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ちっちゃい妖精さんになりました! 暇なので近くにいた少年についていきます  作者: SHIRA
第4章 眠たい妖精と止まった村

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155.【ミカモーレ】相談役

「ディルちゃんがソニアちゃんを追い出すなんて・・・明日は槍でも降るんじゃないかしら?」


アタシは埃をかぶった布団をバシバシと叩きながらディルちゃんにそう問い掛ける。彼が大好きなソニアちゃんを「片付けが出来ないから」という理由で窓から摘まみだすなんて、本当に珍しい。


「いや・・・ちょっとソニアが居ない所でミカさんに相談があって」


ディルちゃんが掃除の手を止めて、少し頬を染めながら視線を彷徨わせて言う。


 愛の告白でもされるのかしら? ・・・なんて、そんなわけないわよネ。きっとソニアちゃんのことでしょう。それ以外に彼が頬を染める理由がないもの。


「実は俺・・・ソニアのことが好きなんだ。その、1人の女の子として」


 頬をポリポリと掻きながら恥ずかしそうに言うけど、そんなこととっくの前から知ってるわよ。ディルちゃんってばソニアちゃんのことばかり見てるんだもの。気付かない方がおかしいわ。・・・ソニアちゃんは気付いていなさそうだけど。


「つまり、ディルちゃんはソニアちゃんに恋してるってことよネ?」

「ま、まあ・・・そう、だな。うん」


 ふふっ、照れちゃって。初々しくて可愛いわネ。からかいたいけど、本人は真面目に言ってるんだから、アタシも真面目な顔をしなきゃ。


「それで、相談って言うのは何かしら? 自分の気持ちに気付いてもらえない・・・とか?」


アタシがそう言うと、ディルちゃんは面白くなさそうに唇を尖らせた。


「なんていうか・・・気付いて欲しいけど、気付いて欲しくないっていうか」

「うんうん。恋心って複雑よネ~」

「俺としては・・・もっとソニアと釣り合う様なカッコイイ男になってから、自分の想いを伝えたいんだよ。でも、例え伝えたところでこのままじゃあ首を傾げられるだけな気がするんだ」


 なるほどネ。確かにその光景は簡単に想像できるわ。ディルちゃんはソニアちゃんに恋愛対象として意識して欲しいのネ。


「前に師匠から、思ったことをそのまま素直に伝えてみろって言われて、それで少し手ごたえを感じたこともあったんだけど・・・やっぱり一線は超えないんだよなぁ」

「うーん・・・ソニアちゃん自身が素直過ぎるのよネ~、だから素直に好きとか可愛いとか言っても、それが恋愛感情から来てるんじゃないかって発想にならずに、その言葉のままの意味で捉えちゃうのかもしれないわネ」


