ザザその後
時間軸的にクロウがロナリア邸へ向かったくらいのタイミングの話ですね
「ザザ様、お腹は痛みますか…?」
清楚さと淫蕩さを等分に混ぜ合わせ、母性と言うトッピングをすれば恐らくはリリスと言う女性が出来上がるのだろう。
そんな事を考えながらザザは痛む腹をおさえ、頷いた。
「ああ。痛い。だが本来ならば命と引き換えに剛力を得る死業だ。痛いで済んだというのは幸運だ」
死剣・影腹は剣の業というよりはどちらかといえば呪術にあたる。
澄み切った覚悟を以って為せばルイゼとて破れるものではないが、あの時ザザはただのヤケクソで、覚悟もクソもない状態でやらかしたので中途半端な掛かり方をし、ゆえに助かった。
極東では王…主君に対して命掛けの諫言をする際にしばしば用いられている。
基本的に極東地域は命の価値がイム大陸より遥かに安いため、命を触媒とした自己強化の術などは珍しくはない。
そしてそういった価値観についていけなくなった者達が逃げ出す事もまた珍しくはない。
ザザもまた極東脱出組である。
そんなザザはリリスに仰向けになってもらい、自身はうつ伏せに、そして顔面を胸で挟んでもらうようにして死闘の疲れを癒していた。
たとえ何が起ころうとも、ザザはこの場を動くつもりはなく、もし邪魔をするものがいれば問答無用で殺害する…それほどの覚悟でザザはおっぱいに挟まっているのだ。
「ザザ様、私が魔族であるという事を気になさらないのですか?」
リリスがザザの後頭部をなでながら問いかけた。
余りの愚問にザザはフンッと荒々しく鼻息を噴出す。くすぐったかったのか、リリスが少し身悶えする。
「この大陸の者は魔族がなんだと気にする者が多いが、忘れたのか?俺は極東の生まれだ」
言われて見れば…とリリスは納得した。
魔族の間でも極東というのはやや特別な地域として認識されているのだ。
極東はとにかく神の類が多い。
その数は八百万とも言われている。
便所やらその辺の石ころにも神が宿っているのだから、実際の数はもっと多いのかもしれない。
神というのはどれだけ木っ端であっても、それを廃そうとするならば相応に苦労するだろう。
そんなものが八百万というのは魔族をして手に負えるものではない。
ついでにいえば、極東の民と言うのは魔族がイム大陸で栄華を極めていた時代からもずっと極東にひきこもっていたし、外大陸から蛮人が攻め寄せてイム大陸の覇権を魔族から簒奪した時もずっと極東に引きこもっていた。
極東の民は極東から出てこないのが常だったのだ。ここ最近では命を軽視する風潮に耐えかねて逃げてくる極東民も多いのだが。
ともかくも魔族にとって極東の民というのは憎しみの対象ではなく、敵対してこないなら放って置いていいとすら思われている。
となれば怨恨自体も発生しないのだから、ザザがリリスが魔族であることに何も思わないのも当然と言えば当然であった。
「それにしてもリリスは魔族だというが、いわれてもわからんな」
ザザが言うと、リリスは少し悩むそぶりを見せた。
「この姿は仮初のものなんです。魔族としての姿は余り見せたくはありません…。少なくとも、人に恐怖を与えるような姿、とだけ申し上げて置きます…」
なるほど、とザザは納得した。
腕が4本あったり、目が3つあったりするのだろうか?
はたまた獣のような姿になるのだろうか?
ザザの極東の知り合いには化物の雌を手篭めにすることを趣味とする男がいる。
というより極東時代の知り合いは頭のおかしい連中ばかりだった。
それがザザの偏見の無さの所以なのかもしれないが、兎も角もいつかはその姿でも“ヤって”みたいなとおもうザザであった。
「あ、ザザ様…そろそろ…」
リリスが口元に笑みを浮かべてザザに言う。
ザザはリリスが言おうとしている事がわかっていた。答えも決まっている。
「ああ、延長だ」
内容ちょっと怪しいかな、警告などきたら変更します




