローナは「じゃあ二人に繋がりはないのよね」と述べる。

 でも隊長は否定する。

「それは調べてみないと分からない」

 僕らは資料を見ながら今後のことを考える。

 すると隊長は即断したようで言う。

「ケイン、ローナと一緒に失踪者の身元を洗え。ラルス、お前は私と一緒に来い。足取りを追うぞ」

 最後にセリアが聞く。

「私は?」

「留守番だ」

「了解。荷物の管理は任せて」

 こうして僕らはそれぞれの調査に入るのだった。


 私、ローナはケインと行方不明者の自宅へ。

 まずはペッテンさんの所へ。

 私は言う。

「って言っても、驚きよね」

「ああ。すぐそこ、どころじゃないよな」

「びっくりよ」

「まさか同じ宿とは」

 宿の通路を歩きながら私は言う。

「ペッテンって人は私たちみたいに宿を拠点にしてたのかしら」

「流しの冒険者みたいだからな。行く先々で宿を借りつつ、クエストを受けて生計を立てる形態だな」

「そんな冒険者も居るんだ、って私達もそうか」

「ここだな」

 ドアの前に立つ。そして開く。

 中はそこそこ整理されている。

 ケインに言う。

「女将さんに話を通してて良かったわね、すんなり部屋に入れる」

「まあ、すでに五日前だから兵士たちが捜査してるみたいだからな。荷物はそのままにしてあるらしいが、綺麗なもんだな」

「あんまり持ち物はないみたいね」

 部屋を見渡し、言う。するとケインが言う。

「必要なものは探索に持って行ったって事か」

 私はベッドの布団をめくったりケインは机の引き出しを開けたりしている。

 私は何も見つからず、クローゼットを開けた時だった。

 ケインが言う。

「これ見てみろ」

 言いながら紙を持ち上げた。

「なにかしら?」

「クエストの書類だ」

「ええっと…植物採取? なんか難しい単語が並んでるわね」

「そこはセリアに見せればいいだろ。気になるのはこれだ。ここの記述」

「太陽の丘? ここって…」

「ギルドで聞いた場所だな」

「ここへ行く途中に行方不明になったのかしら」

「可能性はあるな。よし、ここはこれでいい。二人目の失踪者のトコヘ行くぞ」

 こうして私とケインはヒントになるかもしれない手掛かりを手にしたのだった。


 続けて私はケインと二人目の失踪者、ダンの家へ。

 家の戸口で出迎えた女性は部屋へ通してくれた。

 彼女は言う。

「ダンはまだ見つからないんですか」

 ケインは真剣な表情で言う。

「全力で探してます」

「兵士たちはどうしてるんですか?」

「彼らも一生懸命仕事してますよ」

「あの人たちにも一応説明したんですが」

「同じことの質問なのは分かっています。でも詳しく確認を取りたいので、ご協力を」

 言いながらダンの部屋を見渡す。

 ペッテンの時と同じように机などを開きながら話をする。

 私は聞いてみる。

「あの、ダンさんとは」

「付き合って五年です」

 ケインは本棚などを調べながらやりとりする。

「当日はどんな感じでした?」

「何でも屋ですので、いつも通り仕事に行く、と」

「行先などは」

「聞いてません。大体町の近くで請け負いの仕事ですので」

 今度は私が。

「気を悪くしないで欲しいんですが、誰かに恨まれたりとかはないですか?」

「心当たりはないわよ。同業者に恨まれとかも」

 ケインは聞く。

「直近の仕事は?」

「猫探しだの、家の屋根の修理とかです」

「じゃあ冒険者同士の争いとかもないですね、この本棚、魔導書や専門書もありますが」

「本人は魔法とか使えないですよ。魔石の調達や希少動物の住処の調査などを依頼される事もあるので、探索や予備知識の為に本を収集してます」

「なるほど」

「あ、そういえば本を買ってました、太陽の丘の」

「太陽の丘の?」

「ええ」

「じゃあ、仕事もそこに関係があるかもしれないですね」

「近場の仕事だとは言ってました。道は入り組んでますが、そう遠くはないのでそこで何かしてたのかもしれません」

 そんな証言を得て、私たちの聴取と自宅の確認は終わった。


 ギルドで確認作業をする僕と隊長。

 奥へ通され資料を確認する。

 資料を持ってきた職員さんいわく、すぐに見つかったようだ。

 隊長は言う。

「見てみろ」

「クエストの請負の書類だね。ペッテンさんの名前だ。内容はアイテム収集」

「場所だ。太陽の丘と書かれてる」

「そこへ行く途中に迷ったのかな」

「こっちの書類を見てみろ」

「別の書類だね、クエストに対する注意喚起…太陽の丘付近の天候について、かな」

「五日前に失踪だが、該当する場所の天気が少し荒れたようだ」

「午前、午後ともに晴れ、ただし夕方から急な雨、ってあるね」

「…」

「悪天候で遭難したのかな」

「大雨とは書いてない。遭難するような急変には思えんが関係はあるかもしれん。一応覚えておくぞ」

 こうして僕らは行方不明者の受けたクエストとその日の状況などの情報を得たのだった。


 隊長と宿に戻ると、ほどなくケインとローナと合流できた。

 早速情報を確認する。

 いつものように机に集まり、僕と隊長、そしてそのあとにケインがお互いの情報を伝える。

 ケインはまとめるように言う。

「行方不明者は二人とも太陽の丘での仕事や作業をしていた可能性が高いですね」

 隊長は提案する。

「酒場へ行くぞ。目撃者と太陽の丘の情報を集めるんだ」


 町の中にある酒場。

 勇者ゆかりの地だからか、冒険者も多い。建物は木造だけど立派で活気に溢れている。

 ここも店内の中央には木でできた太陽の彫り物が置かれていたりする。

 周囲の席には町の人、冒険者、色々な人がそれぞれの話しに花を咲かせている。

 席を確保している間、ケインはカウンターに店員さんに話を聞きに行った。

 ほどなく、戻ってきて「ペッテンもダンも行方不明の前はここを利用する事もあったそうです」と告げる。

 僕は言う。

「ねえ、太陽の勇者さんもしばらく見てないんだよね」

 隊長は言う。

「姿が見えないとは言われているな」

「あのさ、勇者さんは行方不明者を探したりしてるのかな」

 ケインが答える。

「どうだかな、探すなら単独で行かずに救助隊に参加するんじゃないか」

「そうだよね、でさ、もしかしたらなんだけど」

「なんだよ」

「勇者さんも行方不明なんじゃないかな」

 …

 ケインは言う。

「いやあ、いくらなんでも」

「でも、最近見かけないんだよね」

 隊長は言う。

「行方不明は二人ではなく勇者を含めて三人だと?」

「分からないけど」

 ローナも少し心配そうに言う。

「だったら大変よね、いよいよ連続失踪事件よ」

 僕は言う。

「すぐに勇者さんを助けないと」

 そう言った時だった。

 後ろから声がする。

「別に助ける必要はないですよ」

 僕らは声の主の方を見る。

 そこには二十台だろうか、男性が立っていた。

 服装から冒険者らしいと分かる。

 ケインが聞く。

「アンタは? 助ける必要がない、って勇者の情報を知ってるのか」

 すると男性はこう答えた。

「僕が太陽の勇者、メイトです」


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