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ちっちゃい妖精さんになりました! 暇なので近くにいた少年についていきます  作者: SHIRA
第1章 暇な妖精と忙しい少年

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17.魔石ってなーに?

「村に関してはこれ以上こちらから言うことは何もない。他には何かあるか?」

「いや、ない。あとは自分達でなんとかする」


ディルはわたし達の会話の中で、なんとか出来ると思える何かを見つけたらしい。


「そうか・・・では、本来ならば後日改めて公式の場で謝罪をさせて貰いたいのだが・・・」

「そういうのはいらないかなー」


 公式の場って・・・アレだよね、だだっ広い謁見室で「ははぁー!」てするやつだよね。ああいう雰囲気はわたしには合わないし、相手がちっちゃいわたしじゃあ映えないよね。


「うむ。正直なところ、こちらとしても妖精についてどう扱っていいのか思いあぐねていたので助かる」


コンコンコン


ドアをノックする音が部屋に響き、「国王様、そろそろ・・・」と男の声が扉の向こうから聞こえた。


「ソニア様、ディル。すまないが私はここで退室させてもらいたい」

「うん。やっぱり王様って忙しいの?」

「特に今はアボン商会の件で、方々に話さなければならない事が沢山あありますから・・・コンフィーヤ、あとの説明は頼んだぞ」


王様が部屋から退室していき、入れ替わるようにメイド長がお茶菓子を乗せたワゴンを押して入って来た。


 クンクン・・・甘い匂い~。


王様に説明を頼まれたコンフィーヤ公爵は、ディルの向かいに置いてあった椅子に腰を掛けた。テーブルの上に座っているわたしを挟んでディルと公爵が向かい合っている形だ。


 わたし、食べられたりしないよね? 両サイドに座られると圧が凄いんだけど。食卓に並べられた食べ物になった気分。


わたしはテーブルの上から体を浮かせて、ディルの頭くらいの高さまで上がる。


メイド長が「こちらにどうぞ」と、ふかふかクッションが乗せられたサイドテーブルをディルの横に移動させてくれた。わたしは「ありがとね!」と微笑んで移動する。


 気が利くメイド長さんだ。ディルもこの人を手本にしたらいい。顔が良いんだからきっとモテるよ。


わたしがクッションの上にちょこんと正座すると、メイド長がわたしがさっきまで居たテーブルの上にお茶とお菓子を置き始めた。


 あ、もしかしてわたしが邪魔でお茶とかを置けなかった感じ? ごめんね!


「まずは、ディルが私と共に行動していたことについて説明しましょう」


コンフィーヤ公爵は出されたお茶を一口飲んだ後、わたしにこれまでの経緯を説明してくれた。


村長に「妖精を国王に献上したい」と話を持ち掛けられたこと、そして近頃王都で怪しい動きをしていた商会の馬車が村に停めてあったので、馬車の持ち主を監視していたらわたしが攫われたこと、ディルが噓の報告をしていた村長を不審に思い、村を飛び出して行こうとしたところをコンフィーヤ公爵が声をかけて一緒に行動する事になったと・・・。


「なるほどねぇ~」


 ずっと監視していたなら、攫われそうになった時点で助けてくれてもよかったんじゃない?結果的に他の捕まっていた人達も助けられたから何も言わないけど。


「ここまでで何か質問はありますか?」

「うーん、どうしてディルに声をかけたの?わたし的にはナイス判断だと思うけど、コンフィーヤ公爵からすれば別に声をかける理由は無かったんじゃない?」


 こう言ったらアレだけど、ただの子供のディルに声を掛けたところで、この時点でのコンフィーヤ公爵には何のメリットも無かったハズだもん。


「子供はたまに予測出来ない行動を取るので、こちらの想定外のことをされて事態をややこしくされる前に目に見える所に置いて監視していたかったからです・・・結局、想定外の行動を取られた訳だが・・・」

「仕方ないだろ!早く助けたかったんだよ!」


ディルが不貞腐れた様にお菓子をボリボリと食べる。わたしも食べたい。


「でも、ディルが早く助けたいと思うのも仕方ないよ。最初にディルの声が聞こえた時は、わたし凄く嬉しかったよ」

「そ、そうか? へへへっ」


ディルは片手で頭を搔きながら照れ笑いをする。そしてお菓子を食べる。わたしも食べたい。


「惚気るのは後にしてくれませんか?」

「惚気じゃないよ!わたしとディルはそんな関係じゃないし!」


 ディルとは友達だもん!


「ノロケってなんだ?」

「ディルにはまだ早い!」

「は!?なんでだ!?」


 まだ10歳じゃん! 恋愛とかはもうちょっと後になってからだよ!


「ハァ・・・話を戻してもいいですか?」

「「あ、はい」」


 コンフィーヤ公爵は嫌そうな顔をするけど、そもそも公爵が惚気とか言うからだよ・・・


「ディルに見張りを頼んだあと、私は一旦城に行き騎士たちを連れて戻っていたところ、お店の近くに停めてあったザリース伯爵の馬車が東の門に向かって走っているのを見かけた。それからはソニア様も一緒に居たので説明はいらないでしょう」

「ふーん・・・そういえばディルはわたしが伯爵に連れていかれた後どうしてたの?てっきり地下牢に閉じ込められてると思ってたんだけど・・・」

「隙をついて逃げて、ソニアを探しに行ってたんだ。いやー、本当に見つかって良かった!!」

「ね!!」


 わたしも隙をついて逃げられれば良かったんだけどね。ディルが来てくれて本当に助かったよ。


「ディル、私が城に向かったあと店の中で何があったのかを説明してほしい」

「おう!えっと・・・」


ディルは公爵にお店の中での攻防を擬音と身振り手振りを交えて説明した。


「やはり魔石を所持していましたか」


 魔石? なんじゃらほい?


