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見習い勇者と落第魔王の大冒険  作者: 話太郎
第五章 情報
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情報屋

 町を散策する僕ら。

 出店を見たり、ショーウィンドウを眺めたり。

 アクセサリー屋みたいな所に寄ったりもした。

 それからまた町を歩く。

 僕は言う。

「ホントに大きな町だね」

 ケインが返事してくれる。

「散策しがいもあるな」

 ローナが言う。

「楽しいけど、結構色んな所を回ったわよね? でも勇者の情報はないわね」

 セリアは普段の笑顔のまま答える。

「ちょっと困ったわね~。これだけ大きな町だから少しぐらいは期待できるかと思ったんだけど~」

 なんだかちっとも困ってるようには見えないけど、一応情報が無い事を騎士似てくれてるみたいだった。

 僕は謝る。

「みんなごめんね、僕の為に」

 でもローナは元気づけてくれる。

「いいのよラルス。困ったときは頼っていいのよ。私も頑張るから勇者を見つけて早く立派に成長しましょ」

「そうだね」

 ケインも励ましてくれる。

「まあまだ諦めるな。まだ情報集めの大きな施設が残ってる」

「それって」

「酒場だ」

「あ、そうだね」

「人と情報の宝庫だ、行ってみるぞ」

「うん」

 こうして僕らは酒場を目指すのだった。


 酒場は町の一角、賑やかな場所にあった。

 大きな建物でギルドにも引けをとらない。

 そんな酒場に入り、席を取る。

 店内は町の人や冒険者で賑わっている。

 注文を取りに来たお姉さんにケインが聞く。

「注文の前にいいか? ここらで情報に詳しい奴とか知らないか」

「それでしたら情報屋さんが居ますね、今日はまだ見えてないですが、そのうち来ると思いますよ」

「やったな見習い」

「うん、その人が来たら聞いてみよう」

「それじゃ来るまでメシを堪能だ、お姉さん、お勧めはあるかい?」

 するとお姉さんは笑顔で答えてくれる。

「はい、サン・テーレ名物、太陽ハンバーグがあります」

「太陽ハンバーグ?」

「こだわりのひき肉の贅沢ハンバーグに太陽を表現した目玉焼きが乗っています。

 とてもジューシーですよ」

「分かった、それとライスを人数分頼むよ」

「かしこまりました」

 お姉さんは注文を厨房へ伝えに行く。

 少しして。

「お待たせしました」

 料理が運ばれてくる。

 ローナの「わあ」という感嘆。

 セリアの「良い匂いね~」と。

 お姉さんは「お熱いので注意して下さいね」と伝えて、また人数分を追加で持ってくる。

 ケインが言う。

「そんじゃいただくか」

 その号令でナイフとフォークを進めた。

 …

 ケインは笑顔で漏らす。

「こりゃ美味い!」

 僕も同意する。

「乗ってる目玉焼きが半熟だね。黄身を崩すとお肉と絡まって美味しいよ」

 ローナも「そうなの? どれどれ」と言いながら目玉焼きを崩し、お肉と一緒に口へ。

「う~ん!」

 感想も出ないほど笑顔になる。

 隊長はいつもの表情のままだけど言う。

「しっかりと火を通していながら、パサつきが無い。いい仕事だ」

 僕は思う。

 隊長が珍しく褒めた。

 この人がこういう事を口にするのはあまりない。

 それだけ、この料理が美味しかったのだ。


 ケインはフォークを置き言う。

「ふう、食った食った」

 僕も「美味しかったね」と相槌を打つ。

「腹も膨れたし、午後の聞き込みに取り掛かるか」

「そうだね、きっと手掛かりがあるよ」

 ローナも言う。

「酒場の中から聞き込みを始めましょ」

 セリアも「情報屋さんも探さないとね」などと。

 ケインが「情報屋もメシを食いに来てくれれば探す手間が省けるんだが」などと少し笑いながら言う。

 僕らがそんな話をしながら聞き込みを始めようとした時だった。


 酒場がにわかに騒がしくある。

 と言うのも、突然入ってきた男が叫ぶのだ。

「おい! ちょっといいか!?」

 周囲の人が注目する。彼は続ける。

「怪我人だ! 動けないから人手を貸してくれ」

 ドヤドヤとしだす。