 それに、ディルちゃんには言わないけど、ソニアちゃんは妖精だもの。人間とは違う感性を持ってるから、人間を口説くような言葉を言っても響かないのかもしれない。


「どうしたらソニアは俺のことを男として見てくれるんだろう・・・」


ディルちゃんが完全に箒を手放して、溜息を吐きながら椅子にドカッと腰を下ろした。


「そうネ~・・・今まで言葉で攻めてダメだったのよネ?」

「まぁ、ダメっていうか・・・照れてはいたけど、俺じゃなくても同じ反応をした気がする」

「だったら攻め方を変えましょう! ディルちゃんの武器を活かすのよ!」


アタシがそう言うと、ディルちゃんは自分の魔剣を取り出して「コレか?」と首を傾げた。


 ディルちゃんもソニアちゃんに負けず劣らず素直よネ・・・。


「顔よ! 顔! ディルちゃん、せっかくイケメンなんだからそれを活かさなきゃ!」


部屋にあった姿見をディルちゃんの前にバンッと置く。ディルちゃんは姿見を見たあと、疑惑の目をアタシに向けてくる。


「顔で何しろって言うんだよ・・・そもそもソニアは顔よりも筋肉の方が好きそうだし」

「あら? そうなの?」

「・・・分かんないけど、やたらとミカさんの筋肉を見事だって褒めてたし、思い返してみれば村に居た頃もよく師匠の筋肉を目で追ってた気がする」


アタシはディルちゃんの体をまじまじと見てみる。


 ディルちゃん、黒が多い服装のせいで分かりにくいけど、その年齢の割にしっかりと筋肉があるのよネ。


「よしっ! ディルちゃん! 服装を変えて見ましょう! ディルちゃんの筋肉をアピールしてソニアちゃんを骨抜きにしてやりましょう!」

「服って言っても・・・俺、似たような服しか持ってないぞ?」


ディルちゃんは基本黒一色の服しか着てない。今も黒いパーカーに黒い長ズボン、そこに闇の魔石がハマった黒い手袋。しかも黒髪黒目だから本当に黒しかない。


「ちょっと村の人に余った服が無いか聞いてくるわネ!」


そう言ってアタシは村中を駆け回った。ソニアちゃんは村の外に出かけたのか見当たらなかったけど、シロちゃんは子供達の遊び相手になっていた。


 思ったよりも集まったわネ。亡くなった人が多い分、不要になる服も多いのかもしれないわネ。


パンパンに服が詰まった布袋を持って戻ると、ディルちゃんが1人であっという間に掃除を終えてベッドの上で寛いでいた。


「掃除任せっきりになっちゃってごめんなさいネ。でも、おかげでたくさんの服が集まったわよ!」

「俺、あんまり服とか分かんないんだけど・・・。今の服装だって子供の頃にお父さんに髪の色と同じ色の服を着てれば無難な感じになるって言われたから着てるだけだし・・・」

「確かに無難だけど、今回は思いっ切り冒険して普段とのギャップでソニアちゃんをドキッとさせるのよ!」


あまり乗り気じゃないディルちゃんに次々と色々な服を着せていく。肌を隠して髪をどうにかすれば案外女装もいけそうネ。セクハラだと言われても気にしない。


「ふぅ・・・色々着てもらったけど、これが一番アタシ好みネ!」

「ミカさんの好みに合わせてどうするんだよ・・・。っていうかコレ、ただ白いTシャツを着ただけじゃん」


ディルちゃんに着てもらっているのは、ピチピチのブイネックの白いTシャツで、嫌でもその慎ましくも逞しい胸筋に目がいってしまう。


「うん、とってもセクシーよ!」


バチッとウィンクしたら、凄く嫌そうな顔で一歩後ろに下がられた。


「ハァ・・・脱ごうかな」


ディルちゃんがシャツの裾に手をかけた時、換気のために開けていた窓から「ただいま~」とソニアちゃんが戻ってきた。


「おかえりソニアちゃん、丁度いいタイミングで帰って来たわネ。見てよ! ディルちゃんのこの服装! とってもセクシーでしょ?」


ジャンッと手を出してソニアちゃんにディルちゃんを見せる。ディルちゃんはさっきまでの嫌そうな顔から照れたような、不安そうな顔でソニアちゃんを見ている。


「ア、ウン。セクシーダネー」


ソニアちゃんは一瞬目を見張ったものの、まるで感情を押し殺したようにそう言ってそっぽを向いてしまった。


 あらら・・・。


「俺、着替える」


ディルちゃんがTシャツの上からいつもの黒いパーカーを着て、不貞腐れたようにベッドにうつ伏せになった。ソニアちゃんは羽をパタパタと素早く動かしながらそんなディルちゃんを横目でチラチラと見つつ、テーブルの上にちょこんと座って、一度深呼吸をしてからアタシを見上げて口を開く。


「あ、えっと・・・シロちゃんがミカちゃんのこと呼んでたよ! 一緒に行こう!」


そう言ってソニアちゃんはテーブルの上から飛び上がって、小さな手でアタシの指を引っ張る。


 シロちゃんが? 何かしら?


