285.カレーうどんを求めて、恋を予感する
「結局、正攻法ではお城に入れなかったですね」
リナムが少し残念そうな顔を作りながらそんなことを言う。
小一時間駄々をこね続けたけど、結局ダメだったもんね。真面目過ぎる門番だよ。
お城で門前払いされたわたし達は、現在、目的もなくテクテクとオードム王国の城下町を歩いていた。
そういえば、ジニアが「ソニアちゃんを門前払いにした門番をクルミアレルギーにしてやったわ!」って言ってたけど、正直そんなことはどうでもいいんだよ。今大事なのは、わたしが皆のお姉ちゃんとして、皆が食べたがってるカレーうどんを食べさせてあげること。それも、アケビが大切にしてるっぽいこの国に被害を出さずに、そして妖精だとバレずに・・・。
「それにしても、わたし達は完全に人間に擬態してるハズなのに、どうしてただ歩いてるだけでこんなに注目を浴びるんだろうね?」
道行く人達が漏れなくわたし達をジロジロと見てくる。
嫌な視線ではないんだけど、見られる原因が分からないのが嫌だ。
そう思って考え込んでいたら、ポンポンとケイトに肩を叩かれた。
「この国の人間は私みたいに褐色肌だからだよ。皆みたいに綺麗な白い肌は珍しいんだよ」
褐色肌のアケビが茶髪のアホ毛を揺らしながら自分を指差してニコリと言う。
「それだけじゃないわよ! 私達は皆人間とはかけ離れた美しい容姿だからね! 目立って当然よ!」
少しぽっちゃり気味のジニアが胸を張って言う。それに続いてビオラとリナムまでも・・・
「特にソニアは私達の中で頭一つ抜きん出ているものね。人間如きがソニアを視界に入れるなんておこがましいにも程があるけれど、仕方のないことだわ」
「そうですね。私達の海より広い心で許してあげましょう。何より、ここはアケビのお気に入りの国ですし、あまり荒らしたくありません」
2人はそんなことを言うけど、正直、わたしよりもエリカの方が可愛いと思うんだよね。他の皆はかまととぶってるって言うけど、わたしはそんなことないと思う。エリカはいつも自然体だよ。
エリカに向かってパチッとウィンクをしてみる。エリカは幸せそうに破顔した。うん、可愛い。
「・・・スンスン」
お? この匂いは・・・?
エリカと微笑み合ってたら、どこからか鼻腔をくすぐる美味しそうな匂いがしてきた。
「ソニア? どこに行くの? そっちは路地裏だよ?」
アケビがそう言うけど、匂いがする方へ体が吸い寄せられていく。皆もそんなわたしに首を傾げながらも付いてくる。
近い・・・近いよ! もうすぐで・・・!!
少し薄汚い路地裏を抜けた先には、広めの広場があって、その中央にボロボロの服に身を纏った人間の子供達が集まっていた。
匂いはあそこから来てるね!
「ソニア? こんな汚いところにいたら汚れてしまうわよ?」
ビオラがわたしの袖をグイグイと引っ張る。そんなビオラにジニアが突っかかり始める。
「じゃあ、ビオラは綺麗なところで待ってたらいいわよ! 私はソニアちゃんと一緒にいるけどね!」
「・・・私もソニアと一緒にいるわよ。よく考えたら、汚れたソニアもそれはそれでアリだわ」
何がアリなのか分かんないけど、仲が良くて何よりだね。でも、それより何よりカレーうどんだ!
「あっ、ちょっとソニア!?」
わたしは皆を置いてけぼりにして駆け出し、子供達に中に突っ込む。
おぉ! カレーうどんだぁ!!
子供達の中心では、どこかで見たことがあるような人間の少女と少年が、2人で大きな鍋からカレーうどんを子供達によそってあげていた。
「あれ? そこの子・・・」
カレーうどんを目の前に見つめていたら、少女がわたしに気が付いたみたいだ。
カレーうどん! わたしにも早く!!