 それから数人が外へ出ていく。

 僕は言う。

「大丈夫かな?」 

 隊長が答える。

「様子を見に行くぞ」

 酒場の外へ行くと、裏手に少しの人だかりが。

 そこに行く。

 セリアが少し大きめの声で言う。

「回復魔法使えるわ、通してもらえる?」

 中へ分け入ると、男性が倒れていた。怪我をしてる。

 セリアはすぐにヒールの魔法を使う。

 だけど言う。

「間に合わせよ。中へ運んで横にしてあげて」

 指示に従い、みんなで酒場へ、適当な椅子を集めて簡易寝台にして治癒の続きをする。

 最初に駆け付けた男性が言う。

「あんたらの知り合いか?」

 ケインが答える。

「いいや」

「だろうな、よその人だよな、身なりで分かるぜ」

「ああ、情報屋を探してここへ来たんだが、こんな事件に巻き込まれるとはな」

 すると男性はやや驚いたように言う。

「情報屋? 倒れてるコイツが情報屋だぜ」

 僕らはその男性と被害者らしき人を見て、なんだか言葉を失ってしまった。


 被害者を介抱して、自宅へ送り届ける手配を執っていると、兵士が入ってきた。

 その兵士さんが言う。

「怪我人が出たそうだな…って、アンタらか、対処してくれたのは」

 その人は野盗の件で僕たちが呼んだ兵長さんたちだった。

 彼は言う。

「あとはいいぞ。引継ぐよ、医者へ送って帰宅の手配もしよう」

 兵士さんにはケインが対応する。

「事情聴取も頼むぜ、何があったか知りたいんだ」

「ああ、分かった」

「ここで時間潰してるぞ」


 見送った後、隊長が指示を出す。

「ケイン、ラルスとローナで聞き込みをしろ、私とセリアは目撃者を探す」

「了解です」

 こうして僕らは酒場で聞き込みをする事に。

 最初にここへ「怪我人だ!」と駆け込んだ人と話す。

 ケインが聞いてみる。

「情報屋とは知り合いか?」

「いや、情報を買ったりする程度だな、深い仲じゃない」

「まあ、それも当然か、仲の良さそうな奴は知ってるか?」

「ここのマスターなら付き合いも長いんじゃないか? 情報屋はここを拠点にしてるしな」

「分かった、サンキュ」

 僕らはマスターの所へ。

「すまん、ちょっといいか?」

「ああ、アンタたち兵士の知り合いか? なんかやりとりしてたな」

「調査を手伝える身分だ、情報屋の事について聞きたい」

 お髭を生やしたマスターは少し考えてから答える。

「まあ、そういう事なら」

「あいつが怪我をした原因は分かるか?」

「さあ、事件か何かなのか?」

「まだ分からん。でも勝手に怪我したようには見えないからな」

「襲われたなら、情報屋として何か知ってたとかじゃないか?」

「何かって?」

 そう尋ねるケインにマスターは答える。

「言っていいのか、情報屋の持つ情報を俺が喋るのも…」

「そう言わず頼むよ」

「まあ、兵士のお仲間さんみたいだからいいか、あいつは野盗についての情報を持ってたんだ」

 僕は言う。

「野盗についてならそれは解決済みだよ」

「いや、追加の情報だ、野盗には残党が居て、あと隠し財産もあったと」

 ローナが驚いて聞く。

「そんな話があるの!?」

「あくまで噂だ、その情報を知ってたのが情報屋って話だ。だから野盗の残党が口封じの為に情報屋を襲撃したか、あるいは」

 ケインが言う。

「情報目当ての冒険者とかが口を割らせようとしたか」

 マスターは釘を刺す。

「裏取りの無い話だからな、確証なんて無い」

「分かったよ、ありがとう」

 マスターに礼を言い、僕らは酒場を出た。

 聞き込みをしてた隊長とセリアと合流する。

 ケインが報告する。

 すると隊長は答える。

「こっちでも話は聞けた。野盗の残党らしき人物の場所もな」

「どこです?」

「ここから北の方だ。治安の悪い地区だな」

「じゃあ、乗り込みますか」

 やる気モードのケインだったけど、隊長は言う。

「その前に兵舎に行くぞ」

「応援を呼ぶんですか?」

「今回は連携を取る。情報屋の容体も気になるから確認しておく」

 そう指示を出す。

 僕らは兵士長さんらが詰める兵舎へと向かうのだった。


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