アタシはディルちゃんに恨めしそうに見られながら、ソニアちゃんに手をひかれるまま家の外に出る。子供達と遊び終えて退屈そうに丸まってるシロちゃんがアタシを見て「クゥン?」と首を傾げた。


 アタシでも分かるわ。シロちゃんはきっと「どうしたの?」みたいな感じのことを言ってるわネ。シロちゃんが呼んだんじゃなかったの?


その疑問を問うようにソニアちゃんを見ると、ソニアちゃんは腰を九十度に曲げて「ごめんなさい!」と謝った。


「シロちゃんが呼んでるって言うのは噓で・・・本当はミカちゃんに相談というか、聞きたいことがあって」

「聞きたいこと? ディルちゃんも一緒じゃダメだったの?」

「うん・・・」


 なんだか既視感があるわネ。さっきもディルちゃんから同じようなことを言われたわ。


ソニアちゃんは数秒口をパクパクさせたあと、凄く言い難そうに、そして恥ずかしそうに口を開いた。


「ディ、ディルってさ。わたしに恋してたり・・・しないよね?」


まさかの質問にアタシが固まる。


 ディルちゃん、あなたが思ってるよりもソニアちゃんはちゃんとあなたを見てるわよ!


「ご、ごめん! 今のは忘れて!」


尖った耳を真っ赤にしてアタシに背を向けて飛び去ろうとするソニアちゃんの羽を、慌ててパシッと摘まんだ。ソニアちゃんが「ふぎゃあ!」と悲鳴を上げて振り返って、涙目で頬を膨らませてアタシを睨む。


「羽はやめてよ!!」

「あ、ごめんなさいネ」


 妖精の羽って触っちゃダメなのネ・・・。いえ、そうじゃなくて!


「さっきの質問だけど、アタシはディルちゃんがソニアちゃんを1人の女の子として見ているように感じるわよ」

「お、女の子として?」

「ええ、恋愛対象としてネ」


今度はソニアちゃんが目を丸くして固まった・・・けど、羽だけは忙しなくパタパタとしている。


 もしかして、動揺したり感情が昂った時にああやって羽が動くのかしら? だとしたら分かりやすすぎるわネ。


「それにしても、どうしてそう思ったの? 普段のディルちゃんの態度からかしら?」


アタシの言葉にソニアちゃんはハッとして「そういえば・・・」と何やら考え込む。そしてブンブンと頭を振ってアタシを見る。


「わたしじゃなくて、火のドラゴンに言われたんだけど・・・」


そう言ってソニアちゃんは、部屋から摘まみだされてから火のドラゴンとお話してたことを話してくれる。村の事で怒ろうとしたこと、迷惑をかけたお詫びに火のドラゴンが目的地まで送ってくれること、そしてディルちゃんのことを。


 ソニアちゃんが自分で気付いたわけじゃなかったのネ。でも、ナイスアシストかもしれないわ。


「あっ、そういえば、ミカちゃんってこのあと何処に向かうの? 火のドラゴンはミカちゃんも送ってくれるって言ってるけど、よく考えたらミカちゃんは別にわたしとディ、ディルと一緒に火の地方まで行くわけじゃないよね?」


まだ少し耳が赤いソニアちゃんが話題を変えるようにアタシとシロちゃんを見てそう尋ねる。


「そうネ。アタシはシロちゃんと一緒にオードム王国に帰るわ。その為には土の海を越える方法を探さないといけないけど」

「あ~・・・、土の海を渡らないとオードム王国に行けないんだったね」


 そうなのよネ~・・・。どうしようかしら?