期待の眼差しで見つめると、少女は少し申し訳なさそうに眉を曲げて口を開いた。
「白い肌に黒い髪・・・ねぇ、そこの子。あなた親御さんは?ここの子じゃないよね?」
もしかして・・・カレーうどん貰えない感じ?
「あぁ! ごめんね! 怒ってるわけじゃないの! だからそんな泣きそうな顔しないでっ!」
別に泣きそうな顔してるつもりはないんだけど・・・っていうか、わたし、例の如く子供扱いされてる?
「カレン? どうしたんだ?」
他の子供にカレーうどんをよそっていた少年が訝しげにこっちの様子を伺ってくる。
「あっ、ユータ! いやね、何か見たことない女の子が混じってて・・・たぶん旅行客の子供か商人お嬢さんだと思うんだけど・・・肌が綺麗だし、服もなんか・・・凄いし」
わたしは人間なんかの子供じゃないし、そもそも子供じゃないんだけどね。
「へぇ~・・・ん? この子、本当に子供なのか? 確かに顔も身長も子供っぽいけど、こんな踊り子みたいな服着た子供がいるか? それに、明らかに子供じゃない部位が・・・」
ユータと呼ばれた少年がわたしのある部分を見つめる。
「ちょっとユータ!! どこを見てるの! 相手は子供よ!?」
「いててて!! 頬をつねるな!」
「発育のいい子ならこれくらいはあるわよ! 何? ユータは大きいのが好みなわけ? それとも幼女趣味でもあるの?」
幼女て・・・。
「はぁ!? 何でそうなる! 俺は幼女趣味じゃない!」
「ふーん・・・そう。でも、大きいのは好きなんだ」
「ちがっ、いや違わないけど・・・俺が好きなのはおまっ・・・・あぁ! もう! とにかく! 今はその子の話だろ!!」
ユータはそう怒鳴ってわたしを指差す。
「フフッ、そうだね。じゃあ、この話はまた今度ね。ほら、子供達が待ってるから早く戻って」
カレンと呼ばれていた少女は揶揄うように笑ってユータの背中を押す。ユータは恥ずかしそうに頬を染めながら持ち場に戻っていった。
え、なにこの甘ったるい雰囲気・・・。
カレンはくすりと笑ってユータを見たあと、わたしの方に振り返って気を使うような優しい笑みを作る。
「えーっと・・・ごめんね。これは戦争孤児になっちゃった子達への炊き出しみたいなものなの」
「つまり、カレーうどんは貰えないってこと?」
「う、うん。そうなの。本当にごめんね。ただ、少し待っててくれれば、炊き出しが終わったあとに私が働いてる宿に案内するから、そこでならカレーうどんを作ってあげられるよ」
「ほんと!?」
カレンに頭を撫でられて、「だから少し待っててね」と微笑まれる。わたしは「うんっ」と元気に頷いて、ビオラ達のもとに戻る。
「・・・そういうわけで、少しここで待ってよう! ・・・って、あれ? アケビ? 何で隠れてるの?」
何故かリナムの後ろに隠れてるアケビ。
「いやだって・・・ソニアは覚えてないの? あの少年少女。前に妖精の姿で会ってるんだよ? ソニアは髪の色を変えてるから気が付かれてないっぽいけど・・・」
「ん? 会ったことあったっけ? ・・・うーん、そうだった気がする・・・あぁ~~~! そうだった! そうだったね!」
思い出したよ!! 一緒にカレーうどんを作ったことあったよね! 確か、ネリィっていう少女も一緒に!あ~! なんかスッキリ!
