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262.【ジニア(緑の大妖精)】罰

「「「「「ソニア!!」」」」」

「ソニアちゃん!!」


今、わたし達の前で、ソニアちゃんが倒れた。遠くの方から飛んできた刀の刀身から、トイレの中にいる人間を庇って・・・刀身に眉間を貫かれたソニアちゃんが倒れた。


 私の・・・私達のソニアちゃんが・・・。


「「「「「人間が・・・!!」」」」」


皆が怒りに任せて叫び、刀の刀身を射った人間に向かって飛んで行くなか、私は急いでソニアちゃんのもとまで飛ぶ。


「ソニアちゃん! 大丈夫だよね!? 眉間に刀が刺さったくらい大丈夫だよね!?」


 いつもなら、刺さった刀を自分で抜いて「はぁ~、びっくりしたぁ!」とか言って笑いながら起き上がってくるもん!


けれど、ソニアちゃんは起き上がらない。目は開いているけど、焦点が合っていなく、瞳に光も無い。


「噓・・・だよね? ソニアちゃん・・・ソニアちゃん・・・」


ゆさゆさとソニアちゃんの体を揺さぶるけど、ソニアちゃんに刺さった刀が僅かに揺れるだけ。


「と、とりあえず刀を抜かないと・・・」


 悪いのは刀で、コレを抜いたらソニアちゃんはまた動き出すかもしれない。


震える手で刀に触れようとする。その時、私じゃない別のゴツゴツした手が刀を握り、勢い良く引き抜いた。


 この手は・・・。


上を見上げると、細胞をバラバラにしたハズの勇者が裸で立っていた。


 どうして・・・? あの状態から復活なんて、身体強化の域を超えてる。


勇者はセンブリの花を嚙み潰したような顔をして、口を開く。


「可哀想だと思う。悪いとも思ってる。後悔もしてる。まして可愛いくてタイプの女に手をかけるなんて、最悪の気分だ」


 な、何を言ってるの!? ふざけてるの!?


「私達が、あなたにいったい何をしたって言うの!!」

「俺自身、お前達に何かされたわけじゃない」

「じゃあ! ・・・どうして!!??」


 どうして私達が・・・ソニアちゃんが・・・こんな目に!!


「・・・やらなきゃいけなかった。だからやった」


 意味が分からない!


「ふざけないで!!」


私は立ち上がり、勇者に向けて手を翳す。勇者は裸で突っ立ったまま動かない。


「もっと細かく! 細胞をバラバラにしてやる!!」


勇者はそれでも動かない。


 何なの! 私なんかの攻撃は気にするほどでもないってこと!?


「単細胞にしてやる!!」

「はーい、ストップだよ~」


何者かに後ろから両目を隠された。


「わっ」「きゃあっ」「何だ!?」「突然転移させられた・・・?」「!?」


視界が暗くなると同時に、アケビ、リナム、ケイト、ビオラ、エリカ、弓を持った人間を仕留めに飛んで行ったハズの皆の声が聞こえた。


 何? 何が起こってるの!?


そっと目を隠していた手が離れる。さっきまでは裸の勇者しか居なかったのに、皆が揃っていた。そして、皆、私の後ろを警戒するように見ている。


「?」


振り返ると・・・黒い・・・人型の黒い影が立っていた。


「神様・・・」


勇者がそう言って跪く。


 カミ様?


そう呼ばれた黒い影は、足元に横たわっているソニアちゃんをそっと優しく抱き上げる。


 !?


「お前が誰だかは知らねぇが、ソニアに触れるな!!」


ケイトが物凄い形相で叫んで、超高圧の炎を黒い影に発射する。・・・だけど、その攻撃はまるで本当に実体の無い影のようにすり抜けた。


「危ないよ。この子・・・えーっと、ソニアっていう名前だよね? ソニアに当たったらどうするの。・・・まぁ、当たったところで、コレは亡骸だから何とも無いんだけどね」


 亡骸!?


