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見習い勇者と落第魔王の大冒険  作者: 話太郎
第五章 情報
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売人

 王城の近く、隣接されるように併設された兵舎で兵士長さんと話す。

 兵士長さんは答える。

「なるほどな、野盗の残党に隠し財産の件か」

 隊長が確認する。

「把握してたのか」

「そこまで厳密じゃないんだが、そもそも半分ぐらいは出回ってる情報だ。残党の討伐依頼をギルドに出したからな」

「兵士が行う作戦じゃないのか」

 隊長がそう聞くと兵士長さんは答える。

「ちょっと出払っててな、魔獣が出て兵士は出撃してるんだ。だからギルドへ協力依頼を出した。隠し財産うんぬんも、その手の資産は発見者に何割か渡す案も出てたからその辺りから話が広がったのかもな」

「その財産の在り処を情報屋が握ってるのか」

「噂じゃ沼地の洞窟だか、そんな名前の場所らしい。尾ひれが付いてる可能性もあるけどな」

 その言葉に今度はケインが尋ねながらやりとりする。

「でも隠し財産の場所まで出まわってるなら今更情報屋を襲撃する意味はなんだ? みんなに知れ渡ったあとなんだろ?」

「う~ん、情報を広めた制裁を残党がした、とかか? まあその辺りは調べてみないと分からん」

 残党の事についてはこんな所か、そんな風にまとまった所でケインが情報屋の容体について尋ねてやりとりする。

「情報屋の容体はどうだ?」

「それがな、意識は戻ったが、証言がな」

「どうした? 何かあったのか?」

「階段で転んだ、だとさ」

「んな訳あるかよ。回復魔法まで使ったんだぜ」

「だよな、何か隠してる。」

「やっぱり隠し財宝について何か別の情報でもあるんじゃ」

 セリアも言う。

「実は別の場所に隠してあって、一人で独占する気かしら~」

 兵士長さんは答える。

「まあ、問い詰めたくてもちょっとまだ容体がな、厳しい取り調べには耐えられん。まだ容疑者でも何でもないし下手すれば被害者だからな」

 そんな様子を見てローナは言う。

「でも安心よね、そんな容体なら出歩けないから何もできないでしょ」

「そうだな、情報屋の方はこのまま様子を見ていいだろう」

 ケインは話を聞いた限りで考えを巡らせ、兵士長と今後の事について話す。

「じゃ、調査の続きはどうするよ」

「実は、情報屋と接触のあった野盗の残党に目星がついてるんだ」

「ホントか?」

「ああ、場所も分かってる。治安の悪い地域に居る奴だ」

「手を貸すぜ、一緒に行こう」

「準備は出来てるようだな、案内するよ」

 こうして僕らは詰め所をあとにした。


 町中を歩き、お城からは遠ざかる。

 商店の街並みが消え、住宅街へ。

 それもいつしか風景が変わり、空き地などが出始めた後、また住宅街と倉庫みたいな物が入り混じる区画へ。

 やや薄暗い感じを受ける風景の中、歩く。

 人々は所々でしか見ないが、こちらを見るとなんだか値踏みするような目線を投げつけるか、すぐにどこかへ行ってしまう。

 そんな中、兵士長が足を止めて言う。

「おっと、下がってくれ」

 みんなで曲がり角の手前で陰へ引っ込む。

 その視線の先には二人ほどの男。

 見つからないように気を付けながら監視し、兵士長が言う。

「見えるか? 髪の毛が突っ張ったチンピラみたいなのが居るだろ」

 ケインが言う。

「痩せてる方だな」

 二人の男は言われた特徴の男とやや太った男の二人。兵士長さんが続ける。

「細い方が目星の男だ、見えるよな? パムスって言う」

「太い方は見逃していいんだな」

「ああ、それじゃ行くぞ」

 言いながら歩きだす。

 途中まで歩いた所で彼らはこちらに気付く。

 兵士長は少し大きい声を出した。

「パムス! こっちへ来い!」

 呼ばれた男はギョッとした顔をしたあと、逃げ出す。

 連れの男も走りだすけど、そっちはみんな無視した。

 スラムのような建物の合間を走りながら逃げるパムス。

 ケインは銃を抜いており叫ぶ。

「止まれ! 止まらねえと知らねえぞ!」

 だがパムスは構わない。

 角を曲がり、空き地を駆け抜け、逃げる。

 そんな時、セリアが魔法を放った。

「アースストーン!」

 ドドドド!

 掛け声と共に出てきた岩はパムスの前に降り注ぐ。

 たまらず足を止め呻くパムス。

「ぐわっ…な、なんだこれは」

 セリアの魔法の石や土は壁のように堆積し、パムスの行く手を阻む。

 みんなが追いつく。

 そして兵士長さんが言う。

「これ以上手を焼かせるな、観念しろ」

 こうしてパムスは詰め所へ連行された。


 取り調べ室で囲まれるパムス。

 彼は言う。

「俺が野盗の残党? 待ってくれよそんなんじゃねえよ!」

 突っ張った髪型の割にはなんだか情けない顔をしながらパムスは言う。

「俺はあいつらから薬を買って更にそれを他人に売りさばくチンケな商売してただけだ」

 兵士長さんは言う。

「立派な売人だな。あいつらの構成員なんだろ。情報屋が襲撃されてな。お前が接触してるのを目撃されてる」

「まさか俺が情報屋を襲ったってか? ちげえよ! それに俺は野盗とは関係が深くねえ。たまに出入りしてた程度の付き合いがあるぐらいだ。それに俺はあいつらとは縁を切ろうと思ってたんだ」

「どういう事だ」

「野盗は町の外で追い剥ぎみたいな事をやるから捕まらねえんだ。それを町の中で拠点構えて違法な物の販売だぞ。なんだよ町に居る野盗って。もう野盗じゃねえだろそれ。牢屋行きは時間の問題だと思ったのさ。だってそうだろ? 王様のお膝元でアジト構えて悪さなんてどうかしてるぜ。あいつらは「でっかくなってやる」、なんて息巻いてやがったが潮時さ。軍隊か冒険者に目を付けられるのは分かり切ってた」

「…」

 その風景を眺める僕ら。

 結局パムスは押し問答をするばかりだ。

 ケインは隊長に言う。

「吐きそうにありませんね」

「だが無関係だとも思えん」

「どうします?」

「取り調べは兵士に任せて、こっちは別の調査をするぞ」

 隊長が何かに気付いてるようで僕は聞いてみる。

「気になる事でもあるのかな」

「宿で会った商人に話を聞くぞ」

 以外な指示を出す隊長だったけど、僕らはその指示に従い、宿に戻るのだった。


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