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ちっちゃい妖精さんになりました! 暇なので近くにいた少年についていきます  作者: SHIRA
第2章 グルメな妖精と絶景のブルーメ
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46.プロポーズ(予告)

カカとプラティとマリちゃんが宴の準備をしに一階に向かった。、

わたし、ディル、ジェシー、デンガ、ヨーム、それに加えて、ベッドの下に隠れているお魚さんが部屋に残った。ジェシーも手伝いを申し出たけど、「主役が何を言ってるんだい」とカカに呆れ気味に言われて、心配そうにマリちゃんを見送りながら部屋に残っている。


わたしがカカに厨房を使わせてほしいとお願いしたら、宴の後の片付けが終わったら自由に使って構わないと了承してくれた。何をするのか聞かれたけど、魚のことはまだ言わないでおいた。


 食べさせてから「実はお魚でした!」と驚かせたいんだよね。


「そういえば、ジェシー達は何処に行ってたの?」


 デンガに島を案内して貰ってたハズだけど・・・


「ブルーメの外周を一周してたんだ。おかげでかなり遅くなっちまったが」

「途中で山が水を噴き出した時は本当に驚いたわ。デンガったら何も教えてくれないんだから、マリちゃんもニコニコしてるだけで何も言ってくれないし」

「あー、あの時のかぁ・・・」


デンガが「そっちは何してたんだ?」と言い、ディルが水の山であったことを説明した。お魚の事も含めて・・・。


 内緒にして驚かそうと思ったのに!


「うおっ!メバチじゃねぇか!こんなベッドの下に隠してたのかよ!」

「お魚ねぇ・・・本当に食べられるのかしら?」


デンガがギョッと目を見開いてメバチを見て、ジェシーが心配そうにわたしとメバチを交互に見る。


「きっと美味しいから!期待しててね!」

「あんまり期待しないで待っているわ」


 もう!絶対に「美味しい!お魚最高!」って言わせてやるんだから!


「それにしても、デンガさんとジェシーさんはまだ結婚していなかったんですね」


ヨームが意外そうに言う。


「色々あったからな」


 色々~!?


「色々ってなにさ!3年もグズグズして!」

「うっ・・・」

「プロポーズもしないで!」

「ぐっ・・・」

「結婚式の予定もないし!」

「ぐあっ・・・」

「しっかりしなよ!ジェシーの事好きなんでしょう!?」

「・・・好きだ」

「だったらしなきゃいけない事あるよね!?」

「ああ!」


恋愛経験が皆無なわたしだけど、勢いだけで説教をしたら思いのほかデンガには効いたみたいだった。デンガはフッと真面目な顔を作り、ジェシーに向き合う。


「ジェシー」

「は、はい!」


ジェシーが少し頬を染めながら背筋を伸ばして返事した。


「このブルーメに居る間に一生ジェシーの心に残るようなプロポーズをするから、待っていてくれ」

「っ! ・・・ふふっ、分かったわ。期待しているわね」


ジェシーが一瞬目を丸くして驚いたあと、優しい笑みを浮かべて了承した。


 なんだー。ここでプロポーズするのかと思ってわたしまでドキドキしてたのに、まさかのプロポーズ予告だったよ。


「プロポーズってどうやるんだ?」


そんな素朴な疑問がディルの口から飛び出した。わたしもこの世界のプロポーズがどんなものなのか気になったので、デンガとジェシーを見て答えを待つ。


「確か、貴族が行う婚約の儀式を真似たものでしたよね」


答えたのはヨームだった。デンガとジェシーは居心地が悪くなったのか、「マリちゃんの様子を見てくるわね」と言って恥ずかしそうに部屋から出て行ってしまった。


「色々と細かい事もあるのですが、簡単に言うと、お互いが持っている家紋付きのアクセサリーを交換して結婚の時に返し合うのが貴族の婚約で、男性が女性に贈り物をして、女性が身に付けているアクセサリーを男性に渡し、結婚式で男性が渡されたアクセサリーを女性に付けてあげるのが平民のプロポーズですね」


 そういえば、ディルが話していた勇者様の物語でも最後に勇者がお姫様にお花を贈って婚約して終わりだったよね。・・・あれ?お姫様は何を渡したんだろう? 片方が貴族じゃないとまた違った方法があるのかな?


「女性からプロポーズする時はどうするの?」

「基本的には男性からだけですね、ただ女性側からもアプローチはするそうですよ」

「えー!どうやって!どうやって!」


わたしは身を乗り出してヨームに先を促す。


「男性と2人で出掛ける際に目立ったアクセサリーを身に付ける、とかですね」


 へぇ~・・・この世界ではこの世界なりの男女の駆け引きがあるんだね。


「それにしても意外だな、ヨームがそんなこと知ってるの」

「あなた方が知らないだけですよ」


暫く部屋で雑談をしていると、デンガとジェシーがマリちゃんを連れて戻って来た。もう既に食堂にお客さんが集まっていて、準備はできているらしい。ヨームが「僕は部屋で安静にしてます」と言ったので、ヨーム以外の皆で1階の食堂に向かった。


