金欠
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リリスがザザの胸をなでている。
ザザとリリスはお楽しみ後は2人でこうして余韻を楽しむことがほとんどだ。
「ザザ様は本当にお体に傷のあとがありませんね」
リリスがそんな事をいった。
ザザはリリスの手を撫でながら頷く。
「俺には見えるのさ、敵の次の瞬間の動きが…」
ザザがそんな事を言う。
嘘だ。
ザザには未来視などは出来ない。
ただ、めちゃくちゃに剣が上手いだけだ。
ザザはもう30代後半だが、若い頃は聖剣エルクス・キャリバーンの担い手、剣聖カスパールの再来とまで言われたほどの剣達者である。
しかし、好きな女に剣で斬り殺す事が上手なんです、などと自慢する馬鹿が何処にいるのだろうか。
だからザザは見栄を張った。
リリスは目をぱちくりさせて、“じゃあこれから私が何をするかわかりますか?”などと言った。
ザザは鼻の下を伸ばしながらリリスへ手を伸ばした。
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そんなこんなでザザは金がまた無い。
ザザは金をかせぐとすぐ遣ってしまうので常に金欠だ。
だが、悪さみたいなことは決してしない。
なぜならリリスにそれを知られたら嫌われると思っているからだ。
金にだらしないが、曲者揃いの金等級の中にあって、ザザはそこそこ善良だし、無愛想だが扱いやすい者であるので、ギルドも実入りがいい依頼をまわしたりはしている。
しかしそれではいった金は片っ端から使うのであまり意味はない。