表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
248/334

247.待ち人、全員来たる。

パチッ☆ パチッ☆ パチッ☆


控室に置いてある姿見(手鏡)の前で、何度かウィンクしてみる。もう見慣れた金髪碧眼の尖った耳で羽の着いた妖精のわたしが、あざとく体を捻ってウィンクしている。ただそれだけだ。


 うーん。こんなんで気絶なんてするかなぁ。むしろ恥ずかしいと思うのはやってる本人であるわたしだけ?


そんなことをしていると、不意に視線を感じた。鏡越しにニヤニヤしてるディルと目が合った。恥ずかしい。


「仮眠するんじゃなかったの?」


鏡の後ろに隠れて、顔だけをひょこっと出して尋ねる。某同人誌即売会の軽く何倍の人口密度になっている会場から国民達が帰路に着くまで控室から出られないと言われた時に、徹夜だったディルは「じゃあ寝るわ」って言ってたハズだ。


「そうしようと思ってたんだけどな。・・・まぁ、あれだ。ソニアって見てて飽きないよな」

「は?」


 答えになってないよ・・・。


ジトーッとディルを見上げていると、外で国民達の誘導を行っていたアリサとカササギが控室に戻って来た。アリサは最初気を失ってたけど、意外とすぐ目を覚ましてた。


「皆様、ようやく国民達全員が帰路に着きました」

「意外と早かったですわね」

「そうだな」


ディルと違って控室にある長椅子で仮眠をとっていたスズメとオームがそう言いながら起き上がる。そんな2人にディルが溜息を吐いた。


「早かったって・・・もう夕方だぞ。何時間掛かったと思ってるんだ」

「でも、あの人数を考えれば日が完全に落ちる前に終わっただけでも充分だと思いますわよ・・・あっ、ソニア様。おはようございます、ですわ」

「おはようございますですわ」


ペコリと挨拶し合う。


「出来ることならば、このままここでソニア様のおっしゃる記憶の欠片を集めていらっしゃる妖精様をお待ちしていたいですが、いつ来るのかは分からないのですよね?」


オームが体のあちこちを伸ばしながら聞いてくる。


「そうだね。空の妖精も同じようなことを言ってさっさと姿を消して帰って行っちゃったし」

「じゃあ俺達もさっさと帰ろうよ。眠い」

「ディル・・・だから何で仮眠しなかったのさ」


そうして、わたし達はようやっと控室から出て、茜色の空の下、お城に向かう。海岸には一応スズメが見張りを手配してくれた。


「そういえば、今更かもしれないけどオームとスズメはどうしてメイド服と執事服なの?」

「それは俺も気になってた。しかもスズメが執事で、王子様がメイド服だし・・・普通は逆だよな?」


 あの時は本番前でそこまで気にする余裕がなかったけど、こうして改めて見ると気になる。2人ともそれで違和感が無いのが余計気になる。


「わたくし達は何も・・・この衣装を用意したのはアリサとカササギですので」


ふわふわとディルの横を浮かびながら、後ろをついて歩くアリサとカササギを見る。


「その方が映えると思いましたぁ」

「カササギさんに提案されて、私もその方がいいと思ったので・・・」


 まぁ・・・確かに。スズメは普通にメイド服を着るよりも執事服の方が何故か似合ってる気がするし、オームも執事服を着るよりはメイド服の方が似合ってると思う。


「ソニア様・・・そのように見つめられると照れてしまいますわ。似合っていますか?」


執事服姿で身を捩んないで欲しい。せっかくカッコイイのに台無しだ。


「似合ってるけど・・・大変だったんじゃない?」

「大変・・・とは? 何がですの?」

「いや、胸だよ。 サラシか何か巻いてるんだよね? 前に学園で男装した時にわたしも巻いたけど、かなりキツかったもん。それなのにカーマには隠しきれてないとか言われたし・・・そこまで平らにするのは大変だったんじゃない?」