「ソニア・・・戻らないの? ・・・うわあああああん!!」


アケビが泣き叫びながらその場に崩れる。私が次に取ろうとしていた行動を先にされて、私の頭は変に冷静になる。リナムはアケビにそっと寄り添い涙を流し、ケイトは拳をきつく握って俯き、ビオラは涙を堪えながらジッと黒い影を睨んで、エリカは感情が抜け落ちたような顔になっている。

他の皆もソニアちゃんの消失に冷静さを欠いている。だから、普段オロオロして、ソニアちゃんとビオラにくっついてばかりいた私が、こんな時くらいしっかりしないと。


「ねぇ、答えて。あなたは誰なの? 本当にソニアちゃんは戻らないの?」


そもそも、こんな怪しい存在の言ったことを鵜吞みに出来ない。ビオラもハッとしたみたいで、疑わしい目で黒い影を見る。


「俺の名前は神様だよー。いつもはこことは違う次元にいるんだよ」


 とりあえず分かったのは、カミという名前。自分の名前に敬称をつける意味もジゲンというのも分からないけど。


「まぁ、君達にはソニアの古い知り合いって言った方がいいのかな?」

「噓を吐くな!! アタイはそんな話ソニアから聞いたことないぞ!!」


ケイトの言う通り、私も聞いたことが無い。けど、私達の中で一番ソニアちゃんと付き合いの長いビオラは違った。


「私は聞いたことあるわ。本当に昔、私がソニアと出会った時のことだけれど、『わたしとわたしじゃないの』の2人で言語を考えたって・・・」

「そうだよー。懐かしいなぁ」


カミに表情は無いけど、その声色は本当に昔を懐かしむもののように感じた。


「君達が俺のことをその程度しか知らないのなら、俺がここにいる理由も見当がつかないよね・・・って、あぶなっ!!」


黒い影が喋っている最中に、ケイトが攻撃した。危ないとは言うけど、その攻撃はすり抜ける。


「もう、ゆっくり喋ることも出来ないよ。まず、安心して欲しいんだけど、ソニアは本当に消失したわけじゃないよ。だから、攻撃するのをやめてくれない?」


カミの言葉に、私達はとりあえず胸を撫でおろす。


 よかった。・・・じゃあ、もう二度と会えないわけじゃないんだ。


「皆が落ち着いたところで、少し話をしたいんだけど・・・勇者」

「はい」


ずっと裸で跪いていた勇者が身を強張らせる。


「ここからの話は俺と妖精達の話なんだ。君の役割はここまでだよ。これからは二度目の人生を楽しんでね。じゃ、遠くの方で瀕死になってる相棒を拾って帰って」


カミがそう言って手を払うと、勇者は何か言いたそうにしながらも、刀を持って渋々と去っていった。


「さて、じゃあ、俺が何故ここにいるのか、話そっか」


カミはそう言ってソニアちゃんを抱え直し、ことの経緯を話始める。


「俺は、そこのビオラだっけ? 彼女が証明してくれたように、ソニアの古い知り合いなんだけど、色々あって別の次元に行くことになったんだよ。そこで俺は宇宙の誕生から生命の誕生まで観測し、今ではこの次元と同じように人間という種族が地球っていう惑星で暮らすようになったのをひっそりと見守ってるんだよ」


カミはそう言いながらサッと指を振る。すると、そこの空間が裂け、景色が見えるようになった。それは、こことは違う惑星、カミの言うところの違う次元、人間達が大きな長方形の建造物が並ぶ土地で暮らしている景色だった。


「んで、ふと思ったんだよね。あの時別れたあの子の居る次元はどうなったんだろう? ってね」


そう言ってカミは横抱きにしているソニアちゃんの方を向く。顔が無いから表情も無いけど、どことなく優しい雰囲気がある。


「そしていざ来てみたら、同じように人間が誕生していることに驚いたよ。しかも、魔力という俺の次元には存在しないものを利用して魔法を使ってるんだから。まぁ、その代わりに文明はあまり発展していなかったけどね」


 ブンメイ? なにそれ?


「俺は嬉しかったよ。ソニアも同じように人間を愛してるんだろうって思って・・・でも、違ったよね?」


 当たり前でしょ。ソニアちゃんが愛してるのは私達で、人間なんかじゃない。


「自分の力を犠牲にして生み出した君達と仲良くやっている姿は少し羨ましいと思うほどだったよ。でもさ、人間を軽視しすぎだよね。・・・だから俺は、ソニアと君達を分からせることにしたんだよ」


 分からせる・・・?


「この世界の人間達は、日に日に増え、凶暴になっていく魔獣に恐れ、ある存在を望み始めた。俺はその人間達の願いを聞き入れることにしたんだよ」


 人間達が・・・?


「俺は自分の次元から死んだ人間の魂を呼び寄せて、こっちの次元に俺が自ら創り出した体に転生させた。そして、俺はその人間に命令した。人間の数を著しく減らしている君達が作った魔獣を退治してね、ソニアをあの刀で殺してね・・・って。人間達の望んだ救世主・・・それが勇者の正体だよ。刀の力を上手く使いこなせして、見事に救世主になったよね」


 人間・・・人間が余計な存在を望まなければ! あの刀が無ければ・・・!