食堂に居るお客さんは殆どが昨日も来ていた人達だ。わたし達に気付いたカカが「こっちにおいで」と手招きをしている。皆がカカに注目し始めると、カカが大きな声で音頭を取った。


「皆!急なことだけど、昨日うちのバカ息子が美人なお嫁さんを連れて帰って来た!今日は息子の結婚祝いだ!」


カカがそう言うと、皆が拍手した、所々から「先越しやがって!」とか「嫁さんを大事にな!」とかのお祝いの言葉?みたいなのが聞こえてくる。昼間にカカとプラティでご近所さんにデンガの結婚祝いをする事を伝えに行っていたらしい。デンガがとても誇らしそうな顔をしていて、そのデンガをジェシーが微笑みながらじっと見つめている。


 微笑ましいね!


「デンガ!久しぶりだな!こっちで色々と聞かせてくれよ!」

「ジェシーさん!こっちでお話ししましょ!」

「娘さんも!お母さんと一緒においで!」


デンガが昔馴染みの元へ行き、ジェシーとマリちゃんが女性陣が集まっているテーブルへ向かった。わたしはディルと一緒にお喋りしながら食事をしようと思ったけど、マリちゃんに優しく捕縛されてしまった。ディルはいつの間にか食堂から居なくなっていた。


「へぇ~!あのデンガが魔物から女性を守って気遣いながらここまで・・・」

「意外・・・ですか?」


ジェシーは驚いているみたいだけど、わたしもそれは意外に思った。特に「気遣いながら」の部分に。


「昔だったら考えられないわね~」

「昔のお父さん?」


マリちゃんが「教えて」と目で訴える。


「気になる?」

「うん!昔のお父さん気になる!」

「お父さんには内緒にしてね」


デンガを昔から知っているらしい近所のお婆ちゃんがテーブルに置いてある大きなお肉を豪快に食べながらそう言って、昔のデンガについて教えてくれる。わたしはマリちゃんの頭の上で寛ぎながら会話に耳を傾ける。


「あれはデンガがまだ7歳くらいの頃だったかしら? デンガとプラティちゃんが妖精に会いに行くんだ!って言って水の山に兄妹で登りに行ったんだけど、帰って来たのはプラティちゃんだけだったのよ」

「えー?どうして?」

「先に1人で帰ってろ、俺は魔物を倒すからってプラティちゃんに言ったらしいわ。それで、プラティちゃんは暗い山を長時間1人で下って帰って来たのよ」

「プラティお姉ちゃん可哀想!」


 本当!とんでもないお兄ちゃんだ!


「ふふっ、そうね。でもデンガも悪気があった訳じゃないのよ? 魔物から妹を守るためにそうしたんだもの。ただ、少し考えが足りないのよね~」

「確かにそうですね。私の知ってるデンガも、不器用だけど優しい素敵な男性です」

「あらあら、惚気かい? 末永くお幸せにね」


宴もたけなわなところだけど、そろそろマリちゃんの体力が限界を迎えてきている。マリちゃんがこっくりこっくりと船を漕ぎ始めた。おかげで頭の上にいるわたしは、本当に船の上にいるかのように揺れている。


「マリちゃん眠そうね。まだ少し早いけど、部屋に戻って寝ましょうか」

「うん・・・」


ジェシーがマリちゃんと手をつないで二階に向かっていった。わたしもマリちゃんと一緒に寝ようかなと思ったけど、宴が終わったあとにお魚をディルに捌いてもらう予定があるので、とりあえず食堂でディルを探すことにした。


「ねぇ、デンガ。ディル見てない?」

「ディルなら、ヨームに食事を運ぶっつって二階に行ったぞ」


わたしは二階の男性側の部屋をノックして扉を開けて貰う、もぐもぐとお肉を咀嚼中のヨームしか居なかった。


「あれ?ディル来なかった?」

「ディルさんなら魚を持って厨房に向かいましたよ」


わたしは再び一階に降りて厨房に入る。カカとプラティとディルがお魚を目の前に腕を組んでいた。


「あ、ディル!やっと見つけた!」

「お、ソニア。ちょうど呼びに行こうと思ってたんだ」


ディルがわたしに向かって手招きしながら言う。


「どうしたの?」

「こんなでっかい魚なんだし、ここに集まってる皆に食べて貰えないかと思ってカカとプラティに相談したら、今厨房を使ってもいいって言ってくれたんだ」

「へぇー!そうなんだ~・・・ってお魚のこと言っちゃったの!?秘密にしてサプライズしようと思ったのに!」


 どんどん皆にバラしていくじゃん!


「いやいやいや、こんなでっかい魚を隠しながら運ぶなんて無理だし、それに、ソニアも色んな人に食べて貰いたいだろ?」

「うーん・・・確かに」


 でも・・・やっぱりサプライズもしたかった。いや、まだだよ!また魚を捕まえてきて、マリちゃんにはサプライズをしよう!

読んでくださりありがとうございます。結婚が決まってからのプロポーズ・・・の予告です。

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