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カエルロッド王子とカエルローズ王女

 森林を進む僕ら。

 ケインはいつも通りボヤきながら歩く。

「こう深い森だと歩くのも一苦労だな」

 そしていつものようにローナが返す。

「体力付けないと駄目よ? 運動しないと不健康になっちゃうんだから」

「さいですか」

「そうよ」

「元気で何よりだ。でもお前、大丈夫なのか」

「なにがよ?」

「カエルだぞ」

「亜人でしょ。別に平気よ」

 そんな言葉に隊長が言う。

「カエル王国だ。亜人以外の純粋なカエルも居るだろう」

「…」

 ローナは黙ってしまった。それを見てケインはここぞとばかりに畳みかける。

「おや? 様子が変わったようだが…」

「べ、別に怖くないわよ? カエルとか可愛いもんじゃない」

 僕も応援する。

「そうだよね、アマガエルとか可愛いよね。あの小さい姿と綺麗な黄緑の色が鮮やかで」

「そうよ。ラルスはよく分かってるわね。ありがと。ああいうカエルなら可愛いわ」

 でもケインは続ける。

「ウシガエルとかもいいもんだぞ。ゲコゲコと鳴く声もデカイ」

「…」

「王国では囲まれるかもな。ウシガエルさんの歓迎の合唱に」

「ちょっとケイン!」

「そんでもってカエルのハグだ。ようこそ~ってな」

「もう嫌! ケインの馬鹿!」

「やっぱり怖いんだろ」

「ふんっ!」

 いつものようなやりとりをしながら進む僕ら。

 やがて森の中にある大きなお城が見えてきた。

 ローナはそれを見て安心する。

 門番のカエルは亜人で顔こそややカエルみたいだけど人型で手に水掻きがあるぐらいで人間と同じように見えたからだ。

 その門番が言う。

「なに奴だ!? ここへ何しに来た?」

 その言葉に隊長が答える。手には紋章と大使の手紙。

「大使の使いで来た。城の主に会いたい」

 紋章は見て、手紙を受け取り確認する門番。

「ちっ…天の使いだと……厄介な…しかし大使の手紙は本物のようだな…しばし待て」

 そのやりとりから少しして…

「通れ!」

 そう言われて城内へ案内された。


 お城の中は水場などが備えられており大小の様々なカエルたちがたむろしている。

 無機質な様子よりはいいけど、所により緑や土などまで入れてあるのはカエル族独特な内装だと思わせる所だった。

 そんな中を進み玉座の間へ。

 そこには亜人タイプのカエルたちが集まり、玉座が二つあった。

 兵士の「お連れしました」の声に僕たちは整列する。

 玉座に居るその人は端正な顔立ち、人間と変わらない出で立ちに、手にある水掻きぐらいしか見分けがつかず、年齢は若く見えた。その人が言う。

「どうも、ここの主、カエルロッドです」

 そしてその横の二つ目の玉座に居る綺麗なドレスを身に纏った女性。

 その女性が言う。

「見慣れない顔ね。姉のカエルローズよ」

 そんな挨拶をされ隊長も挨拶を返しながら王子とやりとりする。

「フォルトナー大使からの依頼を受けてきた。話がしたい」

「報告は受けてます」

「スネーク連合と揉めているな。大使に仲裁してもらっていると」

「ええ、手紙は確認しました。大使は無事なんですか?」

「ああ。だが油断は出来ない状況だ」

「命が助かっただけでも良かったです」

「大使としての仕事は今は期待できない」

 そんな言葉に今度が王女がやりとりする。

「何て事…この大事な時期に…」

「提案がしたい。仲裁と調査だ」

「仲裁? それに調査?」

「まだ確認してる最中だが大使の状況が悪い。聞けばスネーク連合とは衝突の危機だと。力を貸す。無益な戦いは避けれるよう協力をしたい」

 隊長のその言葉に、だがしかし王女は憤慨する。

「無益ですって?」

 わなわなと震えながら続ける。

「余所者に何が分かるのよ。私達はひどい事をされてきた。これは正当な自己防衛よ。それを必要のない戦いみたいに…」

「姉さん…」

 カエルロッド王子は王女を宥めるけど収まらないようだ。

「首を突っ込んで和平の使者面かしら…大体子供連れじゃないの…天の使いと仲間なんて言ったってそんなパーティーを信用しろと?」

 でも隊長も反論する。

「言い分は分かるがこのまま戦いを始めても双方に死人が出るだけだぞ」

「そんな事になったのもあいつらのせいよ。どうせ大使の件もあいつらのせいだわ。毒でも盛ったのよ。そうに違いないわ」

 その言葉に王子が返す。

「姉さん、まだ分かってもいない事だから」

「貴方は少し優柔不断よ」

「え?」

「いつもそうじゃない。そんなんじゃあいつらにいいようにやりこめられるだけだわ。この前だって…」

「もうやめてくれよ、あの件は…」

 意見が対立し始めた二人を隊長が諫める。

「兄弟喧嘩もいいが今は後にしてくれるか? 相手との話し合いの他に大使の件についても調査する。単なる病気の可能性もある。それなら大使が回復すれば停戦交渉も再び始まる筈だ」

「…」

 黙ってしまう姉のカエルローズに対してカエルロッド王子は言う。

「分かりました。ぜひご助力を賜りたいと思います」

 その言葉にケインは言う。

「じゃあさっそくなんだが状況確認だ。大使はどの程度関わってるんだ?」

「すでにこちらとスネーク連合双方に顔を出して意見を取り持ってもらっています」

 ケインは続ける。

「資料が欲しい」

「どういった物でしょう?」

 隊長は言う。

「大使の今までの日程表、そしてこれからの予定表もだ。それにこの国の状況もだ。出来る限り詳しく載っている資料が欲しい」

「用意させます」

「すぐに調査を始める」

 ケインも言う。

「じゃ、いっちょ始めるか」

 こうして僕らは大使の体調不良の原因調査と魔族同士の仲裁の一時的な代理をする事になる。


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