アタシが頭を悩ませていると、シロちゃんが「クゥーン!」とアタシの背中を翼で押した。


「クゥーンクゥンクゥン!!」


 出来るだけ理解しようと努力してるんだけど、やっぱり鳴き声だけで何を言ってるのか判断するのは難しいわネ。


通訳を求めてソニアちゃんを見る。


「シロちゃんが背中にミカちゃんを乗せて飛んで行くって!」

「え? 本当に? そんなこと出来るの!」

「クゥンクゥン!」

「任せて! って言ってるよ」


 確かに大きくなったシロちゃんならそんなことが出来てもおかしくないわネ。


「じゃあ、お願いしてもいいかしら?」

「クゥンクゥン!」


一通りシロちゃんを撫でたあと、アタシとソニアちゃんは部屋に戻った。


「・・・そういうわけで、アタシはオードム王国に帰るわネ」

「そっか、そりゃそうだよな。ミカさんはオードム王国で家族を待たせてるんだもんな」


ディルちゃんと話し合った結果。せっかく掃除をしたんだからと、一泊だけここで休んでから明日それぞれの目的地へ出発することになった。


「なんかディルが凄くわたしを見てくる気がする」


ディルちゃんがお風呂に入っている間に、ソニアちゃんがこっそりと耳打ちして来た。


「そうかもしれないわネ~」


 まぁ、ディルちゃんはいつもソニアちゃんのことを見てるから普段通りなんだけどネ。ただソニアちゃんがそれを気にするようになっただけ。でも、教えてやらないわ。そういうのも恋愛の醍醐味だもの。


それから普段通りのディルちゃんとディルちゃんの一挙手一投足にドギマギしてるソニアちゃんを微笑ましく眺めながら、翌日の出発時間まで過ごした。


「いいの? シロちゃん。お父さんとお母さんに挨拶していかなくて」

「クゥンクゥン!」

「そっか、今度はもっと強くなってから会いたいんだね」


村の入口でシロちゃんとソニアちゃんが会話しているのを遠目に見ていると、ディルちゃんがこっそりとアタシに耳打ちしてくる。


「なぁ、なんか昨日からソニアが余所余所しいんだけど・・・部屋から摘まみだしたのが悪かったのかな?」

「さ~、本人に聞いてみたらいいじゃない」

「そう・・・だな」


 本当、若いっていいわネ~。大いに青春を謳歌するといいわ。


「ソニアちゃん、もう行っちゃうんだ」


見送りに来ているトキちゃんがギュッとソニアちゃんに抱きつく。


「また会おうね」

「絶対」


ソニアちゃんとトキちゃんがお互いの羽をパタパタさせながら抱き合ってるのを微笑ましく見ていたら、トキちゃん同様に見送りに来ていたノブさんが話しかけてきた。


「皆さん、改めて村を救ってくれてありがとうございます。村の不用品の回収までしてくださったそうで・・・」


 不用品・・・ディルちゃんを着替えさせようとして集めた服の事かしら?


ノブさんは長い感謝の言葉を述べたあと、深く頭を下げて村に戻っていった。忙しい中で見送りに来てくれたみたい。


「また会いに来てね。絶対」


トキちゃんはそう言ってソニアちゃんと小指を結んだあと、ノブさんを追いかけるように村に戻っていった。


「それじゃあ、わたし達もお別れだね」


ソニアちゃんが寂しそうにわたしとシロちゃんを見る。


「ミカちゃん、シロちゃん。また会えるよね?」

「会えるわよ。きっと」

「クゥンクゥン!」


 アタシは分からないけど、寿命の長いドラゴンのシロちゃんはこの先の長い人生で何度も会うかもしれないわネ。


「ミカさん、魔物との戦い方とか、その、他にも色々と相談に乗ってくれてありがとう。俺、頑張るよ」

「ええ、きっと2人なら大丈夫よ」


 出来る事なら2人の行く末を見守りたいけど、アタシには帰る場所があるもの。


アタシとシロちゃんに背を向けて歩きだすディルちゃんと、ディルちゃんの隣りをふわふわと飛んでついていくソニアちゃんを暫く見たあと、アタシはシロちゃんの背中に乗った。


