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恋です。

恋です。3話

作者: 新垣新太

飯塚は、高校生活で熱中している事がひとつあった。それは写真だ。入学してから、何の部活に入るのかを考えていなかった飯塚。ただ、夏休み直前の7月。下駄箱の近くの掲示板にあった、写真部の勧誘ポスターを目撃した。そこには、夏の合宿で3泊4日の北海道へ行けると言う。北海道と言うワードだけに惹かれ、飯塚は入部を決意した。きっかけはともかく。飯塚は、夏の合宿でカメラで撮る写真の良さに気付いてしまったのだ。そして、夏休み明け最初の登校日。飯塚は隣の席に座る藤川の姿に驚いた。


飯塚「えっ?」


飯塚が夏休み前に見た藤川の姿とは、まるで別人の女子高生が座っていた。藤川の髪の毛先はオレンジ色に染められ、眼鏡を外し、ギャルメイク。スカートの丈は短く腰元で折り込まれ、何故か半袖のYシャツの袖の部分が少し捲られていた。飯塚は、自分の席がここで間違いないかを確認した。


飯塚「いや、合ってる。この席だった」


夏休み明け初日は、始業式とホームルームだけで終わり、部活も休みだった。飯塚は、今日見た藤川の姿は、写真に熱中し過ぎて脳みそが自分に幻覚を見せていたのだと納得させた。


・・・


その翌日。飯塚の隣に座っていたのは、やはり、昨日見た明らかにギャル的な藤川だった。飯塚は写真部の先輩が言っていた、高校デビューと言うものが藤川を変えてしまったのだと勝手に解釈した。


今日の最初の授業は、数学だった。まだ寝ぼけ眼の生徒達に数学の授業は酷であった。そんな時、数学担任の竹内先生がウトウトしながら授業を聞いていた藤川に近づいてきた。


竹内先生「おい寝るなら保健室で寝ろ」

藤川「聞いてる聞いてる」

竹内先生「何だ、その言葉遣いは。立て」

藤川「はぁー。なんですか?」

竹内先生「スカートを元の長さに直せ、校則違反だぞ」

藤川「だる」

竹内先生「夏休みボケもいい加減にしろよ。座れ、藤川。さっき黒板に書いた2次方程式の最後の問題、出来てるんだろうな!」

藤川「は?」

竹内先生「ここの問3の答えだよ。藤川が正解するまで授業は終わらないからな」


飯塚は、竹内先生が出題した問3の答えだけ奇跡的に解っていた。そして、隣の藤川は間違いなくその答えを知らない。なぜなら藤川の机の上にあるノートは綺麗な白紙だったからだ。無茶な指名に藤川は頭をかき、下を向いて手のネイルを見ている。


竹内先生「早くしろー」

その時、飯塚は藤川に聞こえる最小限の声で問3の答えをささやく。

飯塚「x=3、y=4」

藤川「、、ん?」

飯塚はノートで先生からバレないように壁を作り、藤川に答えを伝える。

藤川「え?、、x=3、、y=4、、マジ?」

竹内先生「藤川!、前に来い、黒板に答えを書きに来なさい」

藤川「、、はい」


竹内先生が藤川を急かす。藤川はゆっくりと教壇に上がりチョークを取った。そして、黒板に問3の答えを書き終わるとすぐに席に戻った。


竹内先生「おい藤川、まだ答え合わせが終わってないから勝手に戻るな。、、ん?、、合ってる。、、問3の答えはx=3、y=4だ。、、じゃあ次の章に進むから、教科書の34ページ開いて」


飯塚の答えは見事的中した。席に戻った藤川は、飯塚に向かって右手でグッドポーズを見せ、うつ伏せで眠りについた。


飯塚「寝るなよ」

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