自分の胸に軽く手を当てながら言う。ディルとオームが顔を赤くしてサッと視線を逸らした。


「わたくしは別に何も巻いてませんけど・・・? ねぇ、アリサ?」

「あ、はい。そうですね・・・」

「なんか、ごめん」


スズメは気にしてないようだけど、世の中には小さいことを気にしてる人が多いからね。でも、わたしはそっちの方が羨ましいと思う。。妖精になってからはあんまりないけど、人間だった頃、特に大学の頃とかは異性の視線が嫌だった。


「そ、そういえば、オームは歌ってみてどうだった? 気持ち良さそうに歌ってたし、終わったあとなんか泣いてたみたいだけど・・・」

「それは・・・お恥ずかしい所をお見せしてすみません。ですが、ソニア様のおっしゃったとおりに歌って良かったです。なんというか・・・夢が叶ったような気分です。ようやく、国民達が私に目を向けてくれたんだと・・・そう思いました」


晴れ晴れとした笑顔でそう言われた。後ろにいるカササギも満足そうに微笑んでいる。


「これからは、闇市場を一度完全に解体し、新たに慈善団体を立ち上げて闇市場の被害者達を救っていく予定です」


 壮大なマッチポンプな気がするけど、それならオームの評判ももっと上がるかもしれない。それに、マッチポンプでもやらないよりはやった方が絶対にいい。自分の尻は自分で拭わないとね。


それからも皆でステージの感想を言い合いながらお城に向かった。後ろでディルとスズメが「スズメが仮眠してる間にソニアが鏡の前でウィンクの練習してて・・・」とか「う、羨ましいですわ! わたくしも見たかったですわ!」とかいう会話が聞こえたりしたけど、無視して帰る。


「では、後ほど食事を運ばせますので、ゆっくりとお休みくださいませ。ソニア様、ディル様」

「ああ、2人もお疲れ様」

「お疲れ様!」


皆とお別れしたわたしとディルは、同時に部屋のベッドにダイブする。ポフッ、ボフっと。


「終わったね~!」

「終わったな~!」


そして、特に何を言うでもなく笑ういあうわたし達。


「ソニアが記憶を取り戻せるのもあと少しだな!」

「ディルも、両親に会えるかもね!」


 なんだか、こうして言葉に出すと旅の終わりが近付いて来たんだなって思う。


「この旅が終わっても、両親と会っても、ディルはわたしと一緒にいてくれるよね?」

「え?」


ディルは驚いたように目を見張ったあと、「当然だろ?」と嬉しそうに笑った。


「俺は・・・ソニアとは死ぬまで一緒に居るつもりだからな」

「ハハハッ、大袈裟だ・・・よ?」


笑って流そうとしたけど、ディルの目が思ったよりも本気で、熱が籠ってて、口を噤んでしまう。


「ソニア・・・可愛いいな」


ディルの小指がそっとわたしの頬を触れる。


「え?」


そしてディルの指は滑るようにわたしの唇に触れ・・・。


「えっえっ・・・」


首筋をなぞる。


「あっ、あのっ、ディ・・・ル」


 ま、まだ心の準備が・・・っ!!


「すぅすぅ・・・」


 ・・・ディル?


「ね、寝てる・・・」


 もう!! 何なの!?


火照った顔をパチンッと叩き、少し期待してた自分に恥ずかしさを覚えながら、ディルの頬をペチペチと叩く。


「ディル! 起きて! 眠たいのはわかるけど、寝るならシャワーで汗を流して夕飯を食べてからにして!!」


何度か叩いて、ディルの鼻を摘まんだら、やっと起きた。


「・・・あれ? ソニア?」


起き上がってわたしをマジマジと見て、何故か顔を赤くするディル。


 顔を赤くしたいのはわたしの方だよ! 女の子に不用意に触れて!!