「しっかりと案内するから、オードム王国までよろしくネ。シロちゃん」

「クゥーン!」


バサッと翼を広げて、勢い良く飛び上がった。風が冷たいけど我慢できないほどじゃない。今まで見たことの無い景色に啞然としていると、「グォォォォ!」と火のドラゴンの咆哮が聞こえた。振り返ると、遠くの方でディルちゃんらしき人影を乗せた火のドラゴンが、アタシ達とは反対方向に飛び去っていった。


 ディルちゃんとソニアちゃんは火の地方まで行くんだったわネ。


オードム王国から南の果てまで何十日も掛けて歩いてきたけど、シロちゃんのお陰でたった一日でオードム王国まで戻ってこれた。ソニアちゃんに聞いていた通り、本当にセイピア王国が無くなって、オードム王国の一部になっていた。セイピア王国のお城の旗がオードム王国旗に変わっている。



「・・・ということがあって、こうしてアタシは新しい息子に乗せて貰って帰ってこれたのよ」


以前よりも広くなった執務室で仕事をしているこの国の国王ドルガルドに、シロちゃんを撫でながらこれまでのことを話した。


「ハァ・・・頭が追い付かないが、とりあえずお前が無事でよかった。ただ、城の壁を破壊してドラゴンで乗り付けてくるのはやめてほしかった」

「仕方ないじゃない。城の扉が小さすぎてシロちゃんが入って来れなかったんだもの。もうアタシ達の城なんだから壊したっていいでしょう?」

「いいわけあるか! ・・・まったく、その、シロ・・・だったか? 私達の新しい息子の為にも早急に城を改築しないとだな」


 なんだかんだアタシの要望を受け入れてくれるのよネ。


「じゃあ、最低限の説明は済んだし、ちょっと冒険者ギルドに行ってくるわネ。早めに新種の魔物の報告をしないと。ソニアちゃんが名前まで付けてくれたし」

「そうか、じゃあついでにギルドに手紙を出して欲しいんだが・・・」


ドルガルドが机の引き出しから一通の手紙を出してアタシに渡す。


「待てよ? シロが飛べばここまで丸一日で着いたんだよな?」

「そうだけど・・・まさかアタシ達に直接手紙を届けて欲しいって言うの? 帰ってきたばかりよ?」

「無理にとは言わない。ただ、届けてくれると助かる」


 そう言われたら断りづらいじゃない。


「ミカ達が届けに行っている間に城を改築したいし、届け先はクルミ村だ」

「クルミ村?」


 聞き覚えがあるようなないような・・・。


「ソニア様とディルの出身村だ」


 あの2人の? ・・・それは興味あるわネ。


「いいわよ。あなたの頼みだし、ソニアちゃん達の故郷には行ってみたいもの。ギルドに報告して一休みしたら出発するわネ」

「ああ、助かる」


軽い口調で礼を言うドルガルドに、アタシは真面目な顔を作って向き合う。そんなアタシを見てドルガルドが背筋を伸ばした。


「戦争の件、肝心なところでいなくなっちゃってごめんなさい。ソニアちゃん達から聞いたけど、大変だったみたいネ。本当にお疲れ様。そして国を守ってくれてありがとう」

「守ったのはソニア様達だ。私はむしろ・・・」


 後悔する気持ちは分かるけど、アタシは王としてしっかりと責任を果たしたと思っている。ドルガルドの唇を指で押さえてニコリと微笑む。それだけでアタシが言いたいことは伝わったみたいだ。ドルガルドは肩をすくめて笑った。


「じゃあ、行ってくるわネ。シロちゃん用の玄関、お願いネ」

「ああ、任せておけ。帰ってきたら相談したいことが山のようにあるからな。それまで観光気分で心身共に休めてくるといい」

「気遣いありがとネ」


アタシはシロちゃんの背に乗って破壊した城の壁から外に出る。


「行くわよシロちゃん!」

「クゥーン!」

読んでくださりありがとうございます。第四章は別視点のお話があと数話で終わりです。そのあとは第五章のスタートです。

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