・・・。
暫く皆で手押し相撲をしながら待っていると、カレーうどんに群がっていた子供達が急に解散した。炊き出しが終わったみたいだ。
「ごめんね。少し時間がかかっちゃった・・・・・・あら? 増えてる・・・ご家族の方? お友達? それともご兄妹?」
カレンはわたしの隣りにいるビオラ達を見て、目をきょろきょろさせて困惑する。カレンの後ろではお鍋とかを台車に乗せたユータが怪しげな視線をわたしに向けていた。
「なぁ、そこの黒髪の・・・」
ユータが怪しむような顔で近づいてきて、声を掛けてきた。
黒髪の? 今黒髪は2人いるけど・・・。
わたしとビオラはお互いを見合う。
「あれだ・・・その・・・そっちの・・・子供っぽい方だ」
子供っぽい方? どっちだろう。
わたしとビオラは再度見合う。
「背がちっちゃい方だ!」
「・・・」
「・・・む、胸が大きい方だよ!」
わたしだね。
「なにかな? 少年くん」
「少年くん・・・ねぇ。・・・君、名前は何て言うんだ?」
「名前? ソニアだけど・・・」
「ちょっ! バカ! ソニア!!」
「むごごっ!!」
突然ケイトに口を塞がれた。
「やっぱり・・・雷の妖精のソニアさんだよな?」
「えぇ!? ソニアさんって! あのちっちゃくて可愛い妖精の金髪のソニアさん!?」
ユータは呆れた顔で溜息を吐き、カレンは目を真ん丸にしてわたしを見る。
あーあ・・・バレちゃったよ。
わたしは腰に手を当ててケイトを睨む。
「もう! ケイトがわたしの名前を呼ぶからバレちゃったじゃん!」
「いや! ソニアが先に自己紹介したんだろ!!」
・・・そうだった! わたしってば考え無し!! うぅ・・・ビオラ達がまたニヤニヤした顔でわたしを見てる。 また罰ゲームで変な服を着せられちゃうよ!・・・いや、今も着てるんだけどさ。
「ハァ・・・改めて自己紹介するね。わたしはソニア。今は雷の妖精じゃなくて光の大妖精だからね。それからこっちは・・・」
順番に他の妖精達も紹介していく。これから美味しいカレーうどんを作って貰うんだから、きちんと紹介しておかないと。
「すごい・・・土の妖精様まで・・・大妖精様方が勢揃いなんて・・・ど、どど、どうしたら・・・とりあえず跪いた方がいいですか? ・・・というか、私、大妖精様に失礼なことを・・・!!」
「そんなこといいよ。それよりカレーうどんを作ってよ」
猫に追い詰められた鼠のように震えるカレンに、アケビが凄味のある顔で微笑む。カレンは「はいぃ」と力なく頷いた。
・・・まぁ、カレーうどんが食べられるなら何でもいいや。
・・・。
「・・・だからね。炊き出しをするなら、もう少し衛生環境を改善した方がいいと思うわけよ! あんなに汚いところだと、食材は大丈夫でも食中毒菌に侵されかねないわ!」
「なるほど・・・さすが緑の大妖精様ですね! ためになります!!」
先頭を歩くカレンとジニアが何やら楽しそうにお話してるけど、聞こえる単語からしてわたしが首を突っ込める話じゃなさそう。ショクチュー・・・なんだって?
「あのね。タングステンがいいよ。あの金属は使い勝手がいいんだよ。昔はそれでよくソニアを騙してたんだよ」
「光の大妖精を・・・その、タングステン? ってのは凄いんだな。どこで手に入れられるんだ?」
「さぁ~」
「えぇ~・・・・」
後ろではユータとアケビが楽しそうにお話してる。
タングステンねぇ・・・あの金属は厄介だった。何が厄介って、透視が難しいんだもん。やろうと思えば出来るけど、かなり集中力がいるし、疲れる。それに、壊れにくい。昔はそれでよく悪戯されたものだ。・・・まぁ、ソレを言えばこの間の海底トンネルでのあの壁の方が驚いたけど。あれはたぶん本気になってやっと壊せるかどうかだと思う。
前後から聞こえてくる会話を聞きながら歩くこと数分。宿に着いた。
「じゃあ、カレン。俺はこの鍋とか調理器具を一通り片付けたら工房に戻るから」
「うん! 付き合ってくれてありがとう!」
「いや、いいよ。俺も好きでやってるんだし・・・それより、午後の予定、忘れてないよな?」