今更そんなことを考えてもどうしようもないことは分かってる。けど、考えてしまう。


「あの刀には俺の空間を操る力が込められてた魔石が嵌められてるんだよ。君達が魔石という物を作り出してくれてたお陰だね・・・っと、危ない、危ない。話が脱線するところだった。とにかく、そういう経緯で、君達が大好きなソニアはこうして倒れてるんだよ」


 倒れてるんだよ・・・?


「違うよ・・・私達が聞きたいのはそういうことじゃない! ソニアちゃんは、ちゃんと戻ってくるんだよね!? 」

「戻ってくるよ。たぶんね」

「たぶん!?」

「適当なこと言ってんじゃないぞ!! 今すぐにアタイ達のソニアを返せ!!」


ケイトがそう言いながらカミが抱いているソニアちゃんを奪い返そうとするけど、カミはひらりと上に飛んで避ける。そして、私達を見下してながら冷たい声を出す。


「話はちゃんと聞いてね? 俺、君達を分からせるって言ったよね?」


その言葉と共に、私達は強制的に地面に膝をつかされる。


 ど、どうなってるの!?


「まず、上下関係を分かって欲しいね。君達に出来て、俺に出来ないことは無い。もちろんそこにはソニアも含むよ。だから、無駄な攻撃や暴言はやめて、黙って話を聞いてね?」


声を出したいけど、出ない。他の皆も悔しそうに口を開け閉めしている。


「ソニアと君達には、分からせる為に罰を用意してるんだよ。・・・まず、皆が気になってるソニアだけど、記憶を抹消して俺の次元で人間として転生させたよ」


 させたよ・・・じゃないよ! ソニアちゃんが人間なんかに・・・あまりにも酷い!可哀想すぎる!! しかも、記憶を消されたなんて!


「ソニアの罰は、人間として生き、人間としての幸せを掴み、そして失うことだよ」


 人間としての幸せなんて・・・失っていいんじゃないの? カミは何がしたいの!?


「本当は何度も人間として転生させて繰り返し罰を与えようかなって思ってたんだけど、彼女の最後の行動を見て、気が変わったんだよね」


 最後の行動・・・確か、トイレで飼っている人間を庇って、刀を受けた・・・。


「そして、君達の罰だけど・・・君達の名前を没収する」


 名前を・・・没収?


「君達はソニアに名前を付けて貰ったんだよね? さぞ嬉しかっただろうね。俺も人間に神様って名前を付けて貰った時は嬉しかったよ~」


 当たり前だよ。ソニアちゃんに貰った物の中で、一番の宝物だもん。


「っていうことで、君達には名前、つまり大切なものを失う辛さを分かって貰いたい」


 そんな・・・ソニアちゃんを長い間失って、更に名前までなんて・・・。


「そして、まだあるよ。君達の力もある程度没収するからね」


 力を没収!? そんなことしたら・・・。


「ああ、言いたいことは分かる。君達の力を没収したら、この世界から自然が消えてしまうってことでしょ? でも大丈夫。この惑星の自然が消えない程度には残してあげるよ」


 そんなこと・・・。


「そんなことできるのって? 出来るよ。ほら」


その瞬間、私達の体が手のひらサイズくらいまで縮んだ。そして、同時に大きな消失感を覚える。


「どうして私だけ変わっていないのかって?」


カミはそう言って――――――闇の大妖精を見る。闇の大妖精だけが体が縮んでいなかった。


「君達はそれどころじゃないんだろうけど、光を証明する存在である―――がいなくなったら、当然この次元から光が無くなるんだよ。今は全てを証明する存在である俺がいるから大丈夫だけど、俺が元の次元に帰ったら本当に無くなっちゃうんだよ」


 大好きな・・・大好きな・・・彼女の名前が聞こえない。思い出せない。


心がズキズキと痛み、あまりの消失感に涙が止まらない。闇の大妖精も悔しそうに唇を震わせて涙を流している。体は縮んでいないけど、同じように名前を没収されたみたいだ。


「だから、魔力を証明する―――には―――の代わりをして欲しいんだよ。・・・って、そっか。もう名前を認識出来ないんだったね。ごめんごめん」


そしてカミは闇の大妖精に光の大妖精の代わりにやって欲しいことを淡々と述べた。


「・・・まぁ、完璧に光の大妖精の力を再現するなんて不可能だ。でも、最低限、人間や他の動植物が生きられる程度には頑張ってね」


その言葉に、闇の大妖精は頷かない。


「いいかな? 光の大妖精をこの次元に返す条件は・・・闇の大妖精が俺の言う通りにしていること、人間の数を今よりも5割増しくらいにはすること、最低でも2000年経っていること・・・この3つだからね」