わたしが首を傾げると、同じくディルも首を傾げた。


「そのマセキってなんなんだよ。ソレが無ければお店の時点でソニアを助けられたのに!」


「うんうん」とわたしも頷いてディルと一緒にコンフィーヤ公爵を見る。


「ソニア様も知らないのですか?」


 もしかして、妖精は知ってて当たり前のことだったのかな?ミドリちゃん!そういうのは教えてよ!


「だ、だって・・・わたしまだ5歳だから」

「5歳・・・ですか・・・」


公爵はそうボソリと呟いてわたしの胸の辺りを見る。


 ・・・ん?


「ちょっと!」


わたしは咄嗟に両腕を交差して自分の胸元を隠した。


 コンフィーヤ公爵にはお嫁さんがいるのに・・・イケナイんだよ!


「あ、いや。すまない」

「5歳には見えないよなー!」

「ディルまで!」


髪と瞳の色や羽と尖った耳以外の容姿は人間だった頃と変わらないので、妖精としては5歳だけど胸はちゃんとある。というか、無かったら普通に悲しい。


「・・・それより!魔石について教えてよ!」


 さっさと話題を変えよう!


「あぁ、そうだな。コホン・・・魔石とは魔物の体内に必ず一つはあるもので、魔物はそこに自身の魔気を流す事によって固有の魔法が発動する」


 なるほど・・・魔石=心臓では無いんだね。それぞれ別であるんだ。


「その魔石は人間の魔気でも同じように魔法を発動する事が可能で、我々人間は討伐した魔物から魔石を取り出して使っている。ただ、全ての人間が魔石を使える訳ではなく、その魔石の属性と相性の悪い者は威力が弱まったり、魔気を流しても魔法が発動しなかったりする」

「いいなぁそれ!俺も欲しい!」


 つまり、魔物の体の中にある魔石を使えば、その魔物が使ってる魔法を使えるってこと・・・だよね? あとは・・・


「・・・魔石の属性って?」

「各地にいる大妖精様が司る自然のことです、緑・火・水・空・土・闇の6つの属性がありますね。ごく稀に古い遺跡や地底深くから7つ目の謎の属性の魔石が見つかるらしいですが、今のところ使える者は誰もいないです」

「大妖精って、ミドリちゃんのこと?」

「ミドリチャン・・・とは?」


 あっ、そっか。知らないよね。


「えっと、緑の森を管理してる偉い妖精で、各地に同じように管理してる妖精が居るって言ってた」

「恐らく、その妖精が緑の大妖精様でしょう」

「そかそか、人間の間では大妖精って呼ばれてるんだね」


 ミドリちゃんは大妖精って柄じゃないけど。人間からしたらたぶん凄い存在なんだろう。


とりあえず話が一段落ついたっぽいので、わたしはテーブルの上に置かれていたクッキーを両手で持って頬張る。


 おいしい!・・・けど、さすがにコレを丸々一つは食べられないね。ディルに食べさせよう。


「ディル!口開けて!」

「ん?・・・あーん」


わたしはディルの開けた口に「えいっ」とクッキーを投げ入れる。ディルはパクっとクッキーを食べと「サンキュー☆」とわたしが王様に自己紹介した時みたいにウィンクした。後ろで控えていたメイド長が「フフフ」と笑った。


「ところで、この後は君達はどうするつもりなのですか?」


コンフィーヤ公爵がお菓子を一口食べながら聞いてくる。わたしはもう食べた。


「どうするって?」

「ソニア様は森に、ディルは村に帰るのですか?」

 

 うーん、どうしようかな。家を出てからもう数日が経過してるし、そろそろ帰らないと森で心配してくれてるミドリちゃんやガマくんに雷を落とされちゃう。・・・いや、本当の雷じゃなくてね? 怒鳴る方のやつ。


 ・・・でも、やっぱり城下町を見て回りたいんだよなぁ。


「ディルはどうしたいの?」

「俺は城下町で村に移住してくれそうな人を探すつもりだ」

「え?」


 斜め上の返答が返ってきたよ?


「移住してくれる人がいれば村は助かるんだろ?だったら探すしかない!」


 なるほど、そういうことかぁ・・・そう都合よく見つかるとは思えないけど、村が助かるにはそうするしかないもんね、


「よし! わたしも付き合うよ!」


乗り掛かった舟・・・どころか、わたしが半分舵を取ってるようなもんだし!


「しかしソニア様は・・・」


コンフィーヤ公爵が言い難そうに口を開く。


 人目に付かないようして欲しいんだよね! 分かってるよ!


「・・・そうだ!何かわたしが入れそうな革袋とかない?」


 そこに隠れてディルに持ち歩いて貰えばいいんだよ! わたし冴えてる!


「分かりました・・・後ほどメイドに届けさせましょう」

「ありがと!臭くないやつでお願いね!」

「はい。それでは村に帰る際は城に来ていただいてもよろしいでしょうか、被害者達への補償がどうなったのか、ザリース伯爵とアボン商会の処分についてご報告させて貰った後、馬車でお送りいたします」


コンフィーヤ公爵が丁寧に頭を下げて、退室していった。メイド長はお茶を淹れ直してから退室の挨拶をして出ていった。


 ごめんねミドリちゃん!少し遅くなるかも! ちゃんと謝るから怒らないでね!

読んでくださりサンキュー!☆。わたしは前話の時のようにウィンクした。

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