「ゆ、夢を見てた・・・」

「どんな?」

「いや・・・その・・・なんでもない」


ディルはバッと勢い良くベッドから立ち上がり、「シャワー浴びてくる!」とシャワー室に入っていった。置いていかれたわたしは首を傾げるしか出来ない。


 男の子の考えてることって分からない。


さっぱりした様子でシャワー室から出てきたディルと一緒に夕飯を食べて、寝る準備をする。


「そういえば、ソニアって寝巻きとかってないのか?」

「ないけど・・・どうして今更?」

「いや、その恰好で寝たらさ・・・寝相で見えちゃわないか?」

「見えちゃうって・・・下着のこと?」

「あ、ああ」


自分の格好を見下ろす。ワンピースの丈はそんなに長くはないけど、短くもない。


「大丈夫だよ。わたし寝相悪くないし、それに寝袋に入るし」

「そ、そうか。そうだよな」


 どうしたんだろう? 何だかディルの様子がおかしい。・・・よっぽど眠いのかな?


「じゃあ、さっさと寝るよ! いつガマくんがわたしの記憶の欠片を持ってここまで来るか分からないんだから」


 さすがに夜に来ることはないと思うけど。緑の森の妖精は性質上日が出ている時間しか行動しないって言ってたし、ガマくんも例外ではないでしょ。


寝袋を抱えて、「よいしょっ」とディルの枕の横に置く。


「え、そこで寝るのか!?」


何故か驚かれた。ディルは寝相が凄く悪いけど、無意識か意識的にかは分からないけど、わたしを潰したりはしないことが最近分かった。だから最近はいつもディルの横で寝てたから、今更驚くようなことじゃない。


「あのな? ソニア。妖精のソニアには関係のないことかもしれないけど、人間には欲っていうものがあるんだ」

「いや、妖精(わたし)にもあるけど?」

「・・・そうなんだけど!」


「何を言ってるのか分からない」と言わんばかりに首を傾げて見せる。


「ああ! もう! 俺だけ意識して何だか馬鹿みたいだ! 寝る!」


ガバっと布団の中に入るディル。別に意識してるのはディルだけじゃない。わたしだってディルのことを男の子だと意識してる。


 でも、こうやってわたしの一挙手一投足に動揺しているディルを見ていると・・・なんかこう・・・ドキドキするんだよね!いい意味で!


机に置かれているディルの腕時計を覗けば、いつの間にか日付が変わっていた。これ以上ディルを揶揄うのも可哀想なので、わたしも羽を畳んで寝袋に入って寝ることにする。横にいる男の子(ディル)が気になってしょうがなかったけど、目を閉じるとすぐに眠れた。


・・・。


「ソニア・・・ソニア・・・起きろ」


 ディルの声?


ツンツンと突かれる。


 あれ? ディルの指にしては小さすぎるような?


目を開けると、空の妖精がわたしに跨って頬を突いてた。


「空の妖精・・・?」

「お姉ちゃん、おはよう」

「おはようソニア」


横を見ると、面白くなさそうな顔をしたディルが椅子に座ってこちらを見ていた。奥に見える窓の外はまだ薄暗い。


「どうしたの? こんな時間に?」


空の妖精を上から退けて、寝袋から出て2人を見る。


「お姉ちゃんの、記憶の欠片を持った妖精が、この島の近くまで来てる。風が、そう教えてくれた」

「そうなんだ・・・え!? そうなの!? こんな夜中に!? ディル、今何時!?」

「今は・・・4時前だな」

「夜中じゃん! いや、夜中ではないけど、まだ日が出て無いよ! ガマくんは・・・緑の森の妖精は夜は寝てるんじゃないの!?」


空の妖精の肩を掴んで揺らす。


「例外はいるけど、だいたいそうらしい。でも、月が明るい夜なら、頑張れば活動出来る・・・って緑の妖精が行ってた、気がする」


窓の外を見れば、綺麗な満月が光っている。


 あそこに闇の妖精がいるんだよね。


「そういえば、闇の妖精が、お姉ちゃんの歌を聞いて、すごく喜んでた」

「それはよかった」


 その闇の妖精の為にも、早くわたしの記憶を取り戻さなきゃだね!