「ああ、うん。大丈夫」
「なら、いいんだ。じゃ、また」
ユータが何だかソワソワした感じで去っていく。黙ってその会話を聞いていたわたしは首を傾げる。
「午後に何かあるの?」
「あ、はい。2人で出掛ける約束をしてるんですよ。それより・・・ささ! 皆さん、どうぞ中に入ってください!」
カレンはそう言いながらわたしの背中を押し・・・
「うひゃぁ!!」
羽を触られた。不可視化してたのが仇になっちゃった。そして、案の定、わたしの羽を触ったカレンが他の妖精達に一斉に睨まれる。
「ひぇ!? ・・・あ、あにょ・・・わ、私なにか・・・しちゃい・・・ましたか?」
可哀想なくらい怯えて震えて、縮こまるカレン。今にも気を失っちゃいそうな程だ。
ありゃりゃ・・・。
「どーどー・・・皆落ち着いて、わざとじゃないんだから、怒らないの」
「仕方ないわね。ソニアが言うのなら・・・でも、次はないわよ?」
「ひゃ、ひゃい!!」
仕方ないのはビオラの方だよ・・・まったく。
また間違えて触られないように、不可視化していた羽と、ついでに耳と髪色も元に戻す。
「わ、わぁ・・・綺麗・・・本当に金髪の・・・雷の妖精のソニアさんだったんですね。何だか雰囲気が変わってたので、気が付けなかったです」
「まぁ、色々とあったからね」
「色々とですか・・・あっ、そういえば! あのソニアさんの歌、聞きましたよ! とっても可愛かった・・・って言ったら失礼ですかね? とにかく、凄く良かったです!」
「ありがとっ」
カレンに案内されて宿に入る。わたしを見た受付の人間が、口をパクパクさせて固まる。カレンはそれを面白そうに見た後、くるっと振り返る。
「今からカレーうどんを作りますので、二階のお部屋で待っていていただけませんか?」
「ウン」
わたし達は二階の空いてる部屋に案内される。
「では、お待ちくださいませ」
「ウン」
そう返事しながら、わたしはカレンの後ろをついて歩く。そして、そんなわたしの隣にビオラとジニアが並ぶ。
「あの・・・お部屋でお待ちください・・・と・・・」
「ううん。せっかくだからカレーうどんを作るのを見てよっかなって!あ、何だったら手伝うよ!? 前にも作ったし!」
「い、いえ!! そんな! 大丈夫ですよ!! 」
「そう? じゃあ、見てるね!」
厨房に入ると、そこにいた皆がわたしを見て「妖精!?!?」と驚き、そして口をパクパクさせてお互いを見合ってる。カレンはそんな人間達を集めて、何やらコソコソと話し始めた。
「何の話してるんだろう?」
「きっと、ソニアの可愛さを称えているのよ」
・・・それ、今することかな?
「すみません! お待たせしました! 誰が皆様にカレーうどんを作るかで相談していて・・・」
「そうなんだ。誰が作ってくれるの?」
「私です! ・・・私だけです」
他の人間達を見ると、「大妖精様に料理を作るなんて畏れ多い」みたいな顔で遠巻きにわたし達を見ていた。
あ~・・・何となくどんな会話をしてたのか察したよ。
・・・。
カレンは慣れた手つきでカレーうどんを作り始める。わたしは隣でマジマジと見つめる。そんなわたしを、ジニアとビオラがマジマジと見つめてくる。
「ねぇ、カレン」
「は、はい! 何ですか?」
「午後にユータと出掛けるの?」
「そうですね。はい! ユータに誘われて・・・」
「どこに出掛けるの?」
「そこまでは知りませんけど・・・何か?」
「いや、面白そうだったらついてこうかなって思って」
わたしが何気なくそう言うと、カレンは気まずそうな顔になった。誰かに気を使うような、そんな感じの。
「ソニアちゃん。それは野暮ってものよ? きっとカレンとユータはデートなのよ」
「でぇと?」
「ユータのあの反応見たでしょ? きっとユータはカレンに恋してるのよ!」
ジニアは恋について熱く語り始める。カレンはいたたまれないような顔でうどんを茹で続けてる。心なしか顔が赤い気がする。
ジニアって、こんなに人間に感情移入する妖精だったっけ?
