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見習い勇者と落第魔王の大冒険  作者: 話太郎
第五章 情報
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宿屋

 王都の中心部にある宿に部屋をとる。

 少し高そうな宿を選び、ドキドキしてしまう。

 僕なんがが普段使う冒険者用の宿ではなく、貴族や商人が使う宿だ。

 馬車を着けるエントランス、そして大きな入り口、綺麗な受付。

 それらを抜け、部屋へ。

 僕は言う。

「ええと、大きな部屋と小さな部屋だよね」

 ケインが答える。

「四人部屋と二人部屋だ」

 ローナも続ける。

「じゃあ女性と男性ね。ヴァリーとセリアと私で大きな部屋!」

 ケインも頷く。

「まあそうなるな」

 隊長が指示を出す。

「荷物を置いたら部屋へ来い」

 ケインは答える。

「はい。打ち合わせですか」

「そうだ」

「了解」

 こうして僕らは荷物を置く。

 室内は二人部屋なのに普通の宿屋の四人部屋のような広さだ。

 ベッドの他に窓際には一人用のソファが二脚と机がある。

「すごいね」

 そう言うとケインが答える。

「費用が相手持ちだからな。こんなトコ滅多に泊まれないから堪能しておけよ」

「うん」

 荷物をソファに置き、少しだけ窓の外を見る。

 喧騒に包まれた街並み。

 それを眺めながら、考える。

 この町のどこかに。この国のどこかに。

 僕が目指す勇者がどこかに居る。

 会えるだろうか?

 話が出来るだろうか?

 分からないけど、賑やかな街並みを見ながら、今後の期待に胸を膨らませたのだった。


 隊長の部屋で話をする。

「何か話があるのかな」

「一応町へ出るぞ」

 ローナは「やったわ!」と喜ぶけどケインが釘を刺す。

「喜んでるが多分遊びじゃないぞ」

「え?」って顔をするローナだけど隊長が続ける。

「情報収集だ」

 僕は聞いてみる。

「王様に頼んであるけど、僕らも調べるのかな」

「貴族の領地や近隣諸国の話なども把握しておくに越した事はない」

「そうだね、人任せだけじゃ駄目だね」

 ローナは「う、やっぱりお仕事もしないと駄目ね」と落ち込むけどセリアが言う。

「聞き込みで名物とかも聞けるかもしれないわよ」

 そう言われローナも笑顔に戻る。

「そうよね! 美味しいデザートのお店とかも聞けるかもしれないわよね!」

 ケインはやれやれといった感じで返す。

「まあ名産品探しも悪くはないか」

 僕は言う。

「そうだね、じゃあさっそく町へ行こうか」

 ははは、とみんなで笑う。

 ローナが掛け声を掛ける。

「それじゃ、レッツゴー!」

 僕らは意気揚々と宿の部屋を出るのだった。


 宿屋の受付でギルドの場所を聞く。

「すみません、ギルドへ行きたいんですけど」

「大通りを行った先ですが、少し道順が複雑ですね、今地図をお出しします」

 そう言われるけど、僕らに横から声を掛ける人が居た。

「ギルドですか? ここからだと少しありますが、案内しましょうか?」

 その人は一人の商人だった。

 僕は戸惑う。

 するとそのままその人は言う。

「ああ、気にしないでください、私はセルジ。商人をしてます」

 ケインが受け答えする。

「商人か、アンタらもこの宿に?」

「ちょうど商売がありまして。どうです? 一緒に行きますか?」

 ケインは隊長に目配せするが隊長は静かに頷くだけだ。

 それを見てケインが言う。

「じゃあお言葉に甘えて」

 そんなやりとりをして僕らは宿を出た。


 歩きながら商人の人は言う。

「サン・テーレは初めて? 私は何回か来たことありますが」

 セリアの「大きな町ですよね」の言葉に「だからギルドも大きいですよ」との答え。

 ローナも「それなら情報もたくさん集まるわよね」と言う。

 その言葉に商人さんは「この町は人もたくさん集まるから賑やかですし、あんな大きな宿もあるし、私が泊まる事にもなったんですけどね」と言った。

 僕は聞く。

「いつもあの宿に泊まるんですか?」

 するとセルジ商人は答える。

「いいや、いつもは安い宿に泊まっています。でも今回は町に色んな冒険者が来ててね。安い宿は満室でね、だから普段は泊まれないあんな高い宿に入ったんだ。」

 ケインは言う。

「宿は高い方がいいぞ、疲れが取れる」

「ごもっともですな。いつもの宿が満室だった時は野宿も覚悟しましたが、情報に詳しい者がこの町の事を教えてくれましてね。おかげであの高い宿を知ることができました。まあ、たくさん稼ぎが出そうなので、今回は奮発してもいいでしょう」

 そんな言葉にケインが言う。

「情報に詳しい人物、そんなのが居るのか」

「町の情報屋さんですな、この王都で色々な情報を集めているんです」

「そんな奴が居るのか、そいつはいい。ちょうど人探しをしようとしてたんだ」

「たまたま商品を搬入した道具屋に居ましてな。普段は違う所に居るらしいのですが。尋ねてみるのがいいですよ、多分ギルドか酒場あたりが彼の居場所じゃないかと思いますよ」

「助かるぜ」

「ははは、お役立てて嬉しいですよ」

 みんなで笑いながらギルドを目指した。


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