2000年・・・彼女と一緒ならあっという間の短い年月。でも、彼女がいないのなら、気が遠くなるほど長い年月。


「ちなみに、光の大妖精は20年から30年くらい人間として生きてもらうつもりだよ。体感的には君達と同じくらいじゃないかな? 俺は人間になったことないから分かんないけど」


そして、カミはクルッと後ろを振り返り、指で空間を裂き、次元の亀裂を出現させる。


 やっと帰ってくれる・・・。


「おっとっと、危ない危ない」


カミはそう言いながら、今度は私達の方にクルッと振り返る。


 まだ何かあるの!?


「闇の大妖精。君の心の内を少し覗いたけど、あまりに危険すぎる。そうだね・・・とりあえず、月にでも行って、2000年の間、そこから俺の言った通りに光の大妖精の代行をお願いね。俺が帰ったあと、すぐにだよ。じゃないと、光の大妖精は返さないからね。それと、罰は追加する。この次元に光の大妖精を返す時、光の大妖精に光の大妖精であった時の記憶は無いからね」


闇の大妖精は悔しそうにカミを睨みながら頷く。


 いったい、何を考えてたんだろう。


「そしてもう一つ」


カミは、今度は私を見て、一つの種を私の前に置く。


「この種は、生命の木の種って言うんだ。今考えて作った。これは人間の数が増えるほどに成長する。2000年後、その種が一定の高さまで成長していたら、その木の下に光の大妖精を返すからね。言わばこの種は、光の大妖精と君達を繋ぐ大切な物だ。しっかりと育てるんだよ」


 光の大妖精と私達を・・・。


「そして本当に最後に。君達にはこれを授けるよ」


カミがそう言った瞬間、私の頭にあるものの作り方が流れ込んできた。


 なにこれ・・・眷属の作り方?


「大妖精としての力を失ってただの妖精になった君は、自分の司る自然の維持に困ることもあるかもしれないし、自然の均衡を保つ為にバラバラにならなきゃいけない君達は、寂しい思いをするかもしれない。そんな時、この力を使うといい。そして、意思のある者を管理する大変さを学ぶといいよ」


そうしてカミは、光の大妖精の亡骸を持って次元の亀裂の中へと消えていき、すぐに亀裂は消えた。


「うっ・・・うあああああああああああああ!!!」


真っ先に泣き叫んだのは、今や私達の何百倍も体の大きな闇の大妖精だった。


「私は・・・私は諦めないわよ!! 皆、悔しいけど、私はあいつの言う通りにすぐに月に行くわ! でも、あとで()()するわよ!!」


闇の大妖精は涙を流して、震える声でそう言ったあと、大急ぎで家の中に入り、何かを持って月へと飛び去っていった。私達はポカーンとその様子を見ていることしか出来なかった。


 連絡・・・?


「あっ」


声を出したのは土の妖精。


「私が・・・っ、ひ、光の大妖精と一緒に作った道具で連絡は取れるよ。それに、光の大妖精は記憶のバックアップを作ってたよ」

「「「「!!」」」


 そうだった・・・そうだったよ! じゃあ、2000年、これから2000年の間、光の大妖精が居ない世界を耐えきれば、また会えるんだ!


「もう二度と会えないわけではないんですね・・・」

「そうだな。それまで、光の大妖精が残していったものを守らなきゃな」

「うん。お姉ちゃんとまた会う為に、会ったあとも平和に暮らせるように、僕、考える」

「こんな弱虫な体になっちゃったし、人間達が今後私達に対してどう動くのか分からないけど、頑張って守るよ」


水の妖精、火の妖精、空の妖精、土の妖精がそれぞれ前を向き始める。


 そうだ。こんな時だからこそ、前向きにならなきゃ。きっと光の大妖精ならそうするハズだもん!


そして、私達は2000年後に向けて行動を開始する。


 ・・・あれ? 何か忘れてるような・・・?


・・・。


その日、私達は大切なものを失い、人類は闇の大妖精が月に行ったことで魔力が惑星から無くなって自らで魔法を行使することが出来なくなった。

読んでくださりありがとうございます。

いつものソニア「はぁ~、びっくりしたぁ! 思いっきりまな板に叩き付けた包丁が跳ね返って心臓に刺さっちゃったよ~」

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