「あっ、そういえばディルもソニアにk・・・ぶぉ!?」
ビオラが急に慌てたように、恐ろしいほどのスピードでジニアの口を手で塞いだ。ふがふがと暴れるジニア。何だか可哀想。
そういえば、ディルはわたしに恋してたんだっけ。
「うーん・・・”恋”かぁ。ディルねぇ・・・」
そう呟いて視線を斜め上に向ける。視界の端っこにジニアを睨む「ほぅら」みたいなふくっれ面のビオラが写った。
今まで人間から好意を持たれることはあったけど、あんなに真剣に恋をされたことは無かったなぁ。わたし、そんなディルに対してどう接して、どう思ってたっけ。
記憶を探るけど、どう接してたかは分かるけど、どう思ってたかまで繋がらない。
何だろう・・・何だか胸がむわっとする。・・・いや、臭ってるわけじゃないよ? こう・・・心情的な意味で。
「ねぇ、カレンはユータに恋されてることにどう思ってるの?」
「え、どうって・・・そりゃあ嬉しいですよ?」
わたしも、嬉しかったのかな? それとも、わたしもディルに恋してたり・・・? いや、それはないよね。相手は人間だし、わたしが恋なんて・・・縁が無いもん。
「カレンはユータに恋してるの?」
「私? 私は別に・・・でも、もし、ユータに告白されても嫌じゃないっていうか、別にいいっていうか・・・って、私、何言ってんだろ!」
「きゃー!」と頬を赤くするカレン。
「告白って?」
「ああ、妖精様には分からないかもですよね。告白っていうのは、自分の想いを伝えることです」
「それだけ?」
「それから、相手がその想いに応えてくれれば、無事お付き合いできて、ゆくゆくは結婚・・・なんて感じで・・・ハハハ、じ、自分で言ってて恥ずかしくなってきちゃいました・・・あっ、うどん茹で上がりましたよ!」
想いを伝える、結婚・・・もし、ディルに告白されたりしたら・・・・・・。
「はい! うどん出来上がりましたよ! じゃあ、他の皆さんが待ってる上に運んで行きたいんですけど・・・ソニアさん? 聞いてます?」
「ソニア?」
「ソニアちゃん?」
・・・あれ? あれあれ?
「ソニアちゃーん! おーい!」
・・・もしかして、ディルに告白されるの、嫌とは思ってない? むしろ嬉しいって・・・感じてる?
自分の心なのに、自分のものじゃないみたい。理由は分からないけど、だんだんと顔が熱くなってくる。
「ソニア。何を考えてるの? あと三秒以内に返事をしないと、ソニアのパタパタしている可愛い羽を掴んじゃうわよ~」
・・・いや、いやいやいや。そんなわけないよ。わたしは人間に告白されたって何も思わないよ。
そう必死に考えるけど、顔が熱いのは収まらない。まるで、思考と心が別々にあるみたい。
「さーん」
だって、相手は人間だよ? 大妖精のわたしが、人間に告白されて、嬉しいなんて・・・。
「にーい」
だってだって、10年にも満たない短い時間を一緒だっただけの、ただの人間だよ!?
「いーち」
だってだってだって! こんなのおかしいよ! ディルのことを考えれば考えるほど、胸のドキドキって・・・これって・・・。
「はい!」
「ほわぁ!? ふひゃ~~~ぁ」
ビオラに羽を触られた。それも、何だか艶めかしい感じで。
「ソニア。カレーうどんが出来たみたいよ。冷めないうちに上に運んで皆で食べましょう」
「あ、ああ、うん! そうだね!」
皆のカレーうどんは、ジニアが全て持って二階の部屋に移動した。ジニアの体から何本もの腕が生えてきて、なかなか気持ち悪かった。お陰でさっきまで考え込んでいたことが霧散した気がする。
「じゃあ、カレン。カレーうどんありがとね! デート頑張って!」
これから目一杯おめかししてデートに向かうらしいカレンを見送ったあと、わたし達はカレーうどんを目一杯服を汚して美味しく頂いた。。
読んでくださりありがとうございます。手押し相撲はジニアが圧勝しました。