わたしが髪を整えて羽を伸ばして、ディルが魔剣を装着したり準備を整えていると、寝巻き姿のスズメとオームがやって来た。こうして髪を下ろしている2人を見ると似てる。兄妹だなって思う。その兄妹の後ろにはアリサとカササギの姿もある。既にメイド服だ。急いで着替えたんだろうか。


「ソニア様! 海岸に立たせていた見張りのキンケイとニッコクから報告がありましたわ! 何か小さなものが飛んできていると! ・・・あら? 空の大妖精? それにディル様もソニア様ももう準備が出来てるのですわね?」

「スズメ! お城では可愛らしい寝間着を着てるんだね!」


 背中に羽が付いたパジャマなんて!


「えへへ・・・ソニア様をイメージして作らせたのですわ」

「スズメ、だらしないことを言ってる場合じゃない。一刻も早くソニア様に知らせるために着替える手間を惜しんで来たが、ソニア様達は既に準備が完了している。我々も急いで着替えて後を追わなければ」

「そ、そうですわ! ソニア様達は先に行ってくださいませ! わたくしも達も後で追いつきますわ!」


 そ、そうだよね! 見張りの人が見つけたってことは、もう人間の目で視認できる距離まで来てるってことだ。急がないと!・・・正直、スズメ達が来る必要は無い気がするんだけど、まぁ、いいや。


わたしと空の妖精は窓から飛び出して、昨日のステージまで飛ぶ。その後ろをディルが屋根と屋根を跳んで付いてくる。


「うおっ!?」

「どうしたのディル!?」


突然、ディルが後ろで躓いた。


「いや、こいつが急に足元に現れて・・・」


ディルはみょーんと伸びた黒猫様を両手で掲げる。


 あの時の黒猫様・・・こんなとこで何をしてたんだろう?


「何してる? そんな小動物に構ってる場合じゃない。人間、早くしろ、置いてくぞ」

「分かってるよ」


 小動物って言うけど、わたしと空の妖精よりは遥かに大きいんだけどね。


空の妖精に言われたディルは黒猫様をそっと屋根の上に置いて、再び走り出す。


「ディル・・・少しか眠れた? まだ眠い?」


空を飛びながら、振り返って屋根を走るディルを見下ろす。寝不足で足を滑らせたら大変だ。でも、わたしの質問に答えたのは空の妖精だった。


「この人間は、僕が来た時、普通に起きてた」

「そうなの?」

「お姉ちゃんのこと、チラチラ見てた」

「そうなの!?」


 つまり、寝てないってことじゃん!


「空の妖精! 変なこと言うな! それに、眠れてはいないけど体は休めたから大丈夫だ!」


そう言ったあと、ディルはボソッと「何か対策しないと暫くソニアと一緒に寝るのは無理かもな」と、どこか恥ずかしそうに呟いた。


 対策なんてしなくても、慣れれば大丈夫だよ! わたしも自分の気持ちに自覚した当初はドキドキしてあんまり眠れなかったけど、そういうものだって受け入れたら大丈夫だったもん! だから、今後も普通に一緒に寝ようよ!


・・・。


ステージに着くと、海岸の方で大きな影が二つ、こちらに向かって手を振っていた。


「キンケイとニッコクだ! 行こう!」


空の妖精の手を引いて、飛ぶ。ディルも走ってついてくる。


「ソニア様、ディル様、それに空の大妖精様。お久しぶりです」

「ホントにね! この国に来てから全然見かけなかったから・・・」

「我々はこれでも国王陛下の影武者ですのでな。国王と共に目立った場には出られませんから」


 それもそうだね。というか、影武者の出番ってあるのかな?


「それよりも、ソニア様。あちらをご覧ください」


キンケイとニッコクのどっちか分かんないけど、片方が水平線を指差す。朝日が登って来ていて眩しい。


 んん?!


朝日に、小さな影が見え・・・あれ?


「なんか・・・大きい影も見えて来たよ?」


朝日が眩しくてよく見えないけど、円盤を紐のような物で吊るして持って、こちらに飛んでくる妖精の陰の後ろに、物凄いスピードで大きくなっていく船の影が見える。


 もしかして・・・ガマくん追われてる? 追っている人達は誰? ・・・いや、分かってる。


ディルの両親も、理由は分からないけどわたしの記憶の欠片を探しているみたいだった。たぶんだけど、記憶の欠片を持っているガマくんを追っているのはディルの両親だ。


「もしかして・・・あの後ろの船にお父さんとお母さんが?」


ディルも気が付いたみたいだ。大きく目を開けて、どんどん近付いてくる船を凝視している。


「あの妖精、危ない」


空の妖精がガマくんの影を睨みながら言う。


「え、何が・・・」


ドカーン!!


船から砲弾が飛んで来た。ガマくんは危機一髪、何とか躱したみたいだ。


「このままだと、捕まる」


確かに、何故か・・・いや、予想はしてたけど、ガマくんとディルの両親は敵対しているみたいだ。そして、ガマくんが飛ぶ速度よりも後ろの船の速度の方が速い。


「わたし、迎えに行ってくる!!」


わたしは空の妖精と繋いでいた手を放して、上昇する。


「ソニア・・・」


ディルが気まずそうな顔で見上げてくる。もし、本当にディルの両親があの船に乗っているなら、ディルの両親は理由は分からないけどわたしに記憶を取り戻させたくないのかもしれない。そうなれば、ディルの両親と敵対することになる。


 ディルは迷ってるんだね。わたしの味方をするか、お父さんとお母さんの味方をするか。


「わたしは・・・例えディルが敵になっても、大好きだからね☆」


パチッとウィンクする。ディルは決心したように拳を握り締めて、わたしを見る。


「俺、お父さんとお母さんと話がしたい。もし本当にソニアの記憶を取り戻すのを邪魔してるんだったら、その理由が知りたい」

「うん」

「でも、安心してくれ。どんな理由があっても、俺は絶対にソニアの敵にはならない」

「・・・ホントに? お父さんとお母さんと・・・その・・・戦うことになるかもしれないんだよ?」


 出来ればディルには両親と仲直りをして欲しい。でも、わたしから離れて欲しくもない。ましてや敵対なんてされたら、口ではああ言ったけど、絶対に泣く。大泣きする。


「俺は・・・ソニアが大好きだからな! だから絶対に敵対なんてしない!」


 もう、それはそれで嬉しくて泣きそうだよ・・・。


「そういうわけだからさ。ソニアはそのまま後ろの船ごと迎えに行って、ここまで連れて来てくれ!」

「うん!」


お互い照れたように笑い合ってから、わたしは飛び立つ。


 待っててね! わたしの記憶! そしてガマくんとディルの両親も!


・・・。


そう決心して飛び出したけど、ガマくんに近付くにつれ聞こえてきた声に、わたしは勢いを削がれた。


「もう・・・しつこいよ! どこまで追ってくるのさ! せっかく夜に出発したってのに・・・」

「待ちなさい! 莢蒾(ガマズミ)の妖精! 卑怯よ! 私が寝てる夜の間にこっそり出るなんて! アンタも緑の森の妖精なら夜はしっかりと寝てなさいよ!」


 ど、どうして?


「あ、雷の妖精じゃないか。久しぶりだね。少し見ない間に羽の輝きが増したんじゃないかい?」


わたしに気が付いたガマくんが、後ろの船から発射される大砲の玉を避けながら軽く手を振ってくる。


「いや・・・いやいやいや! どうしてあそこにミドリちゃんがいるの!?」


わたしはガマくんと一緒に大砲から逃げながら、すぐ後ろに迫って来ている船を指差す。


その船の先頭には、腕を組んだ黒髪黒目の大柄な男性と、大きな弓を持った茶髪緑目の女性が立っていて、その2人の頭上で、見覚えのある緑髪のおさげの妖精が浮いていた。緑の森の管理をしている偉い妖精の緑の妖精こと、ミドリちゃんだ。

読んでくださりありがとうございます。


ソニア「むにゃむにゃ・・・納豆にワサビはないでしょう・・・むにゃむにゃ」

ディル(クソッ、無防備に両手を上げて寝やがって! こっちの気持ちも